わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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次の日も試合は続いていた。
ミルアージュは順調に勝ち進む。

皆、ミルアージュと戦う機会などない。
だからこそ、ミルアージュと試合をしたくてそれ以外の試合も白熱していた。

「決勝であなたと戦えるわね。楽しみにしているわ。」
ミルアージュはムランドに声をかける。

「正直驚きました。ミルアージュ王太子妃がここまで強いとは思いませんでした。」

無口なムランドが口を開く。
護衛をしている時はほぼ口を開かなかった。
職務中以外は違うのかもしれない。

「よく言われるわ。」

「あの強さなるのには、ものすごい時間と努力があったはずです。なぜ王族であるあなたがそうしたのですか?」

「アンロックでは兵を率いる王は強さを求められるからよ。まぁ、結局は王になってないんだけど。」

「…無礼な質問をしても良いでしょうか。」
ムランドは質問を続けた。
よほど聞きたいことがあるのだろう。

「答えられる範囲なら構わないわ。」
ミルアージュも質問内容はわからないが、許可を出した。
お礼をいう様に頭を下げてから話し出した。

「王になれなくて今までの努力は無駄だったと思いませんか?」

無駄…
他者から見たらそう見えるのだろうか。
だけど、積み重ねたものは決して無駄では無いと思う。
今の私を形成しているのだから。

「思わないわね。…あなたは後悔があるの?元々護衛ではないでしょう?」
ムランドの戦い方のくせを見ると護衛ではないのはわかっていた。

護衛は主人を守る事が優先だ。必要があれば敵も殺すが、それよりも重要なのはどうすれば主人を安全にその場から逃すのかだ。

ムランドは人を殺める事を優先としている剣だった。
戦争などの時、再起不能にしておかなければ、次は自分たちの仲間が殺されることになるのだから。

「わかりますか?元々は護衛など希望していませんでした。戦争に出た方が功績を残せて褒美がありますので。」
彼がほしい褒美…

マリア王女の降嫁

口に出す事はまだ許されない希望。

「私は功績のため、死ぬ気で訓練に臨みました。誰よりも努力したつもりです。でもなれなかった。」

ムランドの自虐的に笑う。

「あなたを護衛に回したのはブランかしら?」

「…そうです。」

ブランの悪口を言うつもりはないだろうが、納得していないのはわかる。

どうして護衛に回されたのかすらわかっていない。
だから護衛の基本的な戦い方も学ばない。
いつでも戻れる様に。

「戻りたいのかしら?」

ムランドがミルアージュを見つめる。

マリア王女と結ばれたい。
そのために功績を残したい。
何より護衛として側でマリア王女が誰かのものになっていくのは嫌。

といったところだろうか?

「ブランはあなたを戦場に出す事はできないと判断したのは私も賛成よ。」

「私はレンラグスで誰よりも優秀でした。どうして私が外されるのですか?」
ムランドの声が大きくなる。

「あなたに覚悟がないから。」
ミルアージュはムランドをまっすぐに見て答えた。








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