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メイドの館
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「掃除用具はそこにある用具入れに戻しなさい」
「はい……」
自分が吐いた吐瀉物の掃除を終えると、メイド長に命令されて掃除用具を駐車場の隅にある用具置き場に戻した。
並木美壽々と名のったメイド長は白髪交じりの60代老婆だけど……
体格が大きいわけでもないのに、威圧感があって強そうで、戦って勝てる気がしなかった。
天井が高くて広いコンクリート製の屋内駐車場は、軍の施設みたいに頑丈そうな建物だった。
党幹部しか乗れないような高級乗用車の他に大型バスやライトバンまである。大型ダンプにクレーンが付いたトラックまであるけど、何でなんだろう。
ターニャが車を止めた場所を見ると、コンクリートの床に白い文字でターニャと書いてあった。隣に止まっている車の前にもターニャと書いてあるけど、こっちもターニャの車なのかな?
隣の車も平べったくて、フロントガラスだけで屋根も壁も無いけど、事故で壊れた車なのかな?
これだけ車があっても半分は空いていて、まだ10台ぐらいは車を止められそうな感じだった。
メイド長に案内されて、駐車場の奥にある入り口から建物の中へ入った。
宮殿みたいな建物かと思ったら、中は普通の集合住宅だった。
奥まで50mぐらいある長いコンクリートの無機質な廊下の右手側に、ドアが並んでいた。数えてみると12部屋ある。左手側は不透明なガラスが固定された壁で明かりは入るけど外は見えない。
廊下の左手側にある階段を上って3階へ案内された、この建物は3階まであるみたい。
メイド長は3階の奥から3番目の部屋のドアを開けた。
「ここがあなたの部屋です、荷物を整理して呼ぶまで待っていなさい」
部屋に入るとかなり広い、4m×4mぐらいある。
床には大きなカーキ色の板が8枚、敷き詰めてある。
たしか、畳と呼ばれる日本の床板だよね。
私の個室でいいのかな、ソビエトだったら家族4人以上じゃないと住めない部屋だよ。
ベッドと机が置いてあって、トイレと洗面台もある。
二人が寝られそうな広いベッドには、暖かそうな汚れ一つない布団が乗っていた。
窓には綺麗なカーテンがかかっているから、開けてみた。
外を見ると、建物のすぐ前に高い木が生えていて、外は見えなかった。
下を見ると、普通に草の生えた地面があるだけだった。
窓から左右を見回すと、右側にある建物は入ってきた屋内駐車場だよね。
左側には四階建ての大きな建物があって、前も左右も外は見えなかった。
このお屋敷って周囲を2m以上の塀が囲っているみたいだけど、脱走出来ないようになっているのかな……
まだ二月が終わったところなのに暖かい、祖国を出る時はまだ氷点下だったのに、サイタマの気温は10度はある、この国はロシアよりも暖かいんだと知った。
乗り物酔いが治ったらお腹がすいてきた。
今朝、満腹になるまで食べたのに、全部吐いてしまったからだ。
時計がないから時間が分からないけど、お昼ごはんは貰えるのかな?
とりあえず、荷物を広げた。
着替えと、簡単な日用品に、日本語とロシア語の辞書と文房具に、ソビエトの思い出が詰まった写真のアルバムを持ってきた。
とりあえず、辞書を机の上に付いている本棚に並べた。
これから日本の学校に通うんだよね。
お父さんが言ってた、ロシアでは受けられない教育ってどんなのだろう?
冬の外套は必要なさそうなので、袋に詰めたままにしておいた。
特にやることがなくて、不安に耐えるために偉大な祖国の英雄たちの話を頭の中で巡らせた。
大祖国戦争でソビエト英雄になったゾーヤ・アナトリエフナ・コスモデミャンスカヤだって、ファシストの強姦にも拷問にも屈しなかった。
社会主義労働英雄マリア・ボリソヴナ・ブルスキナだって
アルザノヴァ、ガリナ・アレクサンドロヴナだって、
偉大な先人はみんなファシストに屈しなかった。
私だって、これからどんな酷いことをされても負けない、ユーリーが待っててくれるもの。
私はボロボロになるまで犯されても、資本家の豚小屋の汚物をすすってでも生きると決心を再確認するため、写真アルバムを開いて、お爺ちゃんに会いにモスクワに行ったときの写真を眺めた。
ノヴォデヴィチ墓地に眠る英雄達のお墓参りをさせてもらった時に撮影したゾーヤ・アナトリエフナ・コスモデミャンスカヤのお墓の写真を見ると、拷問・強姦・吊し首にされた姿を等身大の銅像にした墓碑……
子供の頃は勇敢な偉人だと思っていたけど、自分が英雄の像と同じ姿になるのを想像したら怖くなって、アルバムを閉じた。
ふと、ソビエト英雄で生きて帰った人が、一人も居ないことが頭をよぎった。みんな死んでから英雄になった。
ダメだ、拷問に耐えて生きて帰った英雄が誰かいなかったか、必死で思い出そうとしたけど……
どう考えても、みんなファシストに殺されてから英雄になっていた。
