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「アメリアの作るご飯を食べられるなんて夢みたいです。」
アルフード様は嬉しそうに目の前の質素なパンとシチューに手を伸ばした。
いつも食べているものの方が絶対おいしいでしょう…
目の前で美味しそうにご飯を食べるアルフードを見つめた。
こんな綺麗にご飯を食べる人なんかいない。
洗練されたアルフードの前で一緒に食事をとることが恥ずかしくなった。
もうマナーの勉強をしなくなってだいぶ経っている。街に来てからマナーを意識して食事をとることもしていなかった。
アメリアがアルフードに向けた視線に気づいて「アメリアは食べないのですか?」と笑う。
いつも通りのアルフード様の笑顔。
それなのに、何かが違う。
「どうして平民になったのですか?」
アメリアの質問にアルフードは首を傾げる。
「アメリアは変な事を言いますね。先に平民となったのはアメリアでしょう?」
「アルフード様は王子です。立派に国を盛りたてていける方です。」
「アメリアもそうではありませんか?王子妃にふさわしいと言われていたでしょう?」
私は違うと言いたかった。
私は二回めだからできただけ…
「アメリアにとって公爵令嬢や王子妃がどうでも良いように私も王子という地位にこだわりはありません。」
アルフード様は私を見つめながら言った。
どうして、そんな事をいうの?
私はアルフード様の事を思って…
アルフード様は誰からも認められるステキな王子様だった。
私の憧れの大切な人。
せめて廃嫡する前に相談してくれれば…
でも…
相談してくれてたら何とかなった?
私がそばにいればよかった?
ううん、それはダメ。私みたいなのがそばにいたらアルフード様の足を引っ張るもの。
それに平民となってしまったアルフード様を元の地位に戻すのはもうできない。
魔女のところに行かなければ…アメリアは時をもう一度戻してもらう事を願った。
アメリアの部屋には一つしかベットがない。
アメリアは床で寝ると言ったが、アルフードは許さなかった。
「アメリアを床で寝かせられません。私が寝ます。」
敷物も何もないのに、アルフード様を床で寝かせるわけにはいかない。
私が寝ますというとアルフード様は困ったような顔をした。
「困りましたね。それなら一緒に寝ましょう。もう王子でも公爵令嬢でもない平民です、誰も非難はしませんよ。何もしないので安心してください。」
ニッコリ笑うアルフード様に何も言えない。
本当に床で寝そうだから。
アルフード様の提案により生まれて初めて同じベットに入った。
狭いベットは二人がピッタリとくっつかなければ寝られないもの。
ドキドキしてアメリアは眠れなかった。
大好きな人が隣にいるのだ。
眠れるはずがない。
「おやすみ、アメリア」
アルフードの甘い声が耳元で聞こえた。
そのうち、スヤスヤと寝息がアルフードから聞こえてきた。
アメリアはアルフードの温もりを感じて涙が止まらなかった。
早くしなくちゃ、もうこの温もりから抜けられなくなってしまう…
溢れる涙を手で拭って音を立てないようにゆっくりと起き上がった。
アメリアはアルフードを見つめると「さようなら、大好きでした」と心の中で言うと家を出る。
暗闇の中、アメリアはランプを片手に魔女の家を思い出しながら必死に走りだした。
アルフード様は嬉しそうに目の前の質素なパンとシチューに手を伸ばした。
いつも食べているものの方が絶対おいしいでしょう…
目の前で美味しそうにご飯を食べるアルフードを見つめた。
こんな綺麗にご飯を食べる人なんかいない。
洗練されたアルフードの前で一緒に食事をとることが恥ずかしくなった。
もうマナーの勉強をしなくなってだいぶ経っている。街に来てからマナーを意識して食事をとることもしていなかった。
アメリアがアルフードに向けた視線に気づいて「アメリアは食べないのですか?」と笑う。
いつも通りのアルフード様の笑顔。
それなのに、何かが違う。
「どうして平民になったのですか?」
アメリアの質問にアルフードは首を傾げる。
「アメリアは変な事を言いますね。先に平民となったのはアメリアでしょう?」
「アルフード様は王子です。立派に国を盛りたてていける方です。」
「アメリアもそうではありませんか?王子妃にふさわしいと言われていたでしょう?」
私は違うと言いたかった。
私は二回めだからできただけ…
「アメリアにとって公爵令嬢や王子妃がどうでも良いように私も王子という地位にこだわりはありません。」
アルフード様は私を見つめながら言った。
どうして、そんな事をいうの?
私はアルフード様の事を思って…
アルフード様は誰からも認められるステキな王子様だった。
私の憧れの大切な人。
せめて廃嫡する前に相談してくれれば…
でも…
相談してくれてたら何とかなった?
私がそばにいればよかった?
ううん、それはダメ。私みたいなのがそばにいたらアルフード様の足を引っ張るもの。
それに平民となってしまったアルフード様を元の地位に戻すのはもうできない。
魔女のところに行かなければ…アメリアは時をもう一度戻してもらう事を願った。
アメリアの部屋には一つしかベットがない。
アメリアは床で寝ると言ったが、アルフードは許さなかった。
「アメリアを床で寝かせられません。私が寝ます。」
敷物も何もないのに、アルフード様を床で寝かせるわけにはいかない。
私が寝ますというとアルフード様は困ったような顔をした。
「困りましたね。それなら一緒に寝ましょう。もう王子でも公爵令嬢でもない平民です、誰も非難はしませんよ。何もしないので安心してください。」
ニッコリ笑うアルフード様に何も言えない。
本当に床で寝そうだから。
アルフード様の提案により生まれて初めて同じベットに入った。
狭いベットは二人がピッタリとくっつかなければ寝られないもの。
ドキドキしてアメリアは眠れなかった。
大好きな人が隣にいるのだ。
眠れるはずがない。
「おやすみ、アメリア」
アルフードの甘い声が耳元で聞こえた。
そのうち、スヤスヤと寝息がアルフードから聞こえてきた。
アメリアはアルフードの温もりを感じて涙が止まらなかった。
早くしなくちゃ、もうこの温もりから抜けられなくなってしまう…
溢れる涙を手で拭って音を立てないようにゆっくりと起き上がった。
アメリアはアルフードを見つめると「さようなら、大好きでした」と心の中で言うと家を出る。
暗闇の中、アメリアはランプを片手に魔女の家を思い出しながら必死に走りだした。
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