【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

文字の大きさ
62 / 87
第3章

リーナが浄化できるわけ

しおりを挟む
「どういう事だ‥」
リーナの前で神様が頭を抱えている。

神殿に構えられた神様の部屋は豪華だ。
その部屋にはリーナと神様だけではなく、マークバルダ、ラリーン、ラハール、ルーマもいた。

なぜ、リーナは穢れに近づくだけで浄化できてしまうのか‥

聖女は浄化するのに体力も気力もいる。
聖女への負担をかければ穢れにのまれるため、浄化できる数の調整がどうしても必要だった。
リーナは近づいているだけで浄化など意識してしていない。つまり、体力も気力も必要ない。

ラリーンは実験的に大きな穢れの浄化でリーナの力を試した。ヴォルティスは嫌がったが、ラリーンが守りきるというと渋々了承した。
リーナの力の規模を知らなければ、対応が取れないと言われヴォルティスもうなずくしかなかったのだ。

大きな穢れへの浄化をリーナ、ラリーンで対応すると神殿には報告しリーナだけで浄化させた。

結果は‥
それまでと変わらず、近づくだけで穢れが浄化された。一人では難しいと思われた穢れを一瞬で消したのだ。

で、今に至る。

「どういう事だと言われても私にもわかりません‥」
リーナ自身、どうしてなのかさっぱりわからない。

ルーマもリーナの力の検証に呼ばれていた。情報分析にたけているためだ。

ラハールは出会った時の出来事を皆に話す。
「神殿に来る前の事ですが、穢れの森でリーナ様に触ってもらっただけで浄化されて体が楽になった事があります。それで聖女様になれると思い、神殿に来てもらいました。」

「元々浄化の力は強いのか。触れるだけで他者の穢れを浄化するなんて。」
そもそも神と結ばれてない聖女がそんな事をできるなんて‥考えられない。

「そもそも何故穢れの森へなど行ったのですか?死にに行くようなものではないですか。」
ラリーンはラハールの話を聞いて真っ青になっている。

「それはリーナ様が入ったので止めようとして踏み込んでしまったのです。」
ラハールだって神官だ。穢れの森の怖さくらいわかっている。

皆がパッとリーナを見る。

「えっと‥入ったらいけないとはいわれてたんですけど、なんともなかったから。」
お母さんからも村の人達からもずっと言われてはいたが、そんなにいけない事だったのか‥と今更気付く。

「いつから入っていたのだ?」
神様が眉間にしわを寄せる。その表情を見るだけで、怒っているのを我慢して静かに聞いているのがわかってしまう。

「えっと‥小さい頃からなのではっきりとはわかりませんが‥昔は誰も入って来ないので秘密基地を作って遊んでいました。大きくなると家計を助けるために花を取りに毎日入ってました。人が入らない分、珍しい花とか多くて高く売れたので‥」

ゴミョゴミョ言い訳がましくなるのは許してほしい。
皆の視線が怖すぎるのだから。

「子どもの頃から秘密基地‥大きくなってからは毎日‥よく生き残れたわ‥」
ラリーン先生とラハールさんは倒れるのではないかと思われる程真っ青な顔をしている。

ルーマが口を開く。
「穢れの森はヴォルティス様の穢れを具現化したものです。リーナ様はヴォルティス様の聖女として生まれたのだとしたら、ヴォルティス様の穢れに耐性を持っていたのではないでしょうか。」

神様は穢れを溜め続けて、のまれれば世界は滅ぶ。
そんな弱みを人々へ出すことなどできないため、穢れの森ができたそうだ。
穢れの森が広がれば世界は滅ぶ、そうやって人々に穢れを溜めないよう‥また穢れの浄化を自らするよう働きかけたとマークバルダ様は言った。

ここに来てまた、希望の力の怖さを知る。
ヴォルティスの抱える穢れは世界の穢れのほとんど全てと言っていい。
それを具現化した穢れの森。その森で子どもが遊べるなんて、どんな力を授けたんだ。

リーナの力の秘密がわかった。
元々その森に入れるだけの穢れへの耐性があり、また無意識に自分や周りの者を浄化する事で浄化の力も上げていた。
そこにヴォルティスと結ばれて力は爆発的に伸びたのだろう。

