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第1章
ヴォルティスとマークバルダ(マークバルダ視点)
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「邪魔をして申し訳ありません。」
珍しく不機嫌なヴォルティス様に向かい謝罪する。
「いや、構わない。」
そう言いながらもヴォルティス様が不貞腐れているのが見てわかる。
この神がそんな表情をするなんて戸惑いを隠せない。
先ほどの聖女候補への笑顔を見て驚いた。
ヴォルティス様が笑う事があるなんて。
世界が破滅する前に裁きを行う神。
誰よりも強く、誰より厳しく、そして誰よりも冷静に判断し裁く。
それがヴォルティス様の役目だ。
微笑む事はあっても、あんなに嬉しそうに笑う姿など見た事がなかった。
感情を出した表情をする事は今までなかった。
最近は穢れにのまれており、命の泉から動く事ができなくなっていたヴォルティス様。
もう人への裁きの時は近い‥
そう思っていた。
だが、ある時いきなり人の世界に行くと言い出した。
そもそも、私が仕えてから人の世界に行ったのは初めての事。
いや、人の世界への行き方も知らないところを見ると、初めて行ったのかもしれない。
ヴォルティス様は、穢れしかうまず、世界を壊そうとする人をよく思っていない。
だから、人の世界は私に任せ、関わろうとはしていなかった。
人に対し興味もなく、同情するわけでもなく、穢れが溜まれば人を裁く。
それがヴォルティス様だ。
その神が人である聖女候補に隣という近い距離を許した。
無言だったヴォルティス様が急に思いついたように口を開く。
「マークバルダ、あれは私だけの聖女だ。他の神にも手出しをしないように言っておけ。」
「ヴォルティス様が聖女を持つのですか?」
驚きを隠せない。
聖女を持てずに穢れを溜めるしかなかったヴォルティス様が‥
「あぁ、私の唯一の聖女だ。まだ絆は結んでいないのに穢れが減っている。心もあたたかさで満たされている。人の心とは穢れだけではないのだな。」
聖女候補と繋いだ手を見てヴォルティス様は嬉しそうに微笑んでいる。
確かにヴォルティス様が動く事ができているのは、体の中の穢れが減っているからだろう。
ただ触れるだけでヴォルティス様の穢れを浄化できる聖女候補。
あたたかい‥
人への評価が変わった。
一人の人と関わっただけで。
他の神が手を出す事は許さないか‥
聖女は別に誰かのものではない。
どの神とも絆を結べる。
唯一があるとすれば神と聖女がそれを望んだ場合だけだ。
一方的に他を許さないなんて‥
まぁ、ヴォルティス様が言えば逆らう神などいないが。
もし、彼女がヴォルティス様の聖女となれば、その力で救えるかもしれない。
人々を‥
私は守りの神であり、皆を守るべき神だ。
人も動物も植物も皆を守りたい。
だが、人の穢れが増えれば全ての生物が滅ぶ。
だから、ヴォルティス様に人が裁かれるのは仕方がない。
そう言い聞かせて納得しても、気持ちは別だ。守り切れない自分の非力さを悔やむしかなかった。
人が穢れをうむのが悪い。
それはそうなのだが‥それでも、毎回私が何かできる事があったのではないかと思ってしまう。
人が神の裁きを受けなくても良くなるかもしれない。
あの聖女候補にはその力があるはずだ。
珍しく不機嫌なヴォルティス様に向かい謝罪する。
「いや、構わない。」
そう言いながらもヴォルティス様が不貞腐れているのが見てわかる。
この神がそんな表情をするなんて戸惑いを隠せない。
先ほどの聖女候補への笑顔を見て驚いた。
ヴォルティス様が笑う事があるなんて。
世界が破滅する前に裁きを行う神。
誰よりも強く、誰より厳しく、そして誰よりも冷静に判断し裁く。
それがヴォルティス様の役目だ。
微笑む事はあっても、あんなに嬉しそうに笑う姿など見た事がなかった。
感情を出した表情をする事は今までなかった。
最近は穢れにのまれており、命の泉から動く事ができなくなっていたヴォルティス様。
もう人への裁きの時は近い‥
そう思っていた。
だが、ある時いきなり人の世界に行くと言い出した。
そもそも、私が仕えてから人の世界に行ったのは初めての事。
いや、人の世界への行き方も知らないところを見ると、初めて行ったのかもしれない。
ヴォルティス様は、穢れしかうまず、世界を壊そうとする人をよく思っていない。
だから、人の世界は私に任せ、関わろうとはしていなかった。
人に対し興味もなく、同情するわけでもなく、穢れが溜まれば人を裁く。
それがヴォルティス様だ。
その神が人である聖女候補に隣という近い距離を許した。
無言だったヴォルティス様が急に思いついたように口を開く。
「マークバルダ、あれは私だけの聖女だ。他の神にも手出しをしないように言っておけ。」
「ヴォルティス様が聖女を持つのですか?」
驚きを隠せない。
聖女を持てずに穢れを溜めるしかなかったヴォルティス様が‥
「あぁ、私の唯一の聖女だ。まだ絆は結んでいないのに穢れが減っている。心もあたたかさで満たされている。人の心とは穢れだけではないのだな。」
聖女候補と繋いだ手を見てヴォルティス様は嬉しそうに微笑んでいる。
確かにヴォルティス様が動く事ができているのは、体の中の穢れが減っているからだろう。
ただ触れるだけでヴォルティス様の穢れを浄化できる聖女候補。
あたたかい‥
人への評価が変わった。
一人の人と関わっただけで。
他の神が手を出す事は許さないか‥
聖女は別に誰かのものではない。
どの神とも絆を結べる。
唯一があるとすれば神と聖女がそれを望んだ場合だけだ。
一方的に他を許さないなんて‥
まぁ、ヴォルティス様が言えば逆らう神などいないが。
もし、彼女がヴォルティス様の聖女となれば、その力で救えるかもしれない。
人々を‥
私は守りの神であり、皆を守るべき神だ。
人も動物も植物も皆を守りたい。
だが、人の穢れが増えれば全ての生物が滅ぶ。
だから、ヴォルティス様に人が裁かれるのは仕方がない。
そう言い聞かせて納得しても、気持ちは別だ。守り切れない自分の非力さを悔やむしかなかった。
人が穢れをうむのが悪い。
それはそうなのだが‥それでも、毎回私が何かできる事があったのではないかと思ってしまう。
人が神の裁きを受けなくても良くなるかもしれない。
あの聖女候補にはその力があるはずだ。
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