Ωの僕がお偉いさん

白いモフモフ

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番候補

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 「いや違った。私は恐らくお前の番だ。お前は私に何か言うことは無いのか。」

 真っ直ぐに僕を見て言うと僕が無視したり否定したりするとは思わないようで威張った…イヤイヤ偉そう…イヤイヤ 尊大な様子で待っている。

「何か とはどんな事でしょうか?」

「そんな事も解らないのか!!」

続きの言葉が発せられる前に大きめの釘をトントンっと打ってやろう。

「まさか、優秀なαがΩに小難しい事を言わせたいとは思いませんが、反対に自己紹介やαに対しての賛美が聞きたいって事もないでしょう?」

「お前は私のΩの筈なのに随分と余裕があるな…そうか、お前はまだ発情期前の子供か。」

なぜか勝ち誇るように胸を反らし自分の方こそ余裕があるのだと見せているみたいだが、僕にはそれこそ滑稽だよ。

「プライベートまで踏み込んだ部分にお答えする気はありませんが、誰が見ても解るでしょ?僕はまだ未成年ですよ?」

「お前本当にΩなのか?」

…いい加減お前呼ばわりされるの嫌になってきたな。
でも名前教えるのも嫌だし…。どうしようかな?

「オイ!!聞いているのか! お前は!…」

「ああもう!さっきから、お前お前と人のこと呼んで失礼じゃないですか?名前を知らなくても呼び方はあるでしょう?!」

「な‥一般人が貴族に対して無礼ではないか!!」

怒りが募ってきたのか顔が真っ赤になっている。手が腰の方に伸びてるので剣に手をかけるかも知れない。

「なんですか?無礼打ちする気ですか。確か前王様の時代に禁止になってますよ。如何なる商人、町人、農民、村民悪意ない一般人に王侯貴族が刃を向けてはならないって。貴族ならご存知でしょう。」

「生意気だぞ!私が誰だか知っているのか!」

「面倒な人ですね。自分で名乗らないのだから知るわけがないでしょう?一般人は。」

…知ってるけど。こんな面倒な人が番候補なんてヤダよ~。

 あ、怒ってる。わかりやすい人だなぁ貴族社会は笑顔で腹のさぐり合いが基本でしょうに。そんなんじゃこれからの貴族社会を乗り切れませんよ?

「仕方が無い。無教養のお前に教えてやろう。」

「いえ、聞きたくないです。どうせ何処其処の大貴族の次期当主とか大領地の領主様だとか言うのでしょう。そういうの要りませんから。」

「フンッ、やはりΩだな。まぁ良い今日は帰ってやろう。周りの大人に私への返事の仕方について習っておけ!」

 そのまま来た方向へ帰って行った。
あーあ、せっかく楽しい1日だったのに最後の最後で台無しだよ。

 戸締まりをすべて終えて、ポニ太とポニ子にお休みをして2階に上がった。

「お疲れ様ねノエル。あんな番だなんて、お母様も大変だと思うわ~。」

「そうなんだよね~……!!って!!お母様!?爺…なんでお母様まで連れて来ちゃったの?」

「申し訳御座いませんが爺はお連れして御座いません。爺が参りますともう王妃様はいらっしゃいましたので。」

 嘘でしょう?じゃあお母様は1人で来ちゃったの?
振り返ってお母様を見ると何時ものように柔らかい微笑みでニッコリしている。

「大丈夫よ。ここまでは王様が送って下さったから安心なさい。」

 どうやって安心したら良いのでしょうね!?

「お父様はどうしたの?」

「2人ともお城から離れる訳には行かないじゃない?だから直ぐにお帰りになったわ。」

 親子が揃わないのは寂しいわね。なんて悲しそうに呟いていますが、僕がお城を出たのはつい1週間程前でしかありません。









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