Ωの僕がお偉いさん

新たな発見が

　サミュのところから領主館へ帰って来ると物凄い勢いでアンリに捕まった。

　「母上捕まえました!早速ですがお仕事が待ってます!」

　僕より体格の良くなっているアンリに抵抗するのは疲れるだけなので大人しく肩に担がれて移動する。
　おお～!階段も軽々と登っちゃうんだねぇ～。と感心してると侍女さんの1人が慌ててよって来た。

　「アンリ様!ダメですよノエル様をそうやって持っちゃ!!」

　アンリを止めて肩から僕を降ろさせると、僕を持ち運び時は縦抱っこにするか横抱きにするかだと注意をしている。

　「??なぜだ？特に苦しい体制でも無いだろう。母上もおとなしいぞ?」

　「何を仰ってるんですか!お腹に赤ちゃんいたら大変ですよ!」

　思わずブフォっと吹いた。

　「!!!エッ……」

　ちょっと!!僕の子供に向かって何を言ってるの!
アンリ、キミもキミで僕のお腹をじっと見てサワサワしないので!

　いきなりの侍女さん爆弾発言に『そんなワケないでしょ!』と返した筈だったけど実際には「そそそそんｎな」と切り出してしまった為、説得力というか否定の言葉は弱いものになってしまった。

　「は　母上、本当ですか?」

　……え、本当にナニ言ってるの君達。
誤解を解くのに苦労したが僕はここで新たな発見があったのだ。それはΩでない者達はΩの事をほぼ理解して無い事だ。そこら辺の事もΩの社会進出の為に力を入れてきたつもりだったが今一つらしい。

　「……アンリ君、事情聴取です。」

　僕はそう告げると「あ、なんか嫌な予感……」と逃げ出そうとするアンリを捕まえて取り調べ室……もとい、執務室へ入った。
　因みに、爆弾発言をかました侍女さんは"暇だったからからかった”という事が判明したので罰として今日からオヤツ3倍の刑にしてあげた。『そんな!嬉しいのに全然嬉しくない!ダイエットが台無し!』という呟きが聞けたので良しとした。
　そういえば今日のオヤツはドーナツだったな。いや～カロリー爆弾だね。



　「……母様……あの、ですね?」

　アンリったら呼び方が子供の頃に戻っちゃうくらい動揺してるねぇ。どうしたの?

　「い､い、いくら母様にでも…その…」

　うーん、そんなに僕の『アンリの性知識はどの程度?』って聞いただけじゃない。そんなに?

　「爺ーーーーーー!!!」

　あ、逃げた。しかも爺を呼びながら逃げた!ちょっと!爺はあくまでも僕の爺であって、キミ達の爺じゃ無いの!!


　「ｸﾄﾞｸﾄﾞ　ｸﾄﾞｸﾄﾞ……ハァ。確かにノエル様は親ですから聞きたいでしょうが、アンリ様とてもうお年頃なのですから言いにくい事の一つやふたつ……」

　何故か爺に説教されてるが、その爺の言葉から僕は大事な大事な役目を思い出した!

　「……そういえば、2人の閨指導を決めてなかったね。」

　僕の呟きの直後、アンリは逃亡した。ちょっと!大事な話だよ!爺、捕まえて!!