わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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ミルアージュがサラッと領主は毒を飲んだと言い切った。

その場にいた皆はクリストファーを除いて固まってしまった。

そんなみんなの様子を気にせずミルアージュは顎に手を当てて少し考えてから話し出す。

「領主は半年前から体調を崩していた。その頃からちょっとずつ毒を摂取してたのでしょうね。体に蓄積される毒の量が増えてきて幻覚による錯乱状態となった。」

「そう断言する証拠はあるのか?」
クリストファーがミルアージュに聞く。

クリストファーはミルアージュに絶対的な信頼をおいている。
だが、この場でクリストファーがミルアージュの言葉を鵜呑みにしてしまえば、ミルアージュの立場が悪くなる事もわかっている。
あえてミルアージュに皆が納得できる言葉を求めた。

「これは領主の唾液と血液と混ぜて毒物を検知する液体ね。体に害をなすものには反応するから薬を飲んでても反応はする事があるわ。だけど、これはあまりに鮮やかすぎる。確実に致死量の毒物が体の中にある。」

ミルアージュはガラス瓶をフリフリと振りながら言う。

「‥」

「領主が毒の影響で錯乱状態になる。そうなれば、領主を閉じ込める理由ができるもの。後は牢で死ぬのを待つだけ。その間に毒は止めてるから死ぬ頃には毒は体から抜けていき、検出されないようになっている‥というところかしら?」

その場はシンと静まり返る。
その静寂を破ったのは領主代理だった。

「そんなのは王太子妃様の勝手な推測です!致死量の薬は父が錯乱して薬を過剰に飲んだのです!」

領主代理は真っ青な顔をしながらもあくまで領主自ら行った事だと言った。

自分たちには非がない。
そう言いたいのだ。

「じゃあ、あなたは領主が薬を過剰に内服していたのは知っていたのね。」
ミルアージュの口調が問い詰めるかのようにキツくなる。

「それは‥」
領主代理はモゴモゴと口を動かすが、言葉にはならなかった。

「過剰摂取が先か後から何てどうでもいいわ。ただあなたは致死量の薬を領主が摂取したのに、こんなところに閉じ込め適切な治療を怠った事が問題なのよ。殺害未遂は成り立つわ。」

領主代理はミルアージュの言葉を受けて、やっと罠に嵌められた事に気づいた。

領主が致死量の薬を摂取した。
誰が飲ませたかを知りたいのではなかった。
その事実を領主代理が知っていたかどうか。
ミルアージュはその一点を明らかにしたかったのだ。

「領主に対し適切な治療を行わなかったあなたの罪は重いわよ。もちろん、知っているわよね?」
ミルアージュの冷たい視線が領主代理に突き刺さる。

「クリス、ルーマン王国でこの場合の領主代理の罪はどうなるのかしら?」

「領主の死を予見しながら何の対処もせず、命の危険に晒したとなると極刑は免れない。」
クリストファーの極刑という言葉を聞いて領主代理は膝から崩れ落ちた。

「私は悪くない」
領主代理はそう何度も言いながらガクガクと全身が震えている。

自分の父親を暗殺しようとした。
1番の罪はそれだ。

だが、その証拠を掴む事は難しいだろう。
1番罰したい罪ではないが、領主を助ける為には目をつぶる。

そして、ミルアージュは領主代理を罠に嵌める事に成功したが、ミルアージュの心境は複雑だった。

人の命を左右するような罪をでっち上げたようで罪悪感があったから。



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