17 / 19
第17話 デーモンハンター
しおりを挟む
しんしんと雪が降り積もる夜。今はもう誰にも使われていない古びた洋館に、女の足が鎖で繋がれている。
その女の側には蜘蛛のような6本の足と、黒い鉱石で覆われた体に人間の頭を持った化け物がいた。
「お嬢ちゃん。ダメじゃないか。家主のいる家に勝手に入るなんて。」
化け物は、笑みを浮かべながら女に顔を近づける。悲鳴を上げながら化け物から離れようとする女。しかし、それも鎖によって阻まれる。
何故こうなってしまったのか。女は友人と一緒に肝試しをするためこの洋館に入った。そして、この化け物と出会い、1人逃げ遅れた彼女は化け物に捕まり鎖に繋がれてしまったのだ。
「お嬢ちゃん、せっかくだから紅茶でもどうかね?」
そう言うと化け物はスイッチを押した。カタカタという音と共に何かが暗闇の中を蠢く音がする。女の鼓動は早まり、緊張感が走る。
闇の中から、女の前に現れたのは新幹線のプラモデルだった。これって...。と女は呟く。化け物はニヤリと笑った。
「あぁ、プラ◯ールさ。」
化け物は、新幹線に乗ったティーカップをとり、女の前に置く。新幹線は用が終わると、また暗闇の中に走り去っていった。
「私はここで一人ぼっちだったから、時間を持て余していてねぇ。いつしか、この洋館にあった大量のプラ◯ールを組み立てる事が生き甲斐になっていたんだよ。」
ニヤニヤと笑みを浮かべる化け物。女はそんな化け物から目をそらし、床を見つめた。あ、そうそう...。と化け物が何かを思い出す。
「君の友人達が逃げた先にも、私の作品があるんだ。」
女を置いて逃げていった友人達は、とある部屋にたどり着いていた。ただでさえ入り組んだ洋館に、化け物の恐怖が合わさり、もはや出口がどこかも分からず逃げた先がこの部屋であった。
1人がドアを開けて中に入る。他の友人達も次々と中に入っていく。そして、全員が中に入った瞬間、ドアがバタンと閉まる。ドアノブを回すが完全に鍵がしまっている。友人達は皆パニックになっていた。怒号や悲鳴が上がる中、カタカタ...。カタカタ...。という音が聞こえて来る。
友人達は静まり返り、恐る恐る音のなる方に持っていた懐中電灯のライトを向ける。彼らの網膜に飛び込んできたのは、不気味なまでに鮮やかな青。
そう、プラ◯ールであった。それも、とてつもないほど巨大な。まるで人間の遺伝子のような青の円環の上には、信じられない数の列車が走っている。
その恐怖と荘厳さに言葉を失う、友人達。しかし、悲劇はこれだけにとどまらなかった。かつん、と足に何かがあたる感触を感じた1人の友人。その方向に目を向けると、そこにあったのは大量の土を運搬しているトラックであった。嫌な予感が走る。
彼は、自分の懐中電灯のライトを下の方に向ける。すると、そこにあったのは働く車達が大量に蠢く巨大な道路。もはや友人達に逃げ場はなかった。泣き叫ぶ者、悲鳴や怒号をあげる者、神に祈る者。そんな友人達を意に介さず働く車や列車は動き続ける。
遠くの部屋で聞こえて来る悲鳴に、満足そうな表情を浮かべる化け物。女は悔しそうな表情を浮かべて、じっと床を見つめる。
「あぁ、今日はなんて最高な日なんだ。私が何十年の歳月をかけて作ったプラ◯ールを、誰にも見せず終わっていくと思っていたプラ◯ールを見せられるなんて!!!」
化け物は、大声で笑う。女は恐怖に表情を歪め、助けてよ...。と虚空に呟いた。すると、窓ガラスが砕け散る音がした。化け物と女が音のした方を向くと、そこには黒いローブを身に纏った人間の姿があった。
「そこまでよ。」
黒いローブから女の声がしたかと思うと、次の瞬間には、化け物の足が吹き飛んでいた。青い鮮血が飛び散る。
グワァァァァァァ!!!!と叫び、その血を止めようとする化け物。しかし、追撃の手が緩む事はない。ほとばしる雷光に貫かれる化け物。女が瞬きをする間に、勝負はついていた。
それから、洋館に入った者は救助され、黒いローブを纏った女はどこかへ去ろうとする。鎖に繋がれていた女は、黒いローブの女を引き止めようとする。
「あの、お礼、させていただけませんか。」
黒いローブの女は振り返り、静かに首を横に振る。
「そ、それなら、せめてお名前だけでも!」
そんな言葉に対して、少しだけ迷う黒いローブの女。フードを外し、その素顔を露わにする。柔らかい茶色の髪が良く似合う美人のお姉さんがそこにはいた。
「私は、デーモンハンター。デーモンハンターの鈴木 文香よ。」
そう言って、くるりと踵を返して夜の闇に消えていく文香。デーモンハンターは悪魔に襲われる一般市民を助けるため、今日も夜を彷徨う。
その女の側には蜘蛛のような6本の足と、黒い鉱石で覆われた体に人間の頭を持った化け物がいた。
「お嬢ちゃん。ダメじゃないか。家主のいる家に勝手に入るなんて。」
化け物は、笑みを浮かべながら女に顔を近づける。悲鳴を上げながら化け物から離れようとする女。しかし、それも鎖によって阻まれる。
