3 / 17
猫になる
しおりを挟む
「ねぇ、本当にするの?」
私はすっかり怖じ気付いていた。
あの時はお酒も結構飲んでいて気が大きくなっていたけど‥
酔いが冷めてきて冷静に考えたらバレたらやばいなんてもんじゃない。
「大丈夫よ、国の諜報活動の時にも使ってるんだから。絶対にバレないわよ。私の得意分野なの!安心して」
アミルダは魔導師として優秀なのは知ってるけど‥
私は諜報の訓練なんて積んでない、ただの文官だ。
つまり、私のミスで見つかる可能性が大きい。
「大丈夫だって、猫がサーチェだなんて誰も思わないから」
ニコニコとアミルダは笑っている。
そう、私が猫になってナーバン様の弱みを探るのが今回の作戦なのだ。
ナーバン様を探るとすぐにバレる。
追跡なんて素人ができるものじゃないから。
そこで猫なのだ。
「猫だったら身軽だし、その辺りにいても変じゃないから。虫とかネズミなら殺されちゃうし。」
他国の諜報も猫、犬、鳥が多いだそう。
その時の必要な身体機能に応じて変えるのだと教えてくれた。
何でそんな作戦が出てきたのかというとアミルダからの提案だった。
「ただ、ずっと怯えているよりナーバン様の弱みを握って交渉に使ってみたらいいんじゃない?うまくいけば部署異動できるわよ。」
退職も考えていた私は破れかぶれでその作戦にのったのだ。
でも‥でも‥
「それにナーバン様、猫が好きなの。この情報は本物だから安心して。」
アミルダはウィンクする。
「えっ、ナーバン様猫好きなの?初めて知った。」
あのずっと眉間にシワが寄せているナーバン様が猫とか抱っこしている姿なんて想像できない。
「うーん、ある人が猫っぽいから猫が好きっていうのが正解だろうけど。」
ボソリと呟いたアミルダの声はサーチェには聞こえていない。
アミルダから注意事項が説明された後、魔法をかけられる。
眩しい光に包まれ、次に目を開けたら景色が変わっていた。
周りの椅子や机があるものすごく大きい。
いや、私が小さくなったんだ。
猫視点ってこんな感じなんだ。
アミルダが鏡を前に置いてくれる。
瞳と毛の色は同じだった。
エメラルドグリーンの瞳はちょっと猫目になって、灰色の髪の毛は毛並みに変わっている。
「サーチェ、1週間頑張ってね。無理だったらいつでも戻ってきていいから。」
頭をアミルダに撫でられる。
気持ちいい。
猫ってこんな気持ちで撫でられていたんだな。
アミルダの言葉に頷き、「ニャー」と鳴く。
この作戦のために配属されてから初めて1週間の休みを取っていた。
まぁ、成果がなくても1週間、胃がキリキリしない事を考えるとよい休暇になりそうだと感じていた。
私はすっかり怖じ気付いていた。
あの時はお酒も結構飲んでいて気が大きくなっていたけど‥
酔いが冷めてきて冷静に考えたらバレたらやばいなんてもんじゃない。
「大丈夫よ、国の諜報活動の時にも使ってるんだから。絶対にバレないわよ。私の得意分野なの!安心して」
アミルダは魔導師として優秀なのは知ってるけど‥
私は諜報の訓練なんて積んでない、ただの文官だ。
つまり、私のミスで見つかる可能性が大きい。
「大丈夫だって、猫がサーチェだなんて誰も思わないから」
ニコニコとアミルダは笑っている。
そう、私が猫になってナーバン様の弱みを探るのが今回の作戦なのだ。
ナーバン様を探るとすぐにバレる。
追跡なんて素人ができるものじゃないから。
そこで猫なのだ。
「猫だったら身軽だし、その辺りにいても変じゃないから。虫とかネズミなら殺されちゃうし。」
他国の諜報も猫、犬、鳥が多いだそう。
その時の必要な身体機能に応じて変えるのだと教えてくれた。
何でそんな作戦が出てきたのかというとアミルダからの提案だった。
「ただ、ずっと怯えているよりナーバン様の弱みを握って交渉に使ってみたらいいんじゃない?うまくいけば部署異動できるわよ。」
退職も考えていた私は破れかぶれでその作戦にのったのだ。
でも‥でも‥
「それにナーバン様、猫が好きなの。この情報は本物だから安心して。」
アミルダはウィンクする。
「えっ、ナーバン様猫好きなの?初めて知った。」
あのずっと眉間にシワが寄せているナーバン様が猫とか抱っこしている姿なんて想像できない。
「うーん、ある人が猫っぽいから猫が好きっていうのが正解だろうけど。」
ボソリと呟いたアミルダの声はサーチェには聞こえていない。
アミルダから注意事項が説明された後、魔法をかけられる。
眩しい光に包まれ、次に目を開けたら景色が変わっていた。
周りの椅子や机があるものすごく大きい。
いや、私が小さくなったんだ。
猫視点ってこんな感じなんだ。
アミルダが鏡を前に置いてくれる。
瞳と毛の色は同じだった。
エメラルドグリーンの瞳はちょっと猫目になって、灰色の髪の毛は毛並みに変わっている。
「サーチェ、1週間頑張ってね。無理だったらいつでも戻ってきていいから。」
頭をアミルダに撫でられる。
気持ちいい。
猫ってこんな気持ちで撫でられていたんだな。
アミルダの言葉に頷き、「ニャー」と鳴く。
この作戦のために配属されてから初めて1週間の休みを取っていた。
まぁ、成果がなくても1週間、胃がキリキリしない事を考えるとよい休暇になりそうだと感じていた。
0
あなたにおすすめの小説
白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活
しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。
新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。
二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。
ところが。
◆市場に行けばついてくる
◆荷物は全部持ちたがる
◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる
◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる
……どう見ても、干渉しまくり。
「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」
「……君のことを、放っておけない」
距離はゆっくり縮まり、
優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。
そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。
“冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え――
「二度と妻を侮辱するな」
守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、
いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。
【完結】元悪役令嬢は、最推しの旦那様と離縁したい
うり北 うりこ@ざまされ2巻発売中
恋愛
「アルフレッド様、離縁してください!!」
この言葉を婚約者の時から、優に100回は超えて伝えてきた。
けれど、今日も受け入れてもらえることはない。
私の夫であるアルフレッド様は、前世から大好きな私の最推しだ。 推しの幸せが私の幸せ。
本当なら私が幸せにしたかった。
けれど、残念ながら悪役令嬢だった私では、アルフレッド様を幸せにできない。
既に乙女ゲームのエンディングを迎えてしまったけれど、現実はその先も続いていて、ヒロインちゃんがまだ結婚をしていない今なら、十二分に割り込むチャンスがあるはずだ。
アルフレッド様がその気にさえなれば、逆転以外あり得ない。
その時のためにも、私と離縁する必要がある。
アルフレッド様の幸せのために、絶対に離縁してみせるんだから!!
推しである夫が大好きすぎる元悪役令嬢のカタリナと、妻を愛しているのにまったく伝わっていないアルフレッドのラブコメです。
全4話+番外編が1話となっております。
※苦手な方は、ブラウザバックを推奨しております。
白い結婚のはずが、騎士様の独占欲が強すぎます! すれ違いから始まる溺愛逆転劇
鍛高譚
恋愛
婚約破棄された令嬢リオナは、家の体面を守るため、幼なじみであり王国騎士でもあるカイルと「白い結婚」をすることになった。
お互い干渉しない、心も体も自由な結婚生活――そのはずだった。
……少なくとも、リオナはそう信じていた。
ところが結婚後、カイルの様子がおかしい。
距離を取るどころか、妙に優しくて、時に甘くて、そしてなぜか他の男性が近づくと怒る。
「お前は俺の妻だ。離れようなんて、思うなよ」
どうしてそんな顔をするのか、どうしてそんなに真剣に見つめてくるのか。
“白い結婚”のはずなのに、リオナの胸は日に日にざわついていく。
すれ違い、誤解、嫉妬。
そして社交界で起きた陰謀事件をきっかけに、カイルはとうとう本心を隠せなくなる。
「……ずっと好きだった。諦めるつもりなんてない」
そんなはずじゃなかったのに。
曖昧にしていたのは、むしろリオナのほうだった。
白い結婚から始まる、幼なじみ騎士の不器用で激しい独占欲。
鈍感な令嬢リオナが少しずつ自分の気持ちに気づいていく、溺愛逆転ラブストーリー。
「ゆっくりでいい。お前の歩幅に合わせる」
「……はい。私も、カイルと歩きたいです」
二人は“白い結婚”の先に、本当の夫婦を選んでいく――。
-
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
なりゆきで妻になった割に大事にされている……と思ったら溺愛されてた
たぬきち25番
恋愛
男爵家の三女イリスに転生した七海は、貴族の夜会で相手を見つけることができずに女官になった。
女官として認められ、夜会を仕切る部署に配属された。
そして今回、既婚者しか入れない夜会の責任者を任せられた。
夜会当日、伯爵家のリカルドがどうしても公爵に会う必要があるので夜会会場に入れてほしいと懇願された。
だが、会場に入るためには結婚をしている必要があり……?
※本当に申し訳ないです、感想の返信できないかもしれません……
※他サイト様にも掲載始めました!
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
料理スキルしか取り柄がない令嬢ですが、冷徹騎士団長の胃袋を掴んだら国一番の寵姫になってしまいました
さくら
恋愛
婚約破棄された伯爵令嬢クラリッサ。
裁縫も舞踏も楽器も壊滅的、唯一の取り柄は――料理だけ。
「貴族の娘が台所仕事など恥だ」と笑われ、家からも見放され、辺境の冷徹騎士団長のもとへ“料理番”として嫁入りすることに。
恐れられる団長レオンハルトは無表情で冷徹。けれど、彼の皿はいつも空っぽで……?
温かいシチューで兵の心を癒し、香草の香りで団長の孤独を溶かす。気づけば彼の灰色の瞳は、わたしだけを見つめていた。
――料理しかできないはずの私が、いつの間にか「国一番の寵姫」と呼ばれている!?
胃袋から始まるシンデレラストーリー、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる