僕とお姉さん(仮)

白石華

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僕とお姉さん

お姉さんとの再会

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「あら、久しぶり! 本当に来てくれたんだ。」
「お、お姉さん……。」

 僕は部屋に入ると、お姉さんが出迎えてくれた。お姉さんの家は新居で。作られたばかりの家だ。確かにここに一人で住むのは何かとあるのだろう。

「えっと。うん。来ちゃった。」
「ふふ。これからは、部屋に戻った時は『ただいま』って言って。」
「う、うん。ただいま……。」
「お帰りなさい。誰も言う相手が居なくなっちゃったから。
 ちょっとだけ張り合いが出るの。」
「そうなんだ……。」

 お姉さんは僕を見て愁いを帯びた寂しそうな眼をしていた。

「ううん、君が悲しむことじゃないのよ。それに。」
「あっ。」

 お姉さんが僕の頬に両手を包むように当てる。

「君が来てくれたんだし、それに……。」

 お姉さんがうっとりしたような表情で僕を見る。

「スキンケア、ずっとしていたのね。綺麗な肌……手にすぐ馴染むわ。」
「お、お姉さん。」
「私が君に、女の子になる方法、教えてあげたの、ずっと守っていたんだ。」
「う、うん……。」

 僕が女装……きっかけは母親が化粧をする姿を見ていたのを興味深そうに見ていた時だったが、それは女の人だけがするものだと、どことなく羨ましそうに見ていたのをお姉さんに知られてしまい。お姉さんは二人だけの秘密にしようと、僕におさがりの服を着せてくれたり化粧の仕方を教えてくれたりしていた。それで僕は女装が誰にも言えない趣味になったのだが……。

「じゃあ、女の子になってみる?」
「そ、その前に、お姉さん、僕……僕を見てどう思う?」
「ええ、綺麗よ。とっても。」
「う、うん……。」

 僕はお姉さんに言って貰えて想定していたよりもずっと心臓がドキドキしていた。

「ね、こっちにいらっしゃい。」
「うん。」

 僕は鏡台のあるお姉さんの寝室に導かれていった。
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