何故こうなってしまったのか。女は友人と一緒に肝試しをするためこの洋館に入った。そして、この化け物と出会い、1人逃げ遅れた彼女は化け物に捕まり鎖に繋がれてしまったのだ。
「お嬢ちゃん、せっかくだから紅茶でもどうかね?」
そう言うと化け物はスイッチを押した。カタカタという音と共に何かが暗闇の中を蠢く音がする。女の鼓動は早まり、緊張感が走る。
闇の中から、女の前に現れたのは新幹線のプラモデルだった。これって...。と女は呟く。化け物はニヤリと笑った。
「あぁ、プラ◯ールさ。」
化け物は、新幹線に乗ったティーカップをとり、女の前に置く。新幹線は用が終わると、また暗闇の中に走り去っていった。
「私はここで一人ぼっちだったから、時間を持て余していてねぇ。いつしか、この洋館にあった大量のプラ◯ールを組み立てる事が生き甲斐になっていたんだよ。」
ニヤニヤと笑みを浮かべる化け物。女はそんな化け物から目をそらし、床を見つめた。あ、そうそう...。と化け物が何かを思い出す。
「君の友人達が逃げた先にも、私の作品があるんだ。」
女を置いて逃げていった友人達は、とある部屋にたどり着いていた。ただでさえ入り組んだ洋館に、化け物の恐怖が合わさり、もはや出口がどこかも分からず逃げた先がこの部屋であった。
1人がドアを開けて中に入る。他の友人達も次々と中に入っていく。そして、全員が中に入った瞬間、ドアがバタンと閉まる。ドアノブを回すが完全に鍵がしまっている。友人達は皆パニックになっていた。怒号や悲鳴が上がる中、カタカタ...。カタカタ...。という音が聞こえて来る。
友人達は静まり返り、恐る恐る音のなる方に持っていた懐中電灯のライトを向ける。彼らの網膜に飛び込んできたのは、不気味なまでに鮮やかな青。
そう、プラ◯ールであった。それも、とてつもないほど巨大な。まるで人間の遺伝子のような青の円環の上には、信じられない数の列車が走っている。
その恐怖と荘厳さに言葉を失う、友人達。しかし、悲劇はこれだけにとどまらなかった。かつん、と足に何かがあたる感触を感じた1人の友人。その方向に目を向けると、そこにあったのは大量の土を運搬しているトラックであった。嫌な予感が走る。
彼は、自分の懐中電灯のライトを下の方に向ける。すると、そこにあったのは働く車達が大量に蠢く巨大な道路。もはや友人達に逃げ場はなかった。泣き叫ぶ者、悲鳴や怒号をあげる者、神に祈る者。そんな友人達を意に介さず働く車や列車は動き続ける。
遠くの部屋で聞こえて来る悲鳴に、満足そうな表情を浮かべる化け物。女は悔しそうな表情を浮かべて、じっと床を見つめる。
「あぁ、今日はなんて最高な日なんだ。私が何十年の歳月をかけて作ったプラ◯ールを、誰にも見せず終わっていくと思っていたプラ◯ールを見せられるなんて!!!」
化け物は、大声で笑う。女は恐怖に表情を歪め、助けてよ...。と虚空に呟いた。すると、窓ガラスが砕け散る音がした。化け物と女が音のした方を向くと、そこには黒いローブを身に纏った人間の姿があった。
「そこまでよ。」
黒いローブから女の声がしたかと思うと、次の瞬間には、化け物の足が吹き飛んでいた。青い鮮血が飛び散る。
グワァァァァァァ!!!!と叫び、その血を止めようとする化け物。しかし、追撃の手が緩む事はない。ほとばしる雷光に貫かれる化け物。女が瞬きをする間に、勝負はついていた。
それから、洋館に入った者は救助され、黒いローブを纏った女はどこかへ去ろうとする。鎖に繋がれていた女は、黒いローブの女を引き止めようとする。
「あの、お礼、させていただけませんか。」
黒いローブの女は振り返り、静かに首を横に振る。
「そ、それなら、せめてお名前だけでも!」
そんな言葉に対して、少しだけ迷う黒いローブの女。フードを外し、その素顔を露わにする。柔らかい茶色の髪が良く似合う美人のお姉さんがそこにはいた。
「私は、デーモンハンター。デーモンハンターの鈴木 文香よ。」
そう言って、くるりと踵を返して夜の闇に消えていく文香。デーモンハンターは悪魔に襲われる一般市民を助けるため、今日も夜を彷徨う。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
転生したら4人のヤンデレ彼氏に溺愛される日々が待っていた。
aika
恋愛
主人公まゆは冴えないOL。
ある日ちょっとした事故で命を落とし転生したら・・・
4人のイケメン俳優たちと同棲するという神展開が待っていた。
それぞれタイプの違うイケメンたちに囲まれながら、
生活することになったまゆだが、彼らはまゆを溺愛するあまり
どんどんヤンデレ男になっていき・・・・
ヤンデレ、溺愛、執着、取り合い・・・♡
何でもありのドタバタ恋愛逆ハーレムコメディです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる