Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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ケーキが決め手になりました

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 絶対に爺は解っていたはずだ。ホールケーキをそのまま渡そうとしたら柵が邪魔で切って渡したのだけどフォークは凶器になるので渡せないと爺に言われた。だから柵の向こうから手が伸びてケーキを手で掴んでも全く気にしなかった。
 そうしたら!この人、僕の顔面にケーキを思いっきり叩きつけたんだよ!しかも1切れだけじゃなく全部手で鷲掴んで投げた。

 まぁ最初の1切れ以外は全部爺の体にあたって僕は免れたんだけど。

 どうぞ って差し出した皿から消えたケーキが僕の顔面にヒットすると直ぐに爺の胸に抱きかかえられ他の被害は全部爺の背中だった。爺は僕を庇う時に「ノエル様!」と声を荒げたから爺の背中にケーキが当たってる途中に兵士がなだれ込んできた。
 素早さに驚いたけど、柵の向こうでは元侯爵その人が一生懸命に夫人の腕を抑えてたのにも驚いた。
でもだからって僕のお顔がチーズケーキまみれなのは変わらないんだけどね!

 急いで連れ出された僕は爺に横抱きにされて自室……王子宮の僕の部屋ヘ。そして念の為と医師が呼ばれたのだがまたもや父様の主治医が来て母様が飛び込んで来て父様も飛び込んで来るといういつものパターンに。
 母様が来た時はまだ僕の顔はケーキまみれだった為、母様は大激怒しその話を聞いた父様も大激怒。

 自業自得なんだけど、夫人の先が決まった瞬間だった。


 ……牢の中では。

 夫人の拘束がとかれ元侯爵が頭を抱えて震えていた。

 「もう終わりだ、おしまいだ。……ここまでだったらなんとかなったのに……」

 「何を言っているのアナタは!もうとっくにどうしようもないのよ!! あのΩがここに来たって言うことは私が考えていた同情をかってどうにかしようと思ってた事が詠まれたのよ!」

 「……な、なに、どういう事だ。」

 「いい?社交界の夫人達はね『慈悲』っていう言葉が大好きなのよ!慈悲深いのは最大の美徳なのよ!だから私はそれを利用しようとしてたのに!」

 キィィィー!!とヒステリーに叫ぶ。元侯爵は本当にそんな叫びをあげる人間がいたと一瞬思ったがこれ以上煩くされてはかなわないと黙った。

 「ここに来る途中でも調書でも私は『潰れそうになった領地を、家をなんとかしようとして犯罪をおかしてしまった』と言っていたのよ!一人でも同情する人がいればそいつに『悪い事とは思っても最終的には全員嫁入り先を見つけて送り出した』って泣きつけば完璧だったのに!」

 「え!?おまえ……あの者達は……売って…」

 「そんなの言わなきゃ解んないでしょ!だって殆ど遠い国のヤツに売ったんだから!」


 ホロホロ、ホロホロと言ってはいけないことを言ってそれを薄~い壁の向こうで速記している集団がいるのを知らずに夫人は更にヒートアップしていった。
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