36 / 87
第2章
リーナの処刑
しおりを挟む
「処刑が明日に決まったらしいぞ。公開処刑にすればいいのに。」
「だが、過去最高の聖女になると名高い娘だ、穢れが暴発すれば危険だと言っていた。結界を張った上、偉い人達だけ立ち会うそうだ。」
「闇落ちした聖女候補などさっさと処刑すれば良いものを‥ここに一晩いるだけも腹立たしい。」
看守達が話している声が聞こえる。
リーナは牢獄に入れられ、その話を他人事のように聞いていた。
闇落ちは民衆の嫌悪の対象だ。
どんな理由があろうと闇落ちをする事は許されない。
だから、穢れを持たないようしなさいと子どもの頃から繰り返し教わり、体に刷り込まれている。
穢れを浄化するはずの聖女候補の闇落ちなどあり得ない話だった。
本来なら神殿によりこっそり処刑される。これほど神殿に打撃を与える醜聞などないのだから。
そうならないように公爵が裏で手を回していた護衛の証言させ、事を公にした。リーナを公開処刑を行うために。
最後の最後までリーナを陥れる事に執着していたのだ。
だが、リーナの力が強すぎる為、その場で穢れをうめば一般市民に被害が出る可能性があり公開処刑は見合わせた方が良いとラリーンが神殿や王家を説得した。
公爵は神殿側の対応を追及し公開処刑をするべきだと主張したが、マークバルダの名が出れば、神殿にしろ王家にしろ表立って反対の意を表明できる者などいず、公開処刑は中止となった。
公爵は最後は計画通りに進められなかった事にイラつきを感じていた。
「明日死ぬんだ。」
リーナは他人事のように看守の話を聞いていた。
リーナが入れられているのは穢れを外に出さないようにする聖女の結界が施された特別な牢獄だった。
足や手は鎖で繋がれていて少しでも動くとジャラジャラと音がした。
そんな事は今のリーナにはどうでも良い事だった。
家族や村の人々が穢れを浄化し、きちんとあの世に行けたのか、そればかり気にしていた。
私がいなければ、私が聖女なんか目指さなければ、きっとこんな事になっていなかった。
皆を巻き込んだのは私のせい‥
リーナの中の穢れが暴れるのをリーナ自身が感じていた。
私のせい、だからこの穢れは何があっても私が持つべきもの。
最後の瞬間まで穢れを離すつもりはなかった。
お母さん、ルート、ネマ、皆、私も一緒に行くから。許して。
私は闇落ちしたからきっと皆と同じ場所には行けないけど‥
リーナは淡々と自分の死を受け入れていた。
いや、そうするしか皆への償い方がわからなかった。
ただ、心残りがあるとすれば‥神様との約束が守れないこと。
神様の聖女になれなくてごめんなさい。
そう心の中で謝るも神様に会う前に処刑されてホッとする気持ちもあった。
こんな闇落ちした私を見て欲しくない。
軽蔑の眼差しを向けられたくない。
あの優しかった神様の微笑みだけを胸に消えてしまいたい。
闇落ちをすれば、自我がなくなり穢れをうむだけとなる。
そう習ってきたけど‥私は自我もあるし、穢れも出してはいない。聖典はちょっと違ってますよとラリーン先生に言いたいけど、無理そうだ。
だが、体の中の穢れがいつ暴れてもおかしくない状態である事もリーナはわかっていた。リーナが抑え込んでいるだけだから、何かの拍子に一気に広がる可能性もある。処刑されるのは当然だとリーナも思っている。
「神様、ごめんなさい‥」
目から涙が溢れる。
私の事など忘れて別の聖女と結ばれて欲しい。そう思う反面、自分の居場所であったその場を別の聖女にとられてしまう悔しさで胸が痛む。
私が神様との関係を自分から手放した。
そんな事を思う権利などどこにもないのに‥
相反する気持ちがリーナの中でぶつかり合い、一人涙をポロポロとこぼしていた。
そのリーナの思いに同調するように、リーナの中で暴れていた穢れが少しずつ変化している事にまだ誰も気づいてはいない。
「だが、過去最高の聖女になると名高い娘だ、穢れが暴発すれば危険だと言っていた。結界を張った上、偉い人達だけ立ち会うそうだ。」
「闇落ちした聖女候補などさっさと処刑すれば良いものを‥ここに一晩いるだけも腹立たしい。」
看守達が話している声が聞こえる。
リーナは牢獄に入れられ、その話を他人事のように聞いていた。
闇落ちは民衆の嫌悪の対象だ。
どんな理由があろうと闇落ちをする事は許されない。
だから、穢れを持たないようしなさいと子どもの頃から繰り返し教わり、体に刷り込まれている。
穢れを浄化するはずの聖女候補の闇落ちなどあり得ない話だった。
本来なら神殿によりこっそり処刑される。これほど神殿に打撃を与える醜聞などないのだから。
そうならないように公爵が裏で手を回していた護衛の証言させ、事を公にした。リーナを公開処刑を行うために。
最後の最後までリーナを陥れる事に執着していたのだ。
だが、リーナの力が強すぎる為、その場で穢れをうめば一般市民に被害が出る可能性があり公開処刑は見合わせた方が良いとラリーンが神殿や王家を説得した。
公爵は神殿側の対応を追及し公開処刑をするべきだと主張したが、マークバルダの名が出れば、神殿にしろ王家にしろ表立って反対の意を表明できる者などいず、公開処刑は中止となった。
公爵は最後は計画通りに進められなかった事にイラつきを感じていた。
「明日死ぬんだ。」
リーナは他人事のように看守の話を聞いていた。
リーナが入れられているのは穢れを外に出さないようにする聖女の結界が施された特別な牢獄だった。
足や手は鎖で繋がれていて少しでも動くとジャラジャラと音がした。
そんな事は今のリーナにはどうでも良い事だった。
家族や村の人々が穢れを浄化し、きちんとあの世に行けたのか、そればかり気にしていた。
私がいなければ、私が聖女なんか目指さなければ、きっとこんな事になっていなかった。
皆を巻き込んだのは私のせい‥
リーナの中の穢れが暴れるのをリーナ自身が感じていた。
