Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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爺は最高

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 名残惜しい手を解いてキスを贈り部屋を出た。この格好のまま堂々と納屋へ直行だ。
 荷車にポニ太を繋いで母から貰ったバッグを乗せる。さて、と振り向いた所に爺がいた!
ああもう、吃驚させないでよ。

「爺、見送りに来てくれたの?」

「爺はずっと一緒でございますよ。」

「え?だって……爺……。」

「爺はもう城は飽きました。もっと自由な場所で綺麗な物に囲まれて暮らしたいのです。」

「良いの?」

「はい。王様と王妃様にはもうずっと前に許可を戴いてました。その時が参りましたら爺は共に参りますと。」

……フフフ。嬉しいなぁ、嬉しい予想外。
じゃあ、とりあえず爺の街の家があるというのでそこへ向かいましょうか?いやいやちょっと待て。

「あ、爺待って。ちょっとお願いがあるんだ。」

 念の為だからと先に言いおいてから話を進めた。
次代の王位を脅かすものとして処分という選択肢がある今、爺と城を出るのは危険過ぎる。僕がいくら姿を変えても爺の事は城の皆が知っているからその側にいる子供が僕だと想像は容易い。

「だから、お願い。1ヶ月後父親役のターダの行方不明の知らせを持って店に来て。店の位置は母様への手紙に書いてある。」

 真剣な顔で頷く爺に別れを告げて、ポニ太に乗って早足で城の門へ向かった。途中父と母の部屋を見られる場所で振り返ると、母のガッツポーズが……。母様、手紙読んでくれたらしい。父が蝋燭を持って何かに…あ、僕の手紙だね。火をつけて証拠隠滅とばかりに笑ってた。隣の部屋の窓が開いて弟が顔を出すと、「兄様のバカァーーー」と泣きわめいて慌てた爺に口を押さえられてる。
 あーあ、この後大変だ。ああなった弟は止まらないのだ。僕が抱っこして甘やかしてあげてやっと収まるのを皆知らないから…。爺、後よろしく。

ちょっと、しんみりした雰囲気が弟の声で霧散した。それどころか弟の大声に慌てる父母を見て笑ってしまった。
 
 さて、気を抜かず行かなければ。ポニ太よろしくお願いね?
 このポニ太は甘えっこなんだけど、足は早いし持久力は凄いし、頭も良いとってもいい子なんだ。
今も荷車引いてるのにかなり早い。うーん自転車…
ゆっくり目のロードバイク位の速さかな?

 色々な事あったから時間が結構たっていてもう夕刻だ。一般人の僕が街の門から出られるのはあと一刻の間かな?うーん子供だからこの時間でも止められるかも……。


 王子の姿なので外套を深く被って街の外へ向かう。門周辺はあまり治安が良くないから早く通りたい。母からのバッグは僕の外套の中に入れて守っているから心配無い。
 え?荷車は何のためかって?ポニ太は最高級の藁束とお馬様用穀物を運んでます。藁束はともかく穀物は高いからね~これくらい良いでしょう。

 そんなこんなを考えてる間に門を抜けた。
あーあ抜けちゃった。じゃあやっぱり追っ手がかかるんだろう。ポニ太を走らせて人影が無いのを確認して森へ入る。

 完全に隠れてるな…車輪の跡もない。ポニ太の鬣の飾りを取って普通のポニーに、荷車は…ちょっと土で汚せばいいか。後は僕が元の姿に戻って……よし。
 実は服もリバーシブル。前世の記憶から忍者の技?の衣替えの術を使わせて貰った。














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