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第2章
リーナの処刑
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「処刑が明日に決まったらしいぞ。公開処刑にすればいいのに。」
「だが、過去最高の聖女になると名高い娘だ、穢れが暴発すれば危険だと言っていた。結界を張った上、偉い人達だけ立ち会うそうだ。」
「闇落ちした聖女候補などさっさと処刑すれば良いものを‥ここに一晩いるだけも腹立たしい。」
看守達が話している声が聞こえる。
リーナは牢獄に入れられ、その話を他人事のように聞いていた。
闇落ちは民衆の嫌悪の対象だ。
どんな理由があろうと闇落ちをする事は許されない。
だから、穢れを持たないようしなさいと子どもの頃から繰り返し教わり、体に刷り込まれている。
穢れを浄化するはずの聖女候補の闇落ちなどあり得ない話だった。
本来なら神殿によりこっそり処刑される。これほど神殿に打撃を与える醜聞などないのだから。
そうならないように公爵が裏で手を回していた護衛の証言させ、事を公にした。リーナを公開処刑を行うために。
最後の最後までリーナを陥れる事に執着していたのだ。
だが、リーナの力が強すぎる為、その場で穢れをうめば一般市民に被害が出る可能性があり公開処刑は見合わせた方が良いとラリーンが神殿や王家を説得した。
公爵は神殿側の対応を追及し公開処刑をするべきだと主張したが、マークバルダの名が出れば、神殿にしろ王家にしろ表立って反対の意を表明できる者などいず、公開処刑は中止となった。
公爵は最後は計画通りに進められなかった事にイラつきを感じていた。
「明日死ぬんだ。」
リーナは他人事のように看守の話を聞いていた。
リーナが入れられているのは穢れを外に出さないようにする聖女の結界が施された特別な牢獄だった。
足や手は鎖で繋がれていて少しでも動くとジャラジャラと音がした。
そんな事は今のリーナにはどうでも良い事だった。
家族や村の人々が穢れを浄化し、きちんとあの世に行けたのか、そればかり気にしていた。
私がいなければ、私が聖女なんか目指さなければ、きっとこんな事になっていなかった。
皆を巻き込んだのは私のせい‥
リーナの中の穢れが暴れるのをリーナ自身が感じていた。
私のせい、だからこの穢れは何があっても私が持つべきもの。
最後の瞬間まで穢れを離すつもりはなかった。
お母さん、ルート、ネマ、皆、私も一緒に行くから。許して。
私は闇落ちしたからきっと皆と同じ場所には行けないけど‥
リーナは淡々と自分の死を受け入れていた。
いや、そうするしか皆への償い方がわからなかった。
ただ、心残りがあるとすれば‥神様との約束が守れないこと。
神様の聖女になれなくてごめんなさい。
そう心の中で謝るも神様に会う前に処刑されてホッとする気持ちもあった。
こんな闇落ちした私を見て欲しくない。
軽蔑の眼差しを向けられたくない。
あの優しかった神様の微笑みだけを胸に消えてしまいたい。
闇落ちをすれば、自我がなくなり穢れをうむだけとなる。
そう習ってきたけど‥私は自我もあるし、穢れも出してはいない。聖典はちょっと違ってますよとラリーン先生に言いたいけど、無理そうだ。
だが、体の中の穢れがいつ暴れてもおかしくない状態である事もリーナはわかっていた。リーナが抑え込んでいるだけだから、何かの拍子に一気に広がる可能性もある。処刑されるのは当然だとリーナも思っている。
「神様、ごめんなさい‥」
目から涙が溢れる。
私の事など忘れて別の聖女と結ばれて欲しい。そう思う反面、自分の居場所であったその場を別の聖女にとられてしまう悔しさで胸が痛む。
私が神様との関係を自分から手放した。
そんな事を思う権利などどこにもないのに‥
相反する気持ちがリーナの中でぶつかり合い、一人涙をポロポロとこぼしていた。