必死で頭から恐怖と不安を振り払おうとしていると、ドアをノックする音がした。ドアをあけると、ウエーブがかかった黒髪が肩まである白人女性がいた。
彼女はターニャと少し違うメイド服を着ていた。
コルセットみたいに前にヒモがあってウエストが締まっているけど、胸元が開いて大きな谷間が見えている。
「いらっしゃい、イリーナ。あたしは、ミリアム・フォン・ホルシュタインよろしくねぇ」
私より少しだけ、背が低い女性は、笑顔で明るく挨拶した。
私は癖で同志と言いそうになったけど、日本語で挨拶を返した。
「はじめまして、ホルスタインさん」
彼女は怒って抗議してきた。
「ホルスタインじゃなくてぇ、ホルシュタイン、ホルスタインは乳牛の事だよぉ」
彼女は乳牛のように大きな乳を、ゆらしながら訂正してきた。
「名字で呼ばれると牛みたいだから、名前でミリアムって呼んでね」
私は無難に日本語で返事をした。
「はい、ミリアムさん」
ミリアムは気軽に言った。
「ココはみんな平等だから呼び捨てでいいよ」
みんな平等、いい人で良かった。
ミリアムは自己紹介を始めた。
「あたしも四月から高校一年生なんだ、一緒に学校に通う友達が出来てうれしいよ。あたしは生まれも育ちも日本の東京だから、何でも聞いてね」
「ありがとうございます」
私は無難にお礼を言った。
「ターニャが英語が壊滅してるから、面倒見ろって言ってたんでぇ、英語は得意だから、まかせてちょうだい」
私は気になって訪ねた。
「ミリアムはどこの国の人ですか?」
「ドイツ人だよ」
私は資本主義者なのか、共産主義者なのか、気になった。
「西ですか? 東ですか?」
ミリアムは首をかしげた。
「うーん、どっちでもないドイツなんだけどねぇ」
私にはミリアムが話す日本語の意味が理解できなかった。
西(資本主義)でも東(共産主義)でもないドイツとはドコのことなんだろう?
「どちらでもないドイツですか?」
ミリアムはフワフワとした口調で説明してくれた。
「まあ、なんていうかぁ、あたしのお爺ちゃんは、ドイツにいられなくなって、日本に逃げてきた人だからぁ」
ドイツから逃げてきたって事は、東から西へ逃げた亡命者なのかな?
「ミリアムの家族はどうしていますか?」
ミリアムは明るく答えた。
「誰もいないよ」
「どうして誰もいないのですか?」
「ベルリンの壁が崩壊したら、ドイツに帰っちゃった」
私は意外な家族関係に驚いた。
「ミリアム一人だけ置いてですか?」
「うん、あたし一人ぼっちだよ」
ミリアムは良く分からない説明を続けた。
「あたしは生まれも育ちも日本なわけで、ドイツに行ったことないし、ドイツ語よくわかんないし。あたしの故郷じゃないって、ダダこねたんだけどぉ、ダメだったの」
「どうしてダメだったのですか?」
「家も土地も全部、お爺ちゃんが売っちゃったから、住む家が無くてメイドになったのぉ」
あれ、ミリアムは家族から捨てられたの?
まさか、性奴隷になる以外に生きていく方法が無いの?
私が状況把握に困っていると、ミリアムは部屋の入り口で立ち話を終わりにした。
「御屋形様はしばらく帰ってこないから。今いる人だけでも紹介するから、1階の食堂に行こう」
私達は階段を降りて1階に行くと、廊下の向こうに共同食堂があった。
食堂に入るとメイド長が前に立って、9人がテーブルに座って待っていた。
全員がメイド服を着て、私を含めて今ココに12人の女性がいる。
かなり広くて、20人分の椅子とテーブルが並んで、奥が厨房になっている。
大資本家の宮殿だと思ったら、ソビエトより建物が広くて綺麗な事以外はそんなに代わり映えしない感じだった。
ターニャがゲロ女って目で私を見ている、英語が出来ないことも、ゲロも皆に言いふらされているんだ……
私が周囲を見回していると、ミリアムが説明してくれた。
「ここがメイドさんの食堂だからぁ、交代で食事当番だからねぇ。こんど、ロシア料理を食べさせてよ」
ミリアムは自慢げに、こっそりと耳打ちしてきた。
「親族一同からかき集めたドイツに持っていけない、すごいコレクションがあるんだ、後で見せてあげるねぇ」
ミリアムも椅子に座ると、メイド長が皆の前で私を紹介してくれた。
「今日から当家のメイドになったイリーナです。ソビエト育ちで、日本に不慣れなので、皆さんで指導してあげてください」
私は無難に日本語で挨拶した。
「イリーナ・アレクセーヴナ・イシュコワです。初めて日本に来たばかりで不慣れですが、よろしくご指導お願いします」
メイド長が皆に命令した。
「ターニャとミリアムは、もう知っていますね。一人、居ませんが、端から順番に自己紹介しなさい」
一人目はセミロングの黒髪にブラウンの目をしたヨーロッパ人が名乗った。上品で私よりも年上みたいな感じだ。
「ダイアナ・ハドソン、イギリスのロンドン生まれです。趣味はファミコンで十六連射できます。4月から大学の法学部に入学します。将来の夢は弁護士になることで、在学中に司法試験合格を目指しています」
続いて、つり目のアジア人みたいな2人目が名乗った。頭の上に白い小さな袋を左右にかぶせているけど、髪飾りなのかな?
