662 / 708
母様、待って!
しおりを挟む
僕のところへ陳情書という名のお手紙が山のように届けられている。
これはある地方にいる文官からで、木こりの家に王妃様が自ら出向いて家具にするための木材を見つけに来た。知らないのも不思議は無いと思い、家具にするためには4.5年乾かさないといけないからと言ったら『婚礼は早くても6.7年先でしょうから問題ないです』と言ったらしい。
その木こりの家の先にある炭焼小屋にも、母様らしき人物が現れ今年の冬から使う暖炉用の炭として特級品の予約をして帰ったそうだ。……先行投資という名の新しく作る竈の代金白大金貨30枚は謹んでお返しすると。そのうちその辺りの村長が脂汗をかきながら役場に飛び込むだろう。
可哀想だから爺に言っておくよ?直ぐになんとかしてくれるだろう。
次……これはいつも小物を買ってる商人だね???いつも母様御用達なんだから特に言いたいことは……これか。『娘可愛さにノエルが城に滞在する日も多いでしょう』という言葉あり。……有難う母様の思惑Get。
次……おや?リリーに付けてる侍女さんだ。え~と…『お披露目の為の衣装が変な方に進んでます?リリー·ローズという名の通り百合と薔薇の妖精に……』なんてこったい。おそらくリリーの趣味とは真反対だ!リリーの好きな色は緑。スタイルはスッキリ爽やか系。
それとなく母様に言おう。
こういうお仕事をチマチマと勧めていたのだけど、突然「ノエ~~ルゥ~!」と僕の名を歌うように呼ぶ声と共に母様が入室してきた。
「母様……ご機嫌ですね?」
「ええ!ええ!私は今とっても良い気分なのよ!」
ニコニコルンルンの母様はそう言って僕の頭を撫でたり手をとったりと本当に浮かれて様子だ。爺は母様に落ち着いてもらおうとお茶を用意し僕に視線をよこしたので僕はそれに従ってテーブルヘ母様をエスコートした。
「ところで母様……ちょっと、母様の言い間違いで大問題になりそうなのでお伺いしたいのですが?」
そう、ここまでの流れの中で大きな間違いあるよね?とっても!とっても!大きな間違い!!
「あら?そんな事が?いったい何かしら?」
……母様……リリーは母様の養女ではありません!ローランドとサミュの養女ですよ。母様ったら浮かれて自分の養女の様に言ったものだからアッチコッチから発表と王妃の言葉が違うって混乱した問い合わせがあるんですよ。
それにサミュだって混乱してる筈だ。とりあえず明日スサエナに帰ってサミュに説明してくるので母様はこれ以上ややこしくしないで下さい!
アッチコッチへの説明やら後始末やらで疲れてるのに明日会うサミュの様子次第ではもっと大変になる……と大きなため息が出た。
これはある地方にいる文官からで、木こりの家に王妃様が自ら出向いて家具にするための木材を見つけに来た。知らないのも不思議は無いと思い、家具にするためには4.5年乾かさないといけないからと言ったら『婚礼は早くても6.7年先でしょうから問題ないです』と言ったらしい。
その木こりの家の先にある炭焼小屋にも、母様らしき人物が現れ今年の冬から使う暖炉用の炭として特級品の予約をして帰ったそうだ。……先行投資という名の新しく作る竈の代金白大金貨30枚は謹んでお返しすると。そのうちその辺りの村長が脂汗をかきながら役場に飛び込むだろう。
可哀想だから爺に言っておくよ?直ぐになんとかしてくれるだろう。
次……これはいつも小物を買ってる商人だね???いつも母様御用達なんだから特に言いたいことは……これか。『娘可愛さにノエルが城に滞在する日も多いでしょう』という言葉あり。……有難う母様の思惑Get。
次……おや?リリーに付けてる侍女さんだ。え~と…『お披露目の為の衣装が変な方に進んでます?リリー·ローズという名の通り百合と薔薇の妖精に……』なんてこったい。おそらくリリーの趣味とは真反対だ!リリーの好きな色は緑。スタイルはスッキリ爽やか系。
それとなく母様に言おう。
こういうお仕事をチマチマと勧めていたのだけど、突然「ノエ~~ルゥ~!」と僕の名を歌うように呼ぶ声と共に母様が入室してきた。
「母様……ご機嫌ですね?」
「ええ!ええ!私は今とっても良い気分なのよ!」
ニコニコルンルンの母様はそう言って僕の頭を撫でたり手をとったりと本当に浮かれて様子だ。爺は母様に落ち着いてもらおうとお茶を用意し僕に視線をよこしたので僕はそれに従ってテーブルヘ母様をエスコートした。
「ところで母様……ちょっと、母様の言い間違いで大問題になりそうなのでお伺いしたいのですが?」
そう、ここまでの流れの中で大きな間違いあるよね?とっても!とっても!大きな間違い!!
「あら?そんな事が?いったい何かしら?」
……母様……リリーは母様の養女ではありません!ローランドとサミュの養女ですよ。母様ったら浮かれて自分の養女の様に言ったものだからアッチコッチから発表と王妃の言葉が違うって混乱した問い合わせがあるんですよ。
それにサミュだって混乱してる筈だ。とりあえず明日スサエナに帰ってサミュに説明してくるので母様はこれ以上ややこしくしないで下さい!
アッチコッチへの説明やら後始末やらで疲れてるのに明日会うサミュの様子次第ではもっと大変になる……と大きなため息が出た。
59
あなたにおすすめの小説
公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜
上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。
体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。
両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。
せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない?
しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……?
どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに?
偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも?
……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない??
―――
病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。
※別名義で連載していた作品になります。
(名義を統合しこちらに移動することになりました)
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
愛を知らない少年たちの番物語。
あゆみん
BL
親から愛されることなく育った不憫な三兄弟が異世界で番に待ち焦がれた獣たちから愛を注がれ、一途な愛に戸惑いながらも幸せになる物語。
*触れ合いシーンは★マークをつけます。
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
流れる星、どうかお願い
ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる)
オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年
高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼
そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ
”要が幸せになりますように”
オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ
王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに!
一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので
ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが
お付き合いください!
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる