Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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僕の為

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 7才になった僕には2才の弟がいる。とても可愛くてよく遊んであげてる。午前の勉強を終えて母の部屋に行くと「ニィニ」と言って抱きついてくる。2才の幼児とはいえαの弟は大きい。一方、7才とはいえΩの僕は小さい。だから弟が抱きついてくる時は僕を支える腕がサッと出される。今日の腕は…あれ?いつもより逞しい。
 顔をあげると父の腕だった。弟ごと僕を抱き上げてヒゲじょり攻撃をしてくる。キャーキャー騒いでやっと降ろしてもらえた時には僕はもう息絶え絶えになっていたため母に叱られてる父を見て思わず笑ってしまう。

 父と母の機嫌を見ておねだり開始だ。

「ねぇ父様お願い。ノエルのお願い聞いて?」

体が人一倍大きくゴツい父は華奢な僕のおねだりにとても弱い。それをわかっていて父の足にしがみついてのおねだりだ。
 「どーしたどーした?」と目尻を下げきって訪ねてくれる父に出来るだけ可愛く、愛らしくお願いする。

「僕の為に先生をもう1人付けて?」

 まぁ!と父の答えの前に母から声がした。

「ノエルあなたはもういっぱいお勉強しているじゃない。これ以上もっと勉強するの?母様といる時間がなくなってしまうわ!」

「母様、大丈夫!先生と言ってもお勉強の先生じゃないよ」

 絶対にダメと言われる前に慌てて答える。
「では何の先生か」と2人に聞かれて「市井の先生」と答えた。

「僕はもう後5年待たずにお城から出るんだから、普通の市民の暮らしを覚えなくちゃ。」

 母が泣きそうになるのを慰めながらお願いする。

「ねぇノエル、お城を出てもあなたが困らないように母様が全部手配するわ。それじゃダメ?」

 母はずっとこう言ってる。城の近くの貴族街に屋敷を買って、城で母が厳選した執事、メイドを雇い警備を父の護衛騎士から選ぶと言うのだ。
 僕が城から出ると決まった時から父もそのつもりだったらしく、執事とメイドはもう候補が絞られていた。

 僕の考える…というか、有力貴族が考えた暮らしとはほど遠いだろう。

「母様、ありがとう。でもそれじゃ意味無いでしょ?大丈夫だよ。そのために今から準備していくんだから。ね?」

 父も難しい顔しないで。ほら、僕の可愛い弟のローランド君が拗ねちゃうよ。
 母を安心させるため、父にこれからの計画を進めて貰うため、僕はコツコツとやってきた事の一部を知らせる事にした。

「父様、母様今日の夜にお時間をいただけますか?ちょっとお見せしたいものがあるんです。」

 僕の悪戯っ子のような笑みが意外だったのか、父と母が顔を見合わせて目をパチパチさせている。
 さぁて、どれを見せようかなぁ~。
 





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