「李徵美(リ・チョウ・メイ)アルよ、メイと呼ぶアル。来月から高校二年生アルね。休日はゲーセンに入り浸ってるアル、中国人だけど中国拳法使えないヨ」
3人目は長い黒髪を後ろでまとめて、緑の目に眼鏡をかけた、長身の白人だった。落ち着いた大人だけど、若そうにも見えて、すごい美人だけど何歳なんだろう?
「セシル・ヴァリス、スイス人です。趣味は美容と日本の中世考古学研究です、この家は宝の山です」
メイド長の美壽々が補足した。
「難しい日本語が分からない時はセシルに聞きなさい、日本人より詳しいです」
日本人じゃないけど日本語に詳しいの?
4人目は四十歳ぐらいのラテン系の女性だ、短髪で長身のごつい感じで、ぶっきらぼうに名乗った。
「アニータ・ゴーダ・ミストラル、力仕事と暴力が専門」
5人目はショートボブにした銀髪で青い目、色白でほっそりした人形みたいに綺麗な子だ。身長は私も含めて一番低いけど、まだ子供みたいだ。
「郷田・クリスチーネです、中学一年生になります。アニータの娘だけど、人造人間です、趣味は漫画を描くこと」
なんだか、よくわからない事を言ったけど、子供だからなのかな?
6人目は頭に白い布を巻いて髪の毛を隠している。アラブ人なのかな?
色白だけど、白人のような黒人のような、見慣れない人種だった。
「ジャミラ・マンジェリカ・ユーフォルビアです。高校二年生になる先輩です。アルジェリア人で主な仕事は機械整備です、怪獣じゃないからね」
7人目は細身で小柄な、長い黒髪をポニーテールにした日本人みたいだ。
見た目は綺麗だけど、美人というより化粧で作っている感じがする。
「山本蝶子、来月から高三になる先輩だ。一応、既婚者で旦那がいるよ」
8人目で最後だ、身長は私と同じぐらい、二十代半ばぐらいの、ぽっちゃりした日本人女性だ。長い髪の毛を左右の高い位置で縛って垂らしている髪型が微妙に似合っていない。
「清水花子です」
彼女は名前だけ名乗ると私に質問してきた。
「ところで、イリーナの家族はどんな人ですか」
お父さんは日本の社長になったけど、自慢したい家族を正直に答えた。
「父はコルホーズの政治指導員で母は船の司厨長をしています。年の離れた兄はモスクワに行ってKGBで働いています、三人だけです」
花子と名乗った女性は次の質問をしてきた。
「イリーナのお父さん側のお爺さんはどんな人でしたか」
お爺ちゃん、そういえば、大資本家はお爺ちゃんの知り合いなのかな?
「祖父はモスクワ暮らしだったので、数回しか会ったことがありません。私が小さい時に亡くなったので、あまりよく知りません」
正直なところ、お爺ちゃんの事はよく知らない。
お父さんの部屋にはお爺ちゃんが貰った沢山の勲章が飾ってあった。
ソビエト人民を飢餓から救った労働英雄だって聞いたけど、銅像とか展示とか伝記とか、見たことも聞いたこともないし、あんまり詳しい事は知らない。
花子は私への質問が終わると「今日のお昼は海鮮丼だよ」と言って食器を並べ始めた。
私も入れて十二人がこの家のメイドみたいだった。
一人、居ないと言ってたけど、どこに行ったんだろう?
