12 / 87
第1章
神様との時間
しおりを挟む
「神様、お待たせしました!遅くなりすみません!」
リーナは勢いよく、神様の座るベンチに駆け寄る。
「いや、謝らなくてもいい。この待っている時間もいいものだな。」
ニコニコ顔の神様がいる。
神様がマークバルダ様と消えた次の日もベンチに座っていた。
そこで何者なのかを聞くと
「神だと言ってなかったか?それはすまなかったな。」
とサラッと返された。
「神様ってその辺りにいるんですか?神殿だから?」
って聞いたら神様に笑われた。
「ヴォルティス様、私の名前は‥」
自己紹介しようとすると止められた。
「お前が成人するまで私は名を呼べない。今聞いてしまうと呼びたくなるから、呼べるようになった時に教えてほしい。」
とお願いされた。
「じゃあ、私もその時にお名前を呼ぶようにしますね。私だけ不公平ですもんね!神様って呼びます!成人したら必ず名前を呼んでくださいね、約束ですからね。」
「あぁ、約束だ。その時を楽しみにしておこう。」
神様は嬉しそうに微笑んだ。
そんなやりとりがあり、私たちは「私のかわいい子」「神様」と呼び合う事で落ち着いた。
それから毎日ベンチで会うのが日課となった。
「何でかわいい子なんですか?ちょっと恥ずかしいんですけど。」
私も最初は緊張していたけど、だんだん神様に慣れてきて言葉が砕けてきていた。
そっちの方が嬉しいと言ってくれていた。
「初めて愛おしいと思える人に会ったから自然に出た。嫌か?」
神様は伺うように私を見る。
いくら慣れてきてもこんな風に見つめられるとドキドキする。
美形はずるいよなと思う。
「嫌ではないです、はい。」
嫌ではないですが、恥ずかしい。
神様には恥ずかしいという感情がわからないのかもしれない。
「そうか、それなら良かった。」
ニッコリ笑って頭を撫でられる。
お母さんに撫でてもらう手より大きな手だ。
お父さんが生きてたらこんな感じに撫でてくれただろう。
安心して目を閉じる。
神様は詳しく教えてはくれなかったが、私じゃ想像できないほど長く生きているらしい。
神様にとったら私は子ども、孫みたいなものなのだろうか。
見た目はちょっとお兄さんって感じなんだけど。
「家族がいない。」
初めて会った日、神様は自分で言っていた。
神様も寂しいのかもしれない。
「そうそう、神様!私今、字を習っています。字が書けるようになったら手紙を書いても良いですか?」
初めて手紙を書くのは家族と言いたいが、みんな字が読めない。
街で買い物できるくらいに単語くらいは教わったが、それのみだ。
先生からは誰かと文通したら字の読み書きに良いと教えてもらって、その相手を探していた。
「かわいい子から手紙をもらえるなんてな。楽しみにしておく。」
そんな風に言われると練習に‥なんて言いにくくなってしまった。
「字は下手くそなので、あまり期待しないでください。神様も返事をくださいね!」
私の言葉に神様が止まる。
「どうしました?」
「いや、なんでもない。今日はそろそろ帰らねばならないようだ。また、明日も会えるか?」
後ろにマークバルダ様が立っているのが見える。
「はい、必ずここにきます!」
会える時間は長くはない。
だけど、この少しの時間がとても楽しくて嬉しい。
命の泉に戻ったヴォルティスはマークバルダに聞いた。
「人の字の読み書きはできるか?」
「はい、人との交渉の時に使いますので。それが何か?」
マークバルダはヴォルティスの質問の意図がわからない。
「なら私に教えろ。私のかわいい子の手紙は誰にも見せたくないし、私が返事を書きたい。」
ヴォルティス様は嬉しそうに言う。
「ヴォルティス様‥本気なのですか?」
うそだろう?
最高神だぞ‥聖女候補のために人の字を覚えるのか?
