わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「あの時、マリア王女は呼吸や脈ももう止まりかけていました。あの場で対応しなければ間違いなく亡くなっています。」
ミルアージュは助けを求めた上で、マリア王女の呼吸や脈をはじめ全身状態を観察し、ランケットに対する処置をすすめた。

「…」
みんなポカンとミルアージュの説明を聞いている。

「ミルアージュ妃何でそんな事ができるのだ?」
ポカンとしたまま、国王が素で聞いている。
皆、ウンウンと首を縦に振った。

目の前で毒物を摂取し倒れている王女に対し、冷静に観察をし対処までしている。

何でそんな事ができる?
皆、驚きしかなかった。

「言ってませんでした?私、一応医者なんです。感染症とか衛生の方が専門ですけど、毒はさっきも言った通り、詳しいんですよ。」
ミルアージュはケロっとした顔で言う。

「衛生?」
皆、初めてきく言葉だった。

ミルアージュは簡単に説明する。

「感染症の予防や街の環境整備などにより国民の死亡率を減らす事ができます。その取り組みをアンロックでは国レベルで行っているのです。そういう研究所が多く存在します。」

皆、ホォーという感嘆の声を出した。

予防になどお金を出すアンロックに驚いている。
起こってもいない事に国庫からお金を出すなどルーマンでは考えられない事だった。

だが、確かに予防ができれば、遠征中の兵士や街の人々が流行病などで全滅する事はなくなるだろう。

「ミルアージュ妃、その辺りを詳しく知りたい。明日、専門家を寄こそうと思うがいいか?」
国王はミルアージュの知識を使わない手はないと意気込んでいる。

「…はい。」
ミルアージュはチラッとクリストファーをみた。

「だめだ、明日は二人で休みだ。一緒にゆっくり過ごす。国王とはいえ、邪魔をするな。」
クリストファーが国王の提案を突っぱねた。

マリア王女が出現してからクリストファーはミルアージュを溺愛している事を隠さなくなった。
嫉妬されるのは嬉しいが、ミルアージュに誤解されるのはどうしても嫌だったし、国のためと言いながら他の妃をミルアージュ自身にすすめられるのが許せないからだ。

国王は納得いかなさそうな顔をしているが、妥協して「じゃあ、明後日に。」と言っている。

「話がずれていますよ。今は毒殺未遂についての尋問です。」
宰相は言う。

そう、ミルアージュの話した内容は前もって聞いていた護衛や侍女の話とも一致している。

どちらか言えば怪しいのはマリア王女の動きの方だ。

「ねぇ、マリア王女は何がしたかったのかしら?」

あの時、ミルアージュは侍女ではなく、直接マリア王女の訪問を断るつもりだった。

下手したら侍女の立場を悪くするからだ。王女に失礼なことをしたと難癖をつけられたら逃げ場はなくなる。

だが、マリア王女と対面して考えが変わった。
何かに怯えているような…真っ青な顔色だった。
いつもフワフワと笑っている彼女から想像もできないその様子にミルアージュは嫌な予感がした。

何かが起こる。ミルアージュのそういう勘は外れる事がない。
だからこそ、マリア王女を招き入れたのだ。

後遺症が残らないといいけど…ミルアージュはマリア王女を怪しみながらも毒の後遺症に苦しみ続けた父王を思い出していた。
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