多種多様な魚介類を、白米が一杯の大きな陶器の器に入れた、海鮮丼と呼ばれる料理は美味しかった。
資本家の豚小屋だと思っていたところは、意外と快適そうでソビエトの青年団(コムソモール)みたいなところだと感じた。
革命前の共産党だって、こんなところから同志を集めて、革命を成功させたんだ、私も同志を増やして革命を目指そうと決意を固めた。
美味しい物でお腹いっぱいになると、不安が消えてすっかりくつろいだ。
お昼ご飯が終わると、ミリアムが手を上げた。
「美壽々、あたしはイリーナに英語教えたいんだけど、午後は抜けていいですかぁ」
メイド長は許可を出した。
「よろしいでしょう」
「イリーナちゃん、あたしの部屋に行こう」
私はミリアムの部屋で、勉強を教わることになった。
私の部屋の隣がミリアムの部屋なんだ。
部屋に入ると驚いた。広いと思った部屋が狭く見えるほど、びっしりとコレクションが並んでいた。ミリアムは悪びれもせずに、自慢した。
「あたしの自慢のコレクションだよ」
私は部屋の壁に大きく掲げられた鈎十字の旗を見て怒りに震え、絶叫してしまった。
「ファシストォォォ!」
ミリアムはほんわかと言い返した。
「ナチスだよ」
私が怒りに固まっているのに、ミリアムは棚に飾ってある勲章を指さしてコレクション自慢を始めた。
「すごいでしょ、これね、授与者から譲ってもらった、本物の騎士鉄十字章だよぉ」
続いて、ミリアムは等身大の男性の人形に着せた薄汚れた軍服を指さした。
「この野戦服はねぇ、本当に第二次世界大戦で着ていた本物でぇ、軍隊手帳とか全部、付いてるんだよ、バラせないよ」
続いて、壁に掛けてある薄汚れた茶色に緑の模様が入った迷彩服を指さした。
「これがお気に入りの普段着、武装SSが使っていた複製品じゃない本物のM44瓦礫迷彩服だよぉ」
彼女は一人で自慢話を続けた。部屋の真ん中に置いてある機関銃を指さすと解説を始めた。
「一番の自慢はMG34フルセット、無可動銃なんだけどねぇ、ラフェッテ34は完動品だよ」
ミリアムは床に置いてある金属の箱を持ち上げると、一人で自慢話を続けた。
「こっちの34型弾薬箱はアルミ製でぇ、こっちのジャーマングレーは鉄製なんだよ」
ミリアムが一人で自慢話を続ける中で、少年団で叩きこまれたファシストへの憎悪が膨れ上がり、私は殺意の波動に目覚めた。
人形に着せられた軍服にぶら下がっている銃剣を奪って引き抜いた。
「祖国万歳!」と叫んでミリアムの腹を刺して、そのまま勢いでベッドに倒れ込むと巨大な乳に顔が埋まった。
私はファシストを絶命させるため、銃剣で腹をえぐったけど、ミリアムは喜んでいた。
「イリーナちゃん、くすぐったいよぉ、いきなり押し倒すなんて大胆すぎるよぉ」
私は自分が刺したミリアムのお腹を見た。
銃剣の刃はグニャリと曲がっていた。
銃剣をよく見ると、銀色に輝く刀身は金属ではなく、銀色に塗装されたゴムで出来ていた。
「もう、いきなり大胆すぎるよぉ、あたし生娘(きむすめ)なのにぃ、イリーナちゃんに奪われちゃうのぉ?」
殺意に無反応なミリアムを見て「暖簾に腕押し」という日本の諺が頭をよぎった。
ミリアムはベッドの上で馬乗りになって、ポカーンとしている私の手から銃剣を奪うと、私のスカートの中にさきっちょを入れて下着の上から、グリグリされた。
「イリーナちゃんが、あたしに彼女になって欲しいって、いうならぁ、考えても、いいんだけどぉねぇ」
下着の上から、股間をグリグリされた私は、放心して殺意がどこかへ抜けていった。
ミリアムは体を起こすと私に抱きついた。
「最初はお友達から始めようねぇ」
ミリアムは私に抱きついて、私の顔を柔らかい胸に押しつけた。
柔らかくて気持ちいい……
私は自分が何をしていたのか、何をすべきなのか見失った。
私はファシストの女に煮込まれて、毒も旨味も抜かれた毒キノコの瓶詰のようになっていた。
ミリアムはおっぱいから私の顔を放すと、笑顔を向けた。
「じゃあ、最初はアルファベット24文字から覚えようねぇ」
私は流されるままに、ミリアムと一緒にファシストに囲まれた部屋で歌っていた。
「エー ビー シー ディー イー エフ ジー……」
………
「次は数え歌だよぉ」
「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン……」
………
数時間にわたる英語の勉強に疲れ果てた頃、ジャミラが夕食の時間だと呼びに来た。
夕食はロシアでも見慣れたような、パンとスープだけどイギリスの料理らしい。
今日の夕食はダイアナとアニータが当番みたいだった。
ミリアムは料理が不満そうだった。
「紅茶以外、駄目なメシマズ帝国だよぉ」
「そうですか、スープに柔らかいお肉が入って、私は美味しいと思います」
ダイアナは私に向かってよく分からない事を言った。
「メシマズ帝国の座をロシアに譲位いたしましょうか」
ロシア帝国は大昔に滅びたけど、イギリスは今も大英帝国だよね。
「ありがとうございます」
ジョウイという日本語の意味がわからなかったから適当にお礼を言った。
食後にダイアナが煎れてくれた紅茶がすごく美味しい、こんなに美味しい紅茶を飲んだのは生まれて初めだ。
お腹いっぱいになって部屋に戻ると、服を脱いで綺麗な布団にくるまって眠りについた。
ファシストにいいようにされたけど、西でも東でもないドイツって、ナチス・ドイツの事だったのか。
あれ、ミリアムって逃亡していた戦争犯罪者の子孫なの?