私のせい、だからこの穢れは何があっても私が持つべきもの。
最後の瞬間まで穢れを離すつもりはなかった。
お母さん、ルート、ネマ、皆、私も一緒に行くから。許して。
私は闇落ちしたからきっと皆と同じ場所には行けないけど‥
リーナは淡々と自分の死を受け入れていた。
いや、そうするしか皆への償い方がわからなかった。
ただ、心残りがあるとすれば‥神様との約束が守れないこと。
神様の聖女になれなくてごめんなさい。
そう心の中で謝るも神様に会う前に処刑されてホッとする気持ちもあった。
こんな闇落ちした私を見て欲しくない。
軽蔑の眼差しを向けられたくない。
あの優しかった神様の微笑みだけを胸に消えてしまいたい。
闇落ちをすれば、自我がなくなり穢れをうむだけとなる。
そう習ってきたけど‥私は自我もあるし、穢れも出してはいない。聖典はちょっと違ってますよとラリーン先生に言いたいけど、無理そうだ。
だが、体の中の穢れがいつ暴れてもおかしくない状態である事もリーナはわかっていた。リーナが抑え込んでいるだけだから、何かの拍子に一気に広がる可能性もある。処刑されるのは当然だとリーナも思っている。
「神様、ごめんなさい‥」
目から涙が溢れる。
私の事など忘れて別の聖女と結ばれて欲しい。そう思う反面、自分の居場所であったその場を別の聖女にとられてしまう悔しさで胸が痛む。
私が神様との関係を自分から手放した。
そんな事を思う権利などどこにもないのに‥
相反する気持ちがリーナの中でぶつかり合い、一人涙をポロポロとこぼしていた。
そのリーナの思いに同調するように、リーナの中で暴れていた穢れが少しずつ変化している事にまだ誰も気づいてはいない。
0
あなたにおすすめの小説
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。
酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜
鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。
そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。
秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。
一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。
◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。
無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから――
※ 他サイトでも投稿中
ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。
下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。
アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。
小説家になろう様でも投稿しています。
このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
マーベル子爵とサブル侯爵の手から逃げていたイリヤは、なぜか悪女とか毒婦とか呼ばれるようになっていた。そのため、なかなか仕事も決まらない。運よく見つけた求人は家庭教師であるが、仕事先は王城である。
嬉々として王城を訪れると、本当の仕事は聖女の母親役とのこと。一か月前に聖女召喚の儀で召喚された聖女は、生後半年の赤ん坊であり、宰相クライブの養女となっていた。
イリヤは聖女マリアンヌの母親になるためクライブと(契約)結婚をしたが、結婚したその日の夜、彼はイリヤの身体を求めてきて――。
娘の聖女マリアンヌを立派な淑女に育てあげる使命に燃えている契約母イリヤと、そんな彼女が気になっている毒舌宰相クライブのちょっとずれている(契約)結婚、そして聖女マリアンヌの成長の物語。
「聖女は2人もいらない」と追放された聖女、王国最強のイケメン騎士と偽装結婚して溺愛される
沙寺絃
恋愛
女子高生のエリカは異世界に召喚された。聖女と呼ばれるエリカだが、王子の本命は一緒に召喚されたもう一人の女の子だった。「 聖女は二人もいらない」と城を追放され、魔族に命を狙われたエリカを助けたのは、銀髪のイケメン騎士フレイ。 圧倒的な強さで魔王の手下を倒したフレイは言う。
「あなたこそが聖女です」
「あなたは俺の領地で保護します」
「身柄を預かるにあたり、俺の婚約者ということにしましょう」
こうしてエリカの偽装結婚異世界ライフが始まった。
やがてエリカはイケメン騎士に溺愛されながら、秘められていた聖女の力を開花させていく。
※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。
二度目の召喚なんて、聞いてません!
みん
恋愛
私─神咲志乃は4年前の夏、たまたま学校の図書室に居た3人と共に異世界へと召喚されてしまった。
その異世界で淡い恋をした。それでも、志乃は義務を果たすと居残ると言う他の3人とは別れ、1人日本へと還った。
それから4年が経ったある日。何故かまた、異世界へと召喚されてしまう。「何で!?」
❋相変わらずのゆるふわ設定と、メンタルは豆腐並みなので、軽い気持ちで読んでいただけると助かります。
❋気を付けてはいますが、誤字が多いかもしれません。
❋他視点の話があります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる