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第3章
希望の神ノルア
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お父さんの事を教えてほしい?
「一緒にいたけど子どもの頃に死んじゃったから。私の知っている限りでよければ‥」
先日会ったお父さんは思い出の中のお父さんとは違っていた。
ノルアの求めるものが何かはわからないが、答えられないかもしれない。
「俺は会った事がない‥」
ポツリとノルアは言う。
「希望の神とはどんなものかすらわからないから力を出す事ができない。」
神とは役割をこなせてこそ、神なのだ。
生まれてからの年数は関係なく神の役割が自覚できれば力が目覚めるらしい。
「でも神様も数百年かかるって言ってたし。」
次代を育て神としての自覚させるのに時間がかかるのだろう。だから、数百年という時間が必要なんだ。
ならノルアだって急がなくてもいいはず。
「先代がいればな。今希望の神は不在だ。俺が早く力を目覚めさせるしかない。」
ノルアは苦しそうに言う。
神が不在だと何が問題なのか‥私にはさっぱりわからなかった。
「お前、何も知らないんだな。」
ノルアはため息をつく。
「希望の神っていうのは守りの神と同等の力を持つ高位の神だ。今、力のバランスも崩れてて神々の役割や生態系にも影響が出ているんだとよ。それを俺の責任だと言ってくる神々を早く見返したいんだよ。俺はバカにした奴らをな。」
相当悔しいのかギリギリと歯ぎしりをする。
「ノルア様‥」
「様も敬語もいらない。まだ正確には神じゃないからな。」
あまり言いたくないのか声が小さくなる。
敬称や敬語は余計に負担となるかもしれない。
「希望ってなんだ?どうして人を導かなければならない?俺にはわからないんだ。」
悔しそうに言う。
「誰かにきいてみた?私より神様やマークバルダ様の方がお父さんといた時間は長いよ?」
私なんて数年いただけだ。しかも神をしていた頃の話をした時の話なんて聞いた事がない。
それに比べれば、長い年月を共にいた神様たちの方がよく知っているのは間違いない。
「あんな奴らに聞くのは嫌だ。奴らだって俺の事、心の底ではバカにしているだからな。」
ブワッと怒りの神気が放出される。それを感じた神様が戻ってきた。
「リーナ、大丈夫か?」
神様は私の目から涙がこぼれているのをみてオロオロしている。
「大丈夫です‥神様。ノルア、少し時間をくれる?あなたが言ったこと考えてくるから。」
泣かれるとは思っていなかったのだろう。
ノルアが目を見開いて「‥ああ。」と少し返答は遅れていた。
「何があった?」
ノルアと別れてから神様は聞いてきた。
「何があったじゃありません!神様酷いです!」
ノルアの神気が漏れた時、ノルアの怒りの中にある不安や心細さが強く伝わってきた。自分が壊れてしまわないよう強がっているだけなのだ。
まだ、ネマと同じ小さなこどもなのだと思った。一生懸命に助けを求めている。
どうして独りで不安と戦っているのか。どうして誰も助けてあげないのか。
「酷い?」
神様は意味がわからないのだろう。首を傾げている。
「あんなに強がって独りで何とかしようとする前にどうして誰も助けてあげないのですか?不安で潰れそうになっています。」
神達の対応は幼い子に対し、ひどすぎる。
放置するのも、できない事を求めるのもノルアを追い詰めているだけだ。
「不安?潰れそう?」
神様はまだピンときていないらしく、私の言葉を繰り返している。
「生まれてすぐ何もできないのに希望の神を求められるノルアの気持ちがわからないですか?神様も大変じゃなかったのですか?」
「私は最初から神だったから‥」
ボソボソと神様は言い訳をする。
最初から神?神様は他の神とは違うの?
「私は一番最初にできた神だ。最高神であると同時に一番年長者なのだ。神は力だけではなく、生まれた順も大切だ。マークバルダは実質2位の力を持つが、メビールやルーマは敬称をつけないだろう?あの者たちの方がマークバルダより年上なのだ。」
神様が最初にできた神って‥どれだけ生きてるの?想像すらできなくてピンとは来ないが、恐ろしい永い時間を生きているのだろう。
それにどう見てもメビール様やルーマ様の方がマークバルダ様より若く見える。神の年齢は外見では全くわからない。
確かにマークバルダと呼び捨てにしていた事に気づく。
お姉様達なんだ、マークバルダ様と女神達の力関係が何となくわかる気がした。
神様も神を育てた事がない‥だから、どう対応したら良いのかわからない。親としても初心者でしかも、育てられた事がないから育て方もわからない。
「神様、きっと子育てと同じです。神の役割の事はわかりませんが、私、ルートとネマの面倒見てたのでちょっとは役に立てると思います。神様と私でノルアを育てましょう。」
「それは夫婦というものだな?」
神様がパァと眩しい笑顔をみせる。
夫婦?