家族が戦争犯罪者だから性奴隷(メイド)になって大資本家に匿って貰っているのかな。ファシストは滅ぼすべき敵だって教えられてきたけど、ミリアムは悪い子じゃ無い気がした。
でも、ファシストと友達になったなんて、お父さんとお母さんには言えないよ……
「はい……」
自分が吐いた吐瀉物の掃除を終えると、メイド長に命令されて掃除用具を駐車場の隅にある用具置き場に戻した。
並木美壽々と名のったメイド長は白髪交じりの60代老婆だけど……
体格が大きいわけでもないのに、威圧感があって強そうで、戦って勝てる気がしなかった。
天井が高くて広いコンクリート製の屋内駐車場は、軍の施設みたいに頑丈そうな建物だった。
党幹部しか乗れないような高級乗用車の他に大型バスやライトバンまである。大型ダンプにクレーンが付いたトラックまであるけど、何でなんだろう。
ターニャが車を止めた場所を見ると、コンクリートの床に白い文字でターニャと書いてあった。隣に止まっている車の前にもターニャと書いてあるけど、こっちもターニャの車なのかな?
隣の車も平べったくて、フロントガラスだけで屋根も壁も無いけど、事故で壊れた車なのかな?
これだけ車があっても半分は空いていて、まだ10台ぐらいは車を止められそうな感じだった。
メイド長に案内されて、駐車場の奥にある入り口から建物の中へ入った。
宮殿みたいな建物かと思ったら、中は普通の集合住宅だった。
奥まで50mぐらいある長いコンクリートの無機質な廊下の右手側に、ドアが並んでいた。数えてみると12部屋ある。左手側は不透明なガラスが固定された壁で明かりは入るけど外は見えない。
廊下の左手側にある階段を上って3階へ案内された、この建物は3階まであるみたい。
メイド長は3階の奥から3番目の部屋のドアを開けた。
「ここがあなたの部屋です、荷物を整理して呼ぶまで待っていなさい」
部屋に入るとかなり広い、4m×4mぐらいある。
床には大きなカーキ色の板が8枚、敷き詰めてある。
たしか、畳と呼ばれる日本の床板だよね。
私の個室でいいのかな、ソビエトだったら家族4人以上じゃないと住めない部屋だよ。
ベッドと机が置いてあって、トイレと洗面台もある。
二人が寝られそうな広いベッドには、暖かそうな汚れ一つない布団が乗っていた。
窓には綺麗なカーテンがかかっているから、開けてみた。
外を見ると、建物のすぐ前に高い木が生えていて、外は見えなかった。
下を見ると、普通に草の生えた地面があるだけだった。
窓から左右を見回すと、右側にある建物は入ってきた屋内駐車場だよね。
左側には四階建ての大きな建物があって、前も左右も外は見えなかった。
このお屋敷って周囲を2m以上の塀が囲っているみたいだけど、脱走出来ないようになっているのかな……
まだ二月が終わったところなのに暖かい、祖国を出る時はまだ氷点下だったのに、サイタマの気温は10度はある、この国はロシアよりも暖かいんだと知った。
乗り物酔いが治ったらお腹がすいてきた。
今朝、満腹になるまで食べたのに、全部吐いてしまったからだ。
時計がないから時間が分からないけど、お昼ごはんは貰えるのかな?
とりあえず、荷物を広げた。
着替えと、簡単な日用品に、日本語とロシア語の辞書と文房具に、ソビエトの思い出が詰まった写真のアルバムを持ってきた。
とりあえず、辞書を机の上に付いている本棚に並べた。
これから日本の学校に通うんだよね。
お父さんが言ってた、ロシアでは受けられない教育ってどんなのだろう?
冬の外套は必要なさそうなので、袋に詰めたままにしておいた。
特にやることがなくて、不安に耐えるために偉大な祖国の英雄たちの話を頭の中で巡らせた。
大祖国戦争でソビエト英雄になったゾーヤ・アナトリエフナ・コスモデミャンスカヤだって、ファシストの強姦にも拷問にも屈しなかった。
社会主義労働英雄マリア・ボリソヴナ・ブルスキナだって
アルザノヴァ、ガリナ・アレクサンドロヴナだって、
偉大な先人はみんなファシストに屈しなかった。
私だって、これからどんな酷いことをされても負けない、ユーリーが待っててくれるもの。
私はボロボロになるまで犯されても、資本家の豚小屋の汚物をすすってでも生きると決心を再確認するため、写真アルバムを開いて、お爺ちゃんに会いにモスクワに行ったときの写真を眺めた。
ノヴォデヴィチ墓地に眠る英雄達のお墓参りをさせてもらった時に撮影したゾーヤ・アナトリエフナ・コスモデミャンスカヤのお墓の写真を見ると、拷問・強姦・吊し首にされた姿を等身大の銅像にした墓碑……
子供の頃は勇敢な偉人だと思っていたけど、自分が英雄の像と同じ姿になるのを想像したら怖くなって、アルバムを閉じた。
ふと、ソビエト英雄で生きて帰った人が、一人も居ないことが頭をよぎった。みんな死んでから英雄になった。
ダメだ、拷問に耐えて生きて帰った英雄が誰かいなかったか、必死で思い出そうとしたけど……
どう考えても、みんなファシストに殺されてから英雄になっていた。