そのリーナの思いに同調するように、リーナの中で暴れていた穢れが少しずつ変化している事にまだ誰も気づいてはいない。
「だが、過去最高の聖女になると名高い娘だ、穢れが暴発すれば危険だと言っていた。結界を張った上、偉い人達だけ立ち会うそうだ。」
「闇落ちした聖女候補などさっさと処刑すれば良いものを‥ここに一晩いるだけも腹立たしい。」
看守達が話している声が聞こえる。
リーナは牢獄に入れられ、その話を他人事のように聞いていた。
闇落ちは民衆の嫌悪の対象だ。
どんな理由があろうと闇落ちをする事は許されない。
だから、穢れを持たないようしなさいと子どもの頃から繰り返し教わり、体に刷り込まれている。
穢れを浄化するはずの聖女候補の闇落ちなどあり得ない話だった。
本来なら神殿によりこっそり処刑される。これほど神殿に打撃を与える醜聞などないのだから。
そうならないように公爵が裏で手を回していた護衛の証言させ、事を公にした。リーナを公開処刑を行うために。
最後の最後までリーナを陥れる事に執着していたのだ。
だが、リーナの力が強すぎる為、その場で穢れをうめば一般市民に被害が出る可能性があり公開処刑は見合わせた方が良いとラリーンが神殿や王家を説得した。
公爵は神殿側の対応を追及し公開処刑をするべきだと主張したが、マークバルダの名が出れば、神殿にしろ王家にしろ表立って反対の意を表明できる者などいず、公開処刑は中止となった。
公爵は最後は計画通りに進められなかった事にイラつきを感じていた。
「明日死ぬんだ。」
リーナは他人事のように看守の話を聞いていた。
リーナが入れられているのは穢れを外に出さないようにする聖女の結界が施された特別な牢獄だった。
足や手は鎖で繋がれていて少しでも動くとジャラジャラと音がした。
そんな事は今のリーナにはどうでも良い事だった。
家族や村の人々が穢れを浄化し、きちんとあの世に行けたのか、そればかり気にしていた。
私がいなければ、私が聖女なんか目指さなければ、きっとこんな事になっていなかった。
皆を巻き込んだのは私のせい‥
リーナの中の穢れが暴れるのをリーナ自身が感じていた。
私のせい、だからこの穢れは何があっても私が持つべきもの。
最後の瞬間まで穢れを離すつもりはなかった。
お母さん、ルート、ネマ、皆、私も一緒に行くから。許して。
私は闇落ちしたからきっと皆と同じ場所には行けないけど‥
リーナは淡々と自分の死を受け入れていた。
いや、そうするしか皆への償い方がわからなかった。
ただ、心残りがあるとすれば‥神様との約束が守れないこと。
神様の聖女になれなくてごめんなさい。
そう心の中で謝るも神様に会う前に処刑されてホッとする気持ちもあった。
こんな闇落ちした私を見て欲しくない。
軽蔑の眼差しを向けられたくない。
あの優しかった神様の微笑みだけを胸に消えてしまいたい。
闇落ちをすれば、自我がなくなり穢れをうむだけとなる。
そう習ってきたけど‥私は自我もあるし、穢れも出してはいない。聖典はちょっと違ってますよとラリーン先生に言いたいけど、無理そうだ。
だが、体の中の穢れがいつ暴れてもおかしくない状態である事もリーナはわかっていた。リーナが抑え込んでいるだけだから、何かの拍子に一気に広がる可能性もある。処刑されるのは当然だとリーナも思っている。
「神様、ごめんなさい‥」
目から涙が溢れる。
私の事など忘れて別の聖女と結ばれて欲しい。そう思う反面、自分の居場所であったその場を別の聖女にとられてしまう悔しさで胸が痛む。
私が神様との関係を自分から手放した。
そんな事を思う権利などどこにもないのに‥
相反する気持ちがリーナの中でぶつかり合い、一人涙をポロポロとこぼしていた。
そのリーナの思いに同調するように、リーナの中で暴れていた穢れが少しずつ変化している事にまだ誰も気づいてはいない。
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