『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)

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黒曜の瞳の男

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翌日から、私はイザークさんに連れられ、町のあちこちを案内してもらった。

朝市の屋台では、陽気なおばちゃんが山盛りの果物を試食させてくれ、鍛冶屋では大きな槌を振るう職人たちが汗を光らせていた。

最初は人目を気にしていた私も、何日か経つうちに町の人と冗談を交わせるようになっていた。



「すっかり馴染んできたな」

「まぁ…人間、慣れるの早いんですよ」

イザークさんの笑顔に、私もつい笑い返す。



そんなある日、長老たちが珍しく険しい顔で集まっていた。

「近くで帝国の皇子を筆頭に戦があったらしい」

「皇子…?」

私には縁遠い話だと思った。戦も皇子も、テレビの中のニュースみたいなもので、自分には関係ないと。



だが、それは油断だった。



夕暮れ時、村外れの小道を歩いていると、ふと足元に赤黒い染みが見えた。血――。

「え…?」

その痕跡は途切れ途切れに、藪の奥へと続いている。胸の奥がざわつきながらも、私は無意識に足を進めていた。



やがて、草むらの影に人影が見えた。

黒髪。土埃と血で汚れた衣服。そして、石のように冷たい黒曜石の瞳――。



「……おい、誰だ」

低く嗄れた声が私を射抜いた。

「誰って…こっちのセリフです。こんなところで何して――って、ちょっと!動かないで!」

「触るな」

「はいはい、死にたいなら勝手にどうぞ。でも私、放っておけないんですよ」



返事も待たず、私は彼の腕を引き、自分の肩に担ぎ上げた。

「……は?」

驚愕の声が耳元で響く。

「歩けないんでしょ?じゃあ私が運ぶしかないじゃないですか」

「女の腕力じゃ――ぐっ…!」

「ほら、言ったでしょ。大人しくしてて」



体温と血の匂いを背中に感じながら、私は村への道を踏みしめた。

後ろで彼が小さく呟いた。

「……なんだ、この女は…」





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