必死で頭から恐怖と不安を振り払おうとしていると、ドアをノックする音がした。ドアをあけると、ウエーブがかかった黒髪が肩まである白人女性がいた。
彼女はターニャと少し違うメイド服を着ていた。
コルセットみたいに前にヒモがあってウエストが締まっているけど、胸元が開いて大きな谷間が見えている。
「いらっしゃい、イリーナ。あたしは、ミリアム・フォン・ホルシュタインよろしくねぇ」
私より少しだけ、背が低い女性は、笑顔で明るく挨拶した。
私は癖で同志と言いそうになったけど、日本語で挨拶を返した。
「はじめまして、ホルスタインさん」
彼女は怒って抗議してきた。
「ホルスタインじゃなくてぇ、ホルシュタイン、ホルスタインは乳牛の事だよぉ」
彼女は乳牛のように大きな乳を、ゆらしながら訂正してきた。
「名字で呼ばれると牛みたいだから、名前でミリアムって呼んでね」
私は無難に日本語で返事をした。
「はい、ミリアムさん」
ミリアムは気軽に言った。
「ココはみんな平等だから呼び捨てでいいよ」
みんな平等、いい人で良かった。
ミリアムは自己紹介を始めた。
「あたしも四月から高校一年生なんだ、一緒に学校に通う友達が出来てうれしいよ。あたしは生まれも育ちも日本の東京だから、何でも聞いてね」
「ありがとうございます」
私は無難にお礼を言った。
「ターニャが英語が壊滅してるから、面倒見ろって言ってたんでぇ、英語は得意だから、まかせてちょうだい」
私は気になって訪ねた。
「ミリアムはどこの国の人ですか?」
「ドイツ人だよ」
私は資本主義者なのか、共産主義者なのか、気になった。
「西ですか? 東ですか?」
ミリアムは首をかしげた。
「うーん、どっちでもないドイツなんだけどねぇ」
私にはミリアムが話す日本語の意味が理解できなかった。
西(資本主義)でも東(共産主義)でもないドイツとはドコのことなんだろう?
「どちらでもないドイツですか?」
ミリアムはフワフワとした口調で説明してくれた。
「まあ、なんていうかぁ、あたしのお爺ちゃんは、ドイツにいられなくなって、日本に逃げてきた人だからぁ」
ドイツから逃げてきたって事は、東から西へ逃げた亡命者なのかな?
「ミリアムの家族はどうしていますか?」
ミリアムは明るく答えた。
「誰もいないよ」
「どうして誰もいないのですか?」
「ベルリンの壁が崩壊したら、ドイツに帰っちゃった」
私は意外な家族関係に驚いた。
「ミリアム一人だけ置いてですか?」
「うん、あたし一人ぼっちだよ」
ミリアムは良く分からない説明を続けた。
「あたしは生まれも育ちも日本なわけで、ドイツに行ったことないし、ドイツ語よくわかんないし。あたしの故郷じゃないって、ダダこねたんだけどぉ、ダメだったの」
「どうしてダメだったのですか?」
「家も土地も全部、お爺ちゃんが売っちゃったから、住む家が無くてメイドになったのぉ」
あれ、ミリアムは家族から捨てられたの?
まさか、性奴隷になる以外に生きていく方法が無いの?
私が状況把握に困っていると、ミリアムは部屋の入り口で立ち話を終わりにした。
「御屋形様はしばらく帰ってこないから。今いる人だけでも紹介するから、1階の食堂に行こう」
私達は階段を降りて1階に行くと、廊下の向こうに共同食堂があった。
食堂に入るとメイド長が前に立って、9人がテーブルに座って待っていた。
全員がメイド服を着て、私を含めて今ココに12人の女性がいる。
かなり広くて、20人分の椅子とテーブルが並んで、奥が厨房になっている。
大資本家の宮殿だと思ったら、ソビエトより建物が広くて綺麗な事以外はそんなに代わり映えしない感じだった。
ターニャがゲロ女って目で私を見ている、英語が出来ないことも、ゲロも皆に言いふらされているんだ……
私が周囲を見回していると、ミリアムが説明してくれた。
「ここがメイドさんの食堂だからぁ、交代で食事当番だからねぇ。こんど、ロシア料理を食べさせてよ」
ミリアムは自慢げに、こっそりと耳打ちしてきた。
「親族一同からかき集めたドイツに持っていけない、すごいコレクションがあるんだ、後で見せてあげるねぇ」
ミリアムも椅子に座ると、メイド長が皆の前で私を紹介してくれた。
「今日から当家のメイドになったイリーナです。ソビエト育ちで、日本に不慣れなので、皆さんで指導してあげてください」
私は無難に日本語で挨拶した。
「イリーナ・アレクセーヴナ・イシュコワです。初めて日本に来たばかりで不慣れですが、よろしくご指導お願いします」
メイド長が皆に命令した。
「ターニャとミリアムは、もう知っていますね。一人、居ませんが、端から順番に自己紹介しなさい」
一人目はセミロングの黒髪にブラウンの目をしたヨーロッパ人が名乗った。上品で私よりも年上みたいな感じだ。
「ダイアナ・ハドソン、イギリスのロンドン生まれです。趣味はファミコンで十六連射できます。4月から大学の法学部に入学します。将来の夢は弁護士になることで、在学中に司法試験合格を目指しています」
続いて、つり目のアジア人みたいな2人目が名乗った。頭の上に白い小さな袋を左右にかぶせているけど、髪飾りなのかな?
