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第2章

リーナとラリーンの体調(マークバルダ視点)

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「聖女候補の体調はどうだ?」
マークバルダはラリーンに聞く。

「こんな感じが続いてますね‥穢れで体力を使っているのだと思います。それなのによく自我を保てています。かなり苦しいでしょうに。」

ラリーンは自分の膝に頭を置いて寝ているリーナの頭をなでる。

一日中、ほとんど聖女候補はトロトロと寝ている状態が続いている。
時々発作的に苦しがるのは穢れが溢れそうになっているのを抑えているからだろう。

「できればもう少し進めたいが、ずっと馬車では負担が大きいな‥」

聖女候補の体調が良くない‥
完全に闇落ちする前に無理してすすめるか、宿に早めに入るか悩む。
時間をかけすぎて途中で聖女候補が完全に闇落ちするのは避けたい。
ヴォルティス様の動ける間に一目会わせたい。もう聖女候補と会わなくなってしばらく経っている。ヴォルティス様の穢れが増えてきていてもおかしくない。
きっとヴォルティス様は命の泉で自分の穢れを浄化しながら聖女候補の到着を待っているはずだ。

聖女候補に触れさえすれば、一瞬で命の泉に飛べるのに‥
神力が使えず、こうやって馬車移動しかでない自分は何と役立たずなのだろうかと思っていた。ルーマからヴォルティス様が聖女候補を諦めきれていないと報告を聞くまでは‥

賭けなどただの言い訳だ。
ヴォルティス様は聖女候補が完全に闇落ちをしていないと知り、処刑を先延ばしにしたいだけだとわかった。聖女候補を諦めきれず、受け入れられないヴォルティス様にとってもこの時間は必要なものだ。

「次の街で宿を取る。聖女候補、もう少しだけ我慢していろ。ラリーン、ずっと浄化しているが、お前の体調は大丈夫か?」

「ええ、良好といえば嘘になりますが、このくらいなら大丈夫です。」
ラリーンは微笑むが、顔から疲れが滲み出ている。
そんなラリーンをみて私は決断する。

「少し休め、まだ先は長い。私の力だけではもう持たないだろう。他の神の力も借りよう。」

それだけしか言っていないのに、ラリーンはすぐに察する。

「私が他の神と絆を結ぶということですか?」

そのラリーンの一言に胸の痛みを感じる。そして、力不足の自分を情けなく思うが、優先すべきはラリーンの体だ。
他の聖女の力も借りられたら良かったが‥ラリーンほど力のある聖女はいない。ラリーンのように少しずつ穢れを浄化するなどの技も使えない。下手したら穢れに巻き込まれるし、大人数で移動する事も難しかった為断念した。

「あぁ、私の力不足だ。ここまで無理をさせて申し訳ない。」

他の神に協力を求め、ラリーンの浄化の力の底上げが必要だと早々にわかっていた。
もっと早く決断すればよかったが‥
ラリーンを他の神と絆を結ばせたくないと思ってしまった。
ヴォルティス様の執着に呆れていたが、自分も同じだ。その結果、ラリーンに無理をさせていた。

「いえ、穢れが多すぎて今の私では力不足なのはわかっていました。それなのに無理をしていたのは私です。マークバルダ様に言えばきっと、その提案をすると思いましたので。リーナさんに偉そうに言えませんね‥」
ラリーンは苦笑いをする。

「ラリーン‥」
その続きを言う前にラリーンが言葉を重ねる。

「そのお話、承知致しました。」
頭を深々と下げるラリーンの顔を見ることができなかった。


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