「キースが言っていた。夫婦は力を合わせて子どもを育てるのだと。」
確かに間違いではない。
でも私と神様は結婚していないし、夫婦じゃないけど‥
神様があまりに嬉しそうにそう言うので私も違いますとは言えなくなった。
「そうですね、神様と私はお父さんとお母さんです。ノルアは大切な子どもです。神様もノルアと向き合ってください。」
「夫婦にお父さん、お母さん‥。私とリーナは絆だけではなくて深く結ばれているのだな。キース達のように。」
神様はウットリしている。
うん、状況が全くわかっていない。
ノルアが立派な神様になれるよう頑張ろう。
「一緒にいたけど子どもの頃に死んじゃったから。私の知っている限りでよければ‥」
先日会ったお父さんは思い出の中のお父さんとは違っていた。
ノルアの求めるものが何かはわからないが、答えられないかもしれない。
「俺は会った事がない‥」
ポツリとノルアは言う。
「希望の神とはどんなものかすらわからないから力を出す事ができない。」
神とは役割をこなせてこそ、神なのだ。
生まれてからの年数は関係なく神の役割が自覚できれば力が目覚めるらしい。
「でも神様も数百年かかるって言ってたし。」
次代を育て神としての自覚させるのに時間がかかるのだろう。だから、数百年という時間が必要なんだ。
ならノルアだって急がなくてもいいはず。
「先代がいればな。今希望の神は不在だ。俺が早く力を目覚めさせるしかない。」
ノルアは苦しそうに言う。
神が不在だと何が問題なのか‥私にはさっぱりわからなかった。
「お前、何も知らないんだな。」
ノルアはため息をつく。
「希望の神っていうのは守りの神と同等の力を持つ高位の神だ。今、力のバランスも崩れてて神々の役割や生態系にも影響が出ているんだとよ。それを俺の責任だと言ってくる神々を早く見返したいんだよ。俺はバカにした奴らをな。」
相当悔しいのかギリギリと歯ぎしりをする。
「ノルア様‥」
「様も敬語もいらない。まだ正確には神じゃないからな。」
あまり言いたくないのか声が小さくなる。
敬称や敬語は余計に負担となるかもしれない。
「希望ってなんだ?どうして人を導かなければならない?俺にはわからないんだ。」
悔しそうに言う。
「誰かにきいてみた?私より神様やマークバルダ様の方がお父さんといた時間は長いよ?」
私なんて数年いただけだ。しかも神をしていた頃の話をした時の話なんて聞いた事がない。
それに比べれば、長い年月を共にいた神様たちの方がよく知っているのは間違いない。
「あんな奴らに聞くのは嫌だ。奴らだって俺の事、心の底ではバカにしているだからな。」
ブワッと怒りの神気が放出される。それを感じた神様が戻ってきた。
「リーナ、大丈夫か?」
神様は私の目から涙がこぼれているのをみてオロオロしている。
「大丈夫です‥神様。ノルア、少し時間をくれる?あなたが言ったこと考えてくるから。」
泣かれるとは思っていなかったのだろう。
ノルアが目を見開いて「‥ああ。」と少し返答は遅れていた。
「何があった?」
ノルアと別れてから神様は聞いてきた。
「何があったじゃありません!神様酷いです!」
ノルアの神気が漏れた時、ノルアの怒りの中にある不安や心細さが強く伝わってきた。自分が壊れてしまわないよう強がっているだけなのだ。
まだ、ネマと同じ小さなこどもなのだと思った。一生懸命に助けを求めている。
どうして独りで不安と戦っているのか。どうして誰も助けてあげないのか。
「酷い?」
神様は意味がわからないのだろう。首を傾げている。
「あんなに強がって独りで何とかしようとする前にどうして誰も助けてあげないのですか?不安で潰れそうになっています。」
神達の対応は幼い子に対し、ひどすぎる。
放置するのも、できない事を求めるのもノルアを追い詰めているだけだ。
「不安?潰れそう?」
神様はまだピンときていないらしく、私の言葉を繰り返している。
「生まれてすぐ何もできないのに希望の神を求められるノルアの気持ちがわからないですか?神様も大変じゃなかったのですか?」
「私は最初から神だったから‥」
ボソボソと神様は言い訳をする。
最初から神?神様は他の神とは違うの?
「私は一番最初にできた神だ。最高神であると同時に一番年長者なのだ。神は力だけではなく、生まれた順も大切だ。マークバルダは実質2位の力を持つが、メビールやルーマは敬称をつけないだろう?あの者たちの方がマークバルダより年上なのだ。」
神様が最初にできた神って‥どれだけ生きてるの?想像すらできなくてピンとは来ないが、恐ろしい永い時間を生きているのだろう。
それにどう見てもメビール様やルーマ様の方がマークバルダ様より若く見える。神の年齢は外見では全くわからない。
確かにマークバルダと呼び捨てにしていた事に気づく。
お姉様達なんだ、マークバルダ様と女神達の力関係が何となくわかる気がした。
神様も神を育てた事がない‥だから、どう対応したら良いのかわからない。親としても初心者でしかも、育てられた事がないから育て方もわからない。
「神様、きっと子育てと同じです。神の役割の事はわかりませんが、私、ルートとネマの面倒見てたのでちょっとは役に立てると思います。神様と私でノルアを育てましょう。」
「それは夫婦というものだな?」
神様がパァと眩しい笑顔をみせる。
夫婦?
「キースが言っていた。夫婦は力を合わせて子どもを育てるのだと。」
確かに間違いではない。
でも私と神様は結婚していないし、夫婦じゃないけど‥
神様があまりに嬉しそうにそう言うので私も違いますとは言えなくなった。
「そうですね、神様と私はお父さんとお母さんです。ノルアは大切な子どもです。神様もノルアと向き合ってください。」
「夫婦にお父さん、お母さん‥。私とリーナは絆だけではなくて深く結ばれているのだな。キース達のように。」
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