「李徵美(リ・チョウ・メイ)アルよ、メイと呼ぶアル。来月から高校二年生アルね。休日はゲーセンに入り浸ってるアル、中国人だけど中国拳法使えないヨ」
3人目は長い黒髪を後ろでまとめて、緑の目に眼鏡をかけた、長身の白人だった。落ち着いた大人だけど、若そうにも見えて、すごい美人だけど何歳なんだろう?
「セシル・ヴァリス、スイス人です。趣味は美容と日本の中世考古学研究です、この家は宝の山です」
メイド長の美壽々が補足した。
「難しい日本語が分からない時はセシルに聞きなさい、日本人より詳しいです」
日本人じゃないけど日本語に詳しいの?
4人目は四十歳ぐらいのラテン系の女性だ、短髪で長身のごつい感じで、ぶっきらぼうに名乗った。
「アニータ・ゴーダ・ミストラル、力仕事と暴力が専門」
5人目はショートボブにした銀髪で青い目、色白でほっそりした人形みたいに綺麗な子だ。身長は私も含めて一番低いけど、まだ子供みたいだ。
「郷田・クリスチーネです、中学一年生になります。アニータの娘だけど、人造人間です、趣味は漫画を描くこと」
なんだか、よくわからない事を言ったけど、子供だからなのかな?
6人目は頭に白い布を巻いて髪の毛を隠している。アラブ人なのかな?
色白だけど、白人のような黒人のような、見慣れない人種だった。
「ジャミラ・マンジェリカ・ユーフォルビアです。高校二年生になる先輩です。アルジェリア人で主な仕事は機械整備です、怪獣じゃないからね」
7人目は細身で小柄な、長い黒髪をポニーテールにした日本人みたいだ。
見た目は綺麗だけど、美人というより化粧で作っている感じがする。
「山本蝶子、来月から高三になる先輩だ。一応、既婚者で旦那がいるよ」
8人目で最後だ、身長は私と同じぐらい、二十代半ばぐらいの、ぽっちゃりした日本人女性だ。長い髪の毛を左右の高い位置で縛って垂らしている髪型が微妙に似合っていない。
「清水花子です」
彼女は名前だけ名乗ると私に質問してきた。
「ところで、イリーナの家族はどんな人ですか」
お父さんは日本の社長になったけど、自慢したい家族を正直に答えた。
「父はコルホーズの政治指導員で母は船の司厨長をしています。年の離れた兄はモスクワに行ってKGBで働いています、三人だけです」
花子と名乗った女性は次の質問をしてきた。
「イリーナのお父さん側のお爺さんはどんな人でしたか」
お爺ちゃん、そういえば、大資本家はお爺ちゃんの知り合いなのかな?
「祖父はモスクワ暮らしだったので、数回しか会ったことがありません。私が小さい時に亡くなったので、あまりよく知りません」
正直なところ、お爺ちゃんの事はよく知らない。
お父さんの部屋にはお爺ちゃんが貰った沢山の勲章が飾ってあった。
ソビエト人民を飢餓から救った労働英雄だって聞いたけど、銅像とか展示とか伝記とか、見たことも聞いたこともないし、あんまり詳しい事は知らない。
花子は私への質問が終わると「今日のお昼は海鮮丼だよ」と言って食器を並べ始めた。
私も入れて十二人がこの家のメイドみたいだった。
一人、居ないと言ってたけど、どこに行ったんだろう?
