【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

第1章

リーナの混乱

どうしよう。リーナは困り果てていた。

どうしたらいいかわからない。
なんであれを誰も気づかないの？
リーナは一人で混乱していた。

アリーティナからなんであんなに負の感情が溢れてるの？
こっちをにらんでいるよね？確実に。私、何したっけ？
元々嫌われてはいたけど、もう嫌われているで片付けられるレベルじゃない。

まだ、穢れにはなっていないけど、何かあれば一気に吹き出すギリギリのライン‥

負の感情は聖女であっても神官であっても見る事はできない。
元々人は誰しも負の感情は持つものだから。
穢れになって初めてわかるのだ。

元々聖女の素質があり、この一年聖女の勉強に真剣に取り組んだリーナは聖女の力をパワーアップさせ、負の感情まで見えるようになっていた。

と言いたいところだが‥そうなったのには他にも理由があった。
ヴォルティスのペンダントを毎日付けることによってリーナの力を活性化させたのだ。
リーナを守りたいという最高神の思いが思わぬ力を発揮した。

今のリーナは人の域を少しだけ超えてしまっている。
リーナ自身も力を無意識に授けたヴォルティスもその事に気づいてなかった。

穢れになっていないから様子を見ていいの？
それとも今のうちに手を打っておいた方が良い？

そもそも穢れの予防は聖女の管轄外だ。
穢れがでた時に浄化するのが仕事だから。
負の感情に対して聖女は関わらないため、どの本にも強い負の感情に対する対処方法ない。
負の感情のコントロールについてはアリーティナだって習っている。
私が口出しすれば、怒るのは目に見える。

ラリーン先生や神官のラハールさんに相談すれば良い？
でも今、聖女の儀で忙しいし‥

一つ上の先輩達が聖女の儀に臨む。
聖女になるか、ここを去るのかが2週間後に決まる大切な時期だ。邪魔はしたくない。

下手に関わったら余計まずいことになることだけはわかるから、リーナは動く事ができなかった。
神様に相談？いやいや、こんな事で神様に迷惑かけるなんてダメだよね。

アリーティナの事はリーナだって好きではない。
だけど、聖女候補としては見過ごせないアリーティナの様子にリーナはどうしたら良いのかわからず、一人悩んでいた。

この時点で誰かに相談できていれば、最悪の未来は回避できていた可能性はある。

アリーティナが引き起こした最悪の結末によって人の存亡に関わる事態になるなんて想像もしていなかった。