マークバルダはその発言が現実とは思えず、固まった。
「もちろん、本気に決まっているだろう。」
ヴォルティスはやる気は凄まじく、リーナより早く字を覚えてしまった。
リーナは勢いよく、神様の座るベンチに駆け寄る。
「いや、謝らなくてもいい。この待っている時間もいいものだな。」
ニコニコ顔の神様がいる。
神様がマークバルダ様と消えた次の日もベンチに座っていた。
そこで何者なのかを聞くと
「神だと言ってなかったか?それはすまなかったな。」
とサラッと返された。
「神様ってその辺りにいるんですか?神殿だから?」
って聞いたら神様に笑われた。
「ヴォルティス様、私の名前は‥」
自己紹介しようとすると止められた。
「お前が成人するまで私は名を呼べない。今聞いてしまうと呼びたくなるから、呼べるようになった時に教えてほしい。」
とお願いされた。
「じゃあ、私もその時にお名前を呼ぶようにしますね。私だけ不公平ですもんね!神様って呼びます!成人したら必ず名前を呼んでくださいね、約束ですからね。」
「あぁ、約束だ。その時を楽しみにしておこう。」
神様は嬉しそうに微笑んだ。
そんなやりとりがあり、私たちは「私のかわいい子」「神様」と呼び合う事で落ち着いた。
それから毎日ベンチで会うのが日課となった。
「何でかわいい子なんですか?ちょっと恥ずかしいんですけど。」
私も最初は緊張していたけど、だんだん神様に慣れてきて言葉が砕けてきていた。
そっちの方が嬉しいと言ってくれていた。
「初めて愛おしいと思える人に会ったから自然に出た。嫌か?」
神様は伺うように私を見る。
いくら慣れてきてもこんな風に見つめられるとドキドキする。
美形はずるいよなと思う。
「嫌ではないです、はい。」
嫌ではないですが、恥ずかしい。
神様には恥ずかしいという感情がわからないのかもしれない。
「そうか、それなら良かった。」
ニッコリ笑って頭を撫でられる。
お母さんに撫でてもらう手より大きな手だ。
お父さんが生きてたらこんな感じに撫でてくれただろう。
安心して目を閉じる。
神様は詳しく教えてはくれなかったが、私じゃ想像できないほど長く生きているらしい。
神様にとったら私は子ども、孫みたいなものなのだろうか。
見た目はちょっとお兄さんって感じなんだけど。
「家族がいない。」
初めて会った日、神様は自分で言っていた。
神様も寂しいのかもしれない。
「そうそう、神様!私今、字を習っています。字が書けるようになったら手紙を書いても良いですか?」
初めて手紙を書くのは家族と言いたいが、みんな字が読めない。
街で買い物できるくらいに単語くらいは教わったが、それのみだ。
先生からは誰かと文通したら字の読み書きに良いと教えてもらって、その相手を探していた。
「かわいい子から手紙をもらえるなんてな。楽しみにしておく。」
そんな風に言われると練習に‥なんて言いにくくなってしまった。
「字は下手くそなので、あまり期待しないでください。神様も返事をくださいね!」
私の言葉に神様が止まる。
「どうしました?」
「いや、なんでもない。今日はそろそろ帰らねばならないようだ。また、明日も会えるか?」
後ろにマークバルダ様が立っているのが見える。
「はい、必ずここにきます!」
会える時間は長くはない。
だけど、この少しの時間がとても楽しくて嬉しい。
命の泉に戻ったヴォルティスはマークバルダに聞いた。
「人の字の読み書きはできるか?」
「はい、人との交渉の時に使いますので。それが何か?」
マークバルダはヴォルティスの質問の意図がわからない。
「なら私に教えろ。私のかわいい子の手紙は誰にも見せたくないし、私が返事を書きたい。」
ヴォルティス様は嬉しそうに言う。
「ヴォルティス様‥本気なのですか?」
うそだろう?
最高神だぞ‥聖女候補のために人の字を覚えるのか?
マークバルダはその発言が現実とは思えず、固まった。
「もちろん、本気に決まっているだろう。」
ヴォルティスはやる気は凄まじく、リーナより早く字を覚えてしまった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
230
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる