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どうして
しおりを挟む「……本当に、僕でよかったんですか。」
金糸のカーテン越しに差し込む陽光の中、僕は指先をぎゅっと握りしめた。
僕の左手には――彼が贈ってくれた婚約指輪がある。
公爵家当主、アルバルト・アレクシス。
アルバルト様が僕に求婚だなんて、最初は何かの冗談だと思った。
彼が、僕に求婚を?
ありえない。だって彼は、名門公爵家のアルファで、社交界でも名の知れた人物だ。
それに比べて僕は、すべてが平凡だ。何をするにも悪くはないが、特別優れているわけでもない。おまけに容姿だって、胸を張れるほどじゃない。
伯爵家とはいえ、数年前から衰退の一途を辿り、今では名ばかりだ。
地位も、財も、血筋の力も――彼には遠く及ばない。
それでも。
「……嬉しかったんです。」
彼のまっすぐな視線。
緊張した面持ちで声が、わずかに震えていたことを、僕は見逃さなかった。
あの不器用な優しさに触れたくて、僕はそっとうなずいた。
そして、僕たちは婚約した。
だけど……問題は、それからだ。
距離が、少しずつ、確実に遠くなっていった。
――アルバルト様は、僕に触れようとしない。
ただ、あの日を除いて。
発情期。
本能がすべてを支配する夜だけは、アルバルト様は僕を抱く。
強く、求めるように。
それでいて、どこか“義務”のような温度で。
求められているはずなのに、それがただ、苦しかった。
普段は話しかけても、視線さえ合わせてくれない日もある。
一緒に朝食を取ることも減った。
声をかけようとすれば、「執務が立て込んでいる」と背を向けられる。
そして今日――
見てしまった。
街角で、美しい令嬢と談笑するアルバルト様の姿を。
彼は笑っていた。
やわらかくて、やさしい、僕の知らない笑みで。
「……僕には、あんな顔、見せてくださらないのに。」
胸の奥が、きゅう、と締めつけられる。
息が詰まりそうで、その場から逃げ出した。
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初めまして。読んでくださりありがとうございます。
この作品で初めて小説に挑戦してみたので、分かりずらい、設定がおかしいなどあると思います。暖かい目で読んでくださると嬉しいです♪
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