多種多様な魚介類を、白米が一杯の大きな陶器の器に入れた、海鮮丼と呼ばれる料理は美味しかった。
資本家の豚小屋だと思っていたところは、意外と快適そうでソビエトの青年団(コムソモール)みたいなところだと感じた。
革命前の共産党だって、こんなところから同志を集めて、革命を成功させたんだ、私も同志を増やして革命を目指そうと決意を固めた。
美味しい物でお腹いっぱいになると、不安が消えてすっかりくつろいだ。
お昼ご飯が終わると、ミリアムが手を上げた。
「美壽々、あたしはイリーナに英語教えたいんだけど、午後は抜けていいですかぁ」
メイド長は許可を出した。
「よろしいでしょう」
「イリーナちゃん、あたしの部屋に行こう」
私はミリアムの部屋で、勉強を教わることになった。
私の部屋の隣がミリアムの部屋なんだ。
部屋に入ると驚いた。広いと思った部屋が狭く見えるほど、びっしりとコレクションが並んでいた。ミリアムは悪びれもせずに、自慢した。
「あたしの自慢のコレクションだよ」
私は部屋の壁に大きく掲げられた鈎十字の旗を見て怒りに震え、絶叫してしまった。
「ファシストォォォ!」
ミリアムはほんわかと言い返した。
「ナチスだよ」
私が怒りに固まっているのに、ミリアムは棚に飾ってある勲章を指さしてコレクション自慢を始めた。
「すごいでしょ、これね、授与者から譲ってもらった、本物の騎士鉄十字章だよぉ」
続いて、ミリアムは等身大の男性の人形に着せた薄汚れた軍服を指さした。
「この野戦服はねぇ、本当に第二次世界大戦で着ていた本物でぇ、軍隊手帳とか全部、付いてるんだよ、バラせないよ」
続いて、壁に掛けてある薄汚れた茶色に緑の模様が入った迷彩服を指さした。
「これがお気に入りの普段着、武装SSが使っていた複製品じゃない本物のM44瓦礫迷彩服だよぉ」
彼女は一人で自慢話を続けた。部屋の真ん中に置いてある機関銃を指さすと解説を始めた。
「一番の自慢はMG34フルセット、無可動銃なんだけどねぇ、ラフェッテ34は完動品だよ」
ミリアムは床に置いてある金属の箱を持ち上げると、一人で自慢話を続けた。
「こっちの34型弾薬箱はアルミ製でぇ、こっちのジャーマングレーは鉄製なんだよ」
ミリアムが一人で自慢話を続ける中で、少年団で叩きこまれたファシストへの憎悪が膨れ上がり、私は殺意の波動に目覚めた。
人形に着せられた軍服にぶら下がっている銃剣を奪って引き抜いた。
「祖国万歳!」と叫んでミリアムの腹を刺して、そのまま勢いでベッドに倒れ込むと巨大な乳に顔が埋まった。
私はファシストを絶命させるため、銃剣で腹をえぐったけど、ミリアムは喜んでいた。
「イリーナちゃん、くすぐったいよぉ、いきなり押し倒すなんて大胆すぎるよぉ」
私は自分が刺したミリアムのお腹を見た。
銃剣の刃はグニャリと曲がっていた。
銃剣をよく見ると、銀色に輝く刀身は金属ではなく、銀色に塗装されたゴムで出来ていた。
「もう、いきなり大胆すぎるよぉ、あたし生娘(きむすめ)なのにぃ、イリーナちゃんに奪われちゃうのぉ?」
殺意に無反応なミリアムを見て「暖簾に腕押し」という日本の諺が頭をよぎった。
ミリアムはベッドの上で馬乗りになって、ポカーンとしている私の手から銃剣を奪うと、私のスカートの中にさきっちょを入れて下着の上から、グリグリされた。
「イリーナちゃんが、あたしに彼女になって欲しいって、いうならぁ、考えても、いいんだけどぉねぇ」
下着の上から、股間をグリグリされた私は、放心して殺意がどこかへ抜けていった。
ミリアムは体を起こすと私に抱きついた。
「最初はお友達から始めようねぇ」
ミリアムは私に抱きついて、私の顔を柔らかい胸に押しつけた。
柔らかくて気持ちいい……
私は自分が何をしていたのか、何をすべきなのか見失った。
私はファシストの女に煮込まれて、毒も旨味も抜かれた毒キノコの瓶詰のようになっていた。
ミリアムはおっぱいから私の顔を放すと、笑顔を向けた。
「じゃあ、最初はアルファベット24文字から覚えようねぇ」
私は流されるままに、ミリアムと一緒にファシストに囲まれた部屋で歌っていた。
「エー ビー シー ディー イー エフ ジー……」
………
「次は数え歌だよぉ」
「ワン、ツー、スリー、フォー、ファイブ、シックス、セブン……」
………
数時間にわたる英語の勉強に疲れ果てた頃、ジャミラが夕食の時間だと呼びに来た。
夕食はロシアでも見慣れたような、パンとスープだけどイギリスの料理らしい。
今日の夕食はダイアナとアニータが当番みたいだった。
ミリアムは料理が不満そうだった。
「紅茶以外、駄目なメシマズ帝国だよぉ」
「そうですか、スープに柔らかいお肉が入って、私は美味しいと思います」
ダイアナは私に向かってよく分からない事を言った。
「メシマズ帝国の座をロシアに譲位いたしましょうか」
ロシア帝国は大昔に滅びたけど、イギリスは今も大英帝国だよね。
「ありがとうございます」
ジョウイという日本語の意味がわからなかったから適当にお礼を言った。
食後にダイアナが煎れてくれた紅茶がすごく美味しい、こんなに美味しい紅茶を飲んだのは生まれて初めだ。
お腹いっぱいになって部屋に戻ると、服を脱いで綺麗な布団にくるまって眠りについた。
ファシストにいいようにされたけど、西でも東でもないドイツって、ナチス・ドイツの事だったのか。
あれ、ミリアムって逃亡していた戦争犯罪者の子孫なの?
家族が戦争犯罪者だから性奴隷(メイド)になって大資本家に匿って貰っているのかな。ファシストは滅ぼすべき敵だって教えられてきたけど、ミリアムは悪い子じゃ無い気がした。
でも、ファシストと友達になったなんて、お父さんとお母さんには言えないよ……
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