わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

文字の大きさ
208 / 252

208

しおりを挟む
結局ミルアージュはマカラックと城内を見て回っても領主を見つけられなかった。

「城主はこの城にはいないのか?」
マカラックは険しい顔でミルアージュに聞く。

「‥‥」
ミルアージュは無言で考え込んでいた。

この城に領主がいない?
そんなバカな‥
もう手遅れだった?
いや、死んでたら王城に真っ先に報告が入るはず。

「まさか‥」
ミルアージュの顔はみるみる険しくなった。

「マカラック様、最後に地下を見ても良いでしょうか?」
ミルアージュの顔の険しさから事態を悟ったマカラックはすぐに「わかった」と返事をした。

ルービオの時はあからさまに毒物を使った。
領主の息子が亡くなっても届出は必要ないし、調べられる危険性は少ない。

だが、領主の死は別だ。
亡くなればその日中に王城への届出が必要となる。
怪しい点があれば往生からいきなり調査が入り、領側はそれを拒否する事もできない。

それを恐れてあからさまな毒は使わず、病死を狙っていたはずだ。

そもそも部屋で死を待っているという前提が間違っているとしたら‥
亡くなる日を誤魔化すのはできなくても、どこで亡くなるのかはいくらでも偽装ができる‥

マカラックの力を利用し、兵に見つからずに地下室に入ったミルアージュ達はカビ臭い地下牢に人が数人入れられているのを見た。

「見つからないはずだ。まさか地下牢に入れられてるなんて思わないな。」

床に倒れている男性の服装は明らかにこの部屋にそぐわない立派なものだった。
その横で執事とメイドと思われる人物が涙を流していて、メイドは倒れている男性の手を握って声をかけている。

「旦那様、しっかりしてください。ここで死んではアドルフ様の思うがままになってしまいます。ずっとそれだけは避けたいと言っていたではありませんか。」

倒れている男性からの返事はない。
ずっと声をかけていたのだろう。
メイドと思われる彼女の声は掠れている。

「マカラック様、あの中に私を入れてしばらく兵から見えなくできませんか?」

「できなくはないが、5分が限界だな。」

「十分です。お願いします。」

マカラックはミルアージュの手を握り、そのまま地下牢の中に瞬間移動した。

「誰だ!」

急に人が2人地下牢内に現れ、執事とメイドは目を大きく見開いた後、主人の前に出た守ろうとした。

敵かどうかもわからない中、武器も何もなくただ身体を張った2人を見てミルアージュは熱いものが込み上げてきた。

「私はあなた方の敵ではありません。ルービオと協力関係にある者です。」

ミルアージュはスカートを持ち、正式に挨拶をした。
こんな地下牢にはそぐわない優雅なミルアージュの動きに執事とメイドは目を奪われた。

「ルービオ様の?」
知った名前が出て来て少し警戒を解いたように見えたのをミルアージュは見逃さなかった。

「そうです。そして私は医者です。ご領主様の状態をみさせてもらえませんか?」

ミルアージュの言葉にメイドと執事はお互いを見た。

執事は言う。
「アドルフ様側の人には見えない。」

「ですが、領様に何かあれば‥!」

「もうアドルフ様の計画は最終段階まで進んでいるはずだ。今更、我々を騙して何になる?」

執事のその言葉でメイドは頷き領主から身を引いた。

「ありがとう。」
ミルアージュはそんな2人にお礼を言った後、領主に近づいた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす

蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。 追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。 しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。 港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。 イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。 犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。 被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。 追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。 この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。 ・世界観・設定の管理補助 ・プロット段階の壁打ち ・作者による執筆後の校正

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~

ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。 そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。 自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。 マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――   ※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。    ※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m    ※小説家になろう様にも投稿しています。

砕けた愛

篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。 あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

処理中です...