【完結】闇落ちした聖女候補は神様に溺愛される

みやちゃん

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第3章

ヴォルティスの死後?(ヴォルティス視点)

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ここは?
真っ暗な空間にヴォルティスは独りで倒れていた。
あの世に行く時はこんな感じなのだろうか?永い間生きてきたが、死ぬという経験は初めてだ。
手探りで周囲を確認する。とても広い空間なのだろうか。
ここで待っていれば、お迎えが来るのか?それとも自分で動かないといけないのか?

「ミラージュに注意しておかないといけないな。これは人が迷うぞ。」
真っ暗な中で独り言がでる。

すごく落ち着いている自分がいる。負けるとわかっていて負けたのだ。今の状況にも納得はしている。

だが、リーナはまだ諦められない。

神も望めば人として転生できる。神のまま、消えるという選択もできる。

私なら‥

キース達のようにミラージュに頼んで私もリーナと一緒に転生させてもらおう。
だが、こちらの世界にリーナが来るのはまだ当分先の事だ。
ルキアがしばらく側にいると思うと苛立ちは感じるが、リーナは人だ。必ず先に死ぬ。そうなれば、私のところに来てくれるはずだ。

「神様!」私を呼ぶリーナの声。優しく私を見つめる眼差し。あたたかい浄化の力。

リーナは私にとって必要な存在。私の全てをかけても良いと思える愛しい子。
愛している。
そう断言できるくらいに溺れている。
キースが神を捨てても夫婦として一緒にいたい気持ちがよくわかる。

今すぐ、リーナの側に行きたい。
だが、キースの様に見守る事はできるのだろうか。私の事を忘れてルキアと仲良くしている様子を見てしまったら耐えられない。

リーナと私のつながりは名による絆だけではない。その前からリーナには惹かれていたし、リーナも私に懐いてくれていたはずだ。
そんなに簡単に忘れられるはずはないと言いたいが、そればかりは自信がない。

実際に私の溺愛ぶりに迷惑している様子もあった。マークバルダも顔をしかめていた。

本当は嫌われていたかもしれない‥
そう思うと恐怖があった。ルキアの攻撃は怖くなかったのに、リーナに嫌われると思う方が何倍も怖いなんて‥

真っ暗な環境はドンドンと負の感情を呼び寄せる様だ。

とりあえず、この環境から出たら良いか?
いつまで経っても迎えも来ず、焦れ始めた時、ある方向から真っ白な光が見える。

「やっと迎えが来たか。遅すぎるだろう。」
誰も現れない所をみると自分であの光の方にいかないといけないのか?

よくわからないが、とりあえず向かってみる。
光が近づくと周囲はだんだん明るくなった。そこまで来ると声が聞こえる。

「ヴォル‥ヴォルティス様!」
リーナが私を呼ぶ声が聞こえた。
幻聴か?リーナが私の名を呼ぶなんて。
生きている間に呼ばれたかった。
本当は愛称で呼び合う関係になりたかったのに。
きっとリーナとはこれからドンドンと仲を深めていけたはずだったのに。

マークバルダは言っていた。仲を深めるのに口付けは良いものだと。
私はそれすらリーナとできていない。
愛称を呼び会えたら次にと思っていたのに。
やりたい事がいっぱいあったのに今更気づき、死んだ事を後悔した。

まぁ、ルキアがいれば叶わない夢となった可能性は大きいが‥

「ヴォルティス様、しっかりしてください!」
リーナに抱きしめられる感触がある。

ああ、幻聴だけではなく、感覚もおかしくなってきた‥
あの世への近づいているのかもしれない。

リーナの事を考えていたら時間などあっという間だった‥
先にいっているが、必ず後から来てくれ。
リーナ愛している‥
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