「ヴォルティス様の穢れを毎日浄化しているだけでも浄化の力は増していると思われます。」
ルーマは付け加える。

浄化の力は行うほどに力は増す。
昔に力が欲しい聖女達が身の丈以上の穢れに手を出し、闇落ちする事態にもなったため、神官がつけられたと歴史で習った。

世界の穢れを集めるヴォルティスの穢れを浄化しているのなら‥確かにその辺りの穢れなど塵レベルのものだろうと皆が思った。

「歩く浄化器‥」
ボソリとルーマが言う。

リーナは世界最強の聖女であることがわかり、ヴォルティス、マークバルダは安心した。リーナがその辺りの穢れにのまれることはもうないとわかったのだから。

ラリーンとラハールは浮かない顔をしている。この事が神殿にバレれば最高神がついついるとはいえ、リーナの人の良さにつけこんで悪用されかねない。

人々の思惑など神々には理解しにくいだろう。ラリーンとラハールは目を合わせ、うなずき合い決意を新たにした。

リーナを守ると。

始めの頃はギクシャクしていた二人の関係はいつしか目だけで語り合える最高のコンビとなっていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜

鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。 そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。 秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。 一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。 ◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。

聖女の任期終了後、婚活を始めてみたら六歳の可愛い男児が立候補してきた!

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
23歳のメルリラは、聖女の任期を終えたばかり。結婚適齢期を少し過ぎた彼女は、幸せな結婚を夢見て婚活に励むが、なかなか相手が見つからない。原因は「元聖女」という肩書にあった。聖女を務めた女性は慣例として専属聖騎士と結婚することが多く、メルリラもまた、かつての専属聖騎士フェイビアンと結ばれるものと世間から思われているのだ。しかし、メルリラとフェイビアンは口げんかが絶えない関係で、恋愛感情など皆無。彼を結婚相手として考えたことなどなかった。それでも世間の誤解は解けず、婚活は難航する。そんなある日、聖女を辞めて半年が経った頃、メルリラの婚活を知った公爵子息ハリソン(6歳)がやって来て――。

【完結】赤ちゃんが生まれたら殺されるようです

白崎りか
恋愛
もうすぐ赤ちゃんが生まれる。 ドレスの上から、ふくらんだお腹をなでる。 「はやく出ておいで。私の赤ちゃん」 ある日、アリシアは見てしまう。 夫が、ベッドの上で、メイドと口づけをしているのを! 「どうして、メイドのお腹にも、赤ちゃんがいるの?!」 「赤ちゃんが生まれたら、私は殺されるの?」 夫とメイドは、アリシアの殺害を計画していた。 自分たちの子供を跡継ぎにして、辺境伯家を乗っ取ろうとしているのだ。 ドラゴンの力で、前世の記憶を取り戻したアリシアは、自由を手に入れるために裁判で戦う。 ※1話と2話は短編版と内容は同じですが、設定を少し変えています。

無一文で追放される悪女に転生したので特技を活かしてお金儲けを始めたら、聖女様と呼ばれるようになりました

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
スーパームーンの美しい夜。仕事帰り、トラックに撥ねらてしまった私。気づけば草の生えた地面の上に倒れていた。目の前に見える城に入れば、盛大なパーティーの真っ最中。目の前にある豪華な食事を口にしていると見知らぬ男性にいきなり名前を呼ばれて、次期王妃候補の資格を失ったことを聞かされた。理由も分からないまま、家に帰宅すると「お前のような恥さらしは今日限り、出ていけ」と追い出されてしまう。途方に暮れる私についてきてくれたのは、私の専属メイドと御者の青年。そこで私は2人を連れて新天地目指して旅立つことにした。無一文だけど大丈夫。私は前世の特技を活かしてお金を稼ぐことが出来るのだから―― ※ 他サイトでも投稿中

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

ヒロインと結婚したメインヒーローの側妃にされてしまいましたが、そんなことより好きに生きます。

下菊みこと
恋愛
主人公も割といい性格してます。 アルファポリス様で10話以上に肉付けしたものを読みたいとのリクエストいただき大変嬉しかったので調子に乗ってやってみました。 小説家になろう様でも投稿しています。

異世界召喚されたアラサー聖女、王弟の愛人になるそうです

籠の中のうさぎ
恋愛
 日々の生活に疲れたOL如月茉莉は、帰宅ラッシュの時間から大幅にずれた電車の中でつぶやいた。 「はー、何もかも投げだしたぁい……」  直後電車の座席部分が光輝き、気づけば見知らぬ異世界に聖女として召喚されていた。  十六歳の王子と結婚?未成年淫行罪というものがありまして。  王様の側妃?三十年間一夫一妻の国で生きてきたので、それもちょっと……。  聖女の後ろ盾となる大義名分が欲しい王家と、王家の一員になるのは荷が勝ちすぎるので遠慮したい茉莉。  そんな中、王弟陛下が名案と言わんばかりに声をあげた。 「では、私の愛人はいかがでしょう」

処理中です...