ポインセチアの咲く頃に

白石華

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クリスマスパーティーらしそうなことをする二人

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「というわけで、メリークリスマス。」
「メリー、クリスマス。」

 俺とミズキで、またお茶で乾杯し、買ってきたパンとサンドイッチを食べる。とりあえず前菜感覚で野菜サンドを食べ、お茶で口を洗うと今度は間にたっぷり挟まれた七面鳥のハムサンドを食べる。デザートにはデニッシュを食べ、その頃にはお腹もいっぱいになってくる。柔らかくてもちもちしたパンを食べられるのっていいなと俺は思ったのだった。

「今日は美味しいものをいっぱい食べたね。」
「そうですね。美味しいです……。美味しいです……。」

 ミズキもゆっくりと味わうように食べている。きっとミズキにとっても人間のクリスマスをだれかと過ごせるのは嬉しいのだろう。

「それにしてもクリスマス、見た目では楽しそうに見えましたが。
 実際、過ごしてみると、ハチャメチャに楽しかったです。」
「そうだね、俺もそう思ったよ。」

 ミズキも段々、こっちで暮らせるようになったからか、砕けた表現も口にするようになったみたいだ。最初は丁寧語でちょっととぼけている感じだったもんな。それは今も変わらないけど。

「毎年ある、お祭りの中でクリスマスと誕生日と、記念日的なイベントと。
 バレンタインデーとホワイトデーは過ごすと楽しいということが。」
「うんうん。やっぱりそういうのは過ごせる人がいると楽しいよね。」

 もちろんイベント商戦も交えているからなんだろうけど、街全体でそういうお祭りがあるのに乗っかるのは楽しいものだった。

「正さんは……私といて、楽しかったですか?」
「うん。楽しかったよ。ミズキは楽しくなかった?」
「いえ、楽しかった……です。」「

 今までのミズキの反応からしてそうだったんだろうけど、確認したらやっぱりそうだったみたいだ。

「一度知ってしまうと、そう簡単には抜け出せないみたいですね。」
「そんな物騒なイベントじゃないけど、まあ、そうだね。」

 ミズキがまた何か思案モードにでも入ったのだろうか。

「明日もクリスマス延長戦だからさ、よろしく、ミズキ。」
「はい、よろしくお願いします、正さん。」
「うん。食べたばっかりだし、腹ごなしになんかしようか。」
「お任せします。」

 食べるだけ食べたらすることがなくなってしまった俺たちだが。
 トランプをしようにも二人でするとなると掛かる時間と一度負けた後のハンデが大きすぎるものばかりだから。

「ポーカーでもする?」

 すぐに終わって引き継ぎもない、適度に熱中性とゲーム性があるポーカーにすることにした。

「ポーカーって何です?」
「カードを五枚配って、何枚かカードを入れ替えて、役を作るゲームだよ。
 役は……これね。」

 俺はスマホで調べてポーカーのルールが説明されているページをミズキに見せた。

「降りるのも可能なんですね。」
「うん。」
「ほうほう。やってみます。」

 というわけで、トランプを配ってやってみることに。

「正さん。これ役が全然そろいませんよ。よくてツーペアですね。」
「ストレートフラッシュまでは出したことあるんだけど、やっぱりそうだよね。」

 イカサマなしでやろうとしたら、そうなってしまうのだろう。

「ストレートフラッシュ。名前がかっこいいです。」

 ミズキが英語の役名にほわわんとときめいている。日本の神道に関わる妖精さんなのにゆるいな。

「他にもフルハウスとかスリーカードとかあるよ。
 役が被ったときに柄でも判断するんだけど一番強いのがスペードのエースだっけかな。
 あとジョーカーって言って、ババのことをそう言うんだけど。
 何にでもなるし単独でも強いんだ。」
「かっこいい……。」

 ミズキがまたトランプにときめいていた。

(これは……ゆるい。そして俺も内心、そう思っていたけど。ここまで反応する人を初めて見た。)

 西洋のボードゲームとかカードゲームってかっこいいよな。スラングが入ると現地の人にとっては違うんだろうけど。かっこいいと思っていたが、こんなに食いついてくるとは思わなかった。

「とは言え、来る役はツーペアとかですね。」
「こんなにカードあるのにね。」

 コンピューターゲームだと、たまに大役が出るんだけど、アナログは情け無用だった。接待ポーカーとか覚えておけばよかったが、指輪が鏡になっていてカードを切ると覚えるとか、持っているカードの順番を全部覚えて切る数も計算して行えるとか、話を聞くだけですごすぎるし、そこまでしないとイカサマってポーカーじゃやれないんだなって思った。

「寝ようか、ミズキ。」
「そうですね。」

 というわけで、最後は今一つパッとしないまま眠りについたのだった。それでも楽しかったし、明日も楽しければいいのである。
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