わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「…では聞かせてもらおうか。」
クリストファーはまだミルアージュとルービオの間から動こうとしない。

「クリス…」
ミルアージュがコホンと咳払いをした。

「…」
クリストファーはミルアージュの怒りを抑えた表情を見て無言のまま、ススッと動いて後ろに置いてあった椅子に座った。

クリストファーとミルアージュの様子をルービオはジッと見つめている。

「噂通りですね」
ルービオが言った。

「何がですか?」
ミルアージュは思い当たる事がなくルービオに聞き返した。

「王太子様はお妃様をとても愛されているという噂です。」
まだ青い顔のルービオが頭を下げて、王族への礼の姿勢をした。

「!!!」
ミルアージュは目を見開いてクリストファーを見た。

クリストファーの表情を見るとルービオに薄々気付かれているのをわかっていたようだ。

「3年前、この領に来たと言っただろう?出迎えてくれた領主一族の中にルービオがいたんだ。」

「はい、3年ぶりにお会いできて光栄です。王太子様はあの時とだいぶ雰囲気が違いますね。」
ルービオはもう一度、頭を下げた。

「そうか?同じだと思うが…」

「…そういう事にしておきましょう。挨拶はこのくらいにして本題に入ります。王太子様とお妃様の今回の訪問は何か意図があるのですか?」

おっとりした話口調だったルービオの声が急に鋭いものに変わった。
まだ10代の幼さが残るその顔から出された言葉に違和感を感じるくらい大人びた質問だった。

何かしらの問題がある。
その領地に王太子夫婦がいきなりやってきた。
問題を正しにきたとルービオが警戒しているのだとすぐにわかる。

その言葉にクリストファーは切れた。

「私達はただ新婚旅行を楽しんでいただけだ!!」

ミルアージュはギョッとしてクリストファーを見た。
ルービオの大人びた質問の返答がまさかの逆ギレ。
王太子とバレているのにも関わらずだ。

ルービオは目をぱちくりさせている。
その横でルーマとアンマは咄嗟にルービオを守ろうと手を広げてた。
王太子相手にかなりの不敬だが、クリストファーの殺気を目の当たりにして仕方がない事だった。

「行く先々で歓迎会などされたらミアとの時間が減るし、常に付きまとわれる。だから、お忍びで回るはずだったのに…こんな事に巻き込んだのはそっちだろう?さっさと自分達で解決しておけば、私たちは今頃、2人で今日あった楽しい事を酒でも飲みながら語り合えたのに!!」

眉間に皺を寄せ、ギリギリと歯を食いしばっている。
クリストファーの本音はダダ漏れていた。

ルービオもルーマ、アンマもクリストファーの殺気のこもった愚痴に唖然としていた。

王太子の本性を知っている者ならクリストファーがそんな発言をしても誰も驚かない。
クリストファーらしいと思うくらいだ。

だが、クリストファーに免疫がない者は殺気にも言動にも驚く。

「クリス、落ち着いて。私はとても楽しかったわ。」
ミルアージュはクリストファーを慰める。

「ミア…ありがとう。」
そう言いながらもクリストファーはシュンとしている。
心の底からこの領に連れてきた事を後悔していた。

ミルアージュはそんなクリストファーからルービオの方に向きを変える。

「クリスの言う通りよ、私達は新婚旅行中だっただけ。私達はあなた方を探りにきた訳じゃないし、事を大きくする事は望んでいないわ。」
ミルアージュはニッコリと笑う。

「その言葉を信じても良いのでしょうか?」
ルービオは恐る恐る言葉を出した。

「もちろんよ。なんなら誓約書を書いても良いわ。」

「ミア、いい加減にしろ!そんな誓約しなくてもいい。自分で解決ができず、こうやって助けを求めるくせに信用できないって…どれだけふざけているのかすらわかっていない者たちだ。」

クリストファーは投げ捨てるように言い、ルービオを睨んだ。

そのイラつきを隠しもせず、ぶつけられたルービオは顔を青ざめていた。

「申し訳ありません。そんなつもりではなかったのです。」
クリストファーの圧に怯えながらもルービオは頭を下げ、謝罪した。



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