14 / 32
1章 始まりの街
6話 冒険者ギルド
しおりを挟む
冒険者ギルドの中へ入ると、たくさんのプレイヤーがいた。リサと同じような初期装備のプレイヤーもいれば、課金装備のプレイヤーもいる。NPCが販売する装備を身に着けたプレイヤーもいた。
剣、杖を持つプレイヤーがいれば、ライフル、バズーカ等のリアルに存在する武器を装備しているプレイヤーもいる。そのプレイヤー達はカウンターの前で順番待ちをしていたり、クエストの依頼を見ていたりしていた。
「リサちゃん、あそこが新規でカードを発行する場所だよ」
アヤネに連れられ、誰も並んでいないカウンターへと向かう。歩きながらリサは時折視線を感じていた。
(若い女性と少女が来たからか)
時間帯によるのか、今の男女比は8:2で圧倒的に男性プレイヤーが多かった。珍しい者を見るような視線、イヤらしい視線を受けながら、新規受付と書かれたカウンターの前に立つ。20歳ぐらいの綺麗な受付嬢のNPCが対応してくれた。
「すいません、冒険者の登録? をお願いしたいのだけど」
「はい、畏まりました。こちらに必要事項を記入してください」
言われるまま差し出された用紙に、氏名、種族、職業、年齢、所属クランを書いていく。年齢の欄でリサはペンを止めた。
「アヤネ、私は何歳に見える?」
「え? ええと…10代前半かな?」
妹の亜里沙を思い出し、彼女と同じ14歳と書いた。所属クランのところは、クランに入っていないの空白だ。別に所属してなければ書かなくていい。
「これでいい?」
「はい、少々お待ちください」
受付嬢は用紙を受け取る。発行に時間がかかるらしい。ギルドカードのシステムは複雑で、クエストで得たステータスやスキルのポイントをキャラに反映させないといけない。そのリンクを行う作業に時間がかかる。
「あれ? 何か聞かれるんじゃなかったの?」
アヤネに振り替えると不思議そうに首を傾げる。
「そうだね。私の時は、プレイヤーとして相応しいのか面接を受けたけど?」
「受付嬢さん、その辺はどうなんだ?」
リサが作業をしている受付嬢へと話しかける。
「はい、リサ様の場合、リアルで問題を起こしていません。又は問題に巻き込まれていませんので、特に面接の必要性はありません。プレイマナーに関しても、正義感の強い方と言う情報がありますので、ゲーム内で悪行を行わないと判断を致しました」
リアルでのリサの情報が知られているような話し方だった。一応、教師を殴ったという前科はあるが、それは正義の鉄槌だと判断されていた。
「うぅ…確かに私は問題に巻き巻き込まれてるけど…」
アヤネはリアルではストーカー被害を受けている。面接の時に何を言われたのか知らないが、人間関係に関する話をされたのだと思う。
「ギルドカードは始まりの街以外でも使えるし、街や国に入る為の身分証明書になるみたいだよ」
「はい、アヤネ様の言う通り、始まりの街で力を付けると、より難易度の高いタワーがある国へ挑戦する事が出来ます。この街は、スタート地点であり、スキルや、プレイヤー自信を鍛える場所でもあります」
TDOには始まりの街以外に4つの国がある。国それぞれに投資している企業が関わっており、その国に属する事で、リアルで得な事がある。例えば、セイブン工業国は、大手家電量販店が投資しており、属すると、電化製品がお得に買える。ゲーム面でも、属する事で、ステータスの上昇を得られる。
それぞれ特徴があり、始まりの街を卒業すれば、どこかの国に属する方が良いと言われていた。しかし、デメリットもある。属すれば、1年間の間、国を離れる事が出来なくなる。
顧客を離したくないという企業の思惑がゲーム内に反映されていた。それが嫌で、国に属さないプレイヤーもいる。そのプレイヤーは国を自由に行き来できる代わり、ステータス等のボーナスを得られない。
強くなろうと思うのなら、どこかの国に属す方がいいが、プレイスタイルは人それぞれである。
もう1つのデメリットがある。国の所有するメインタワーの攻略権が得られない事だ。メインタワーを攻略したプレイヤーは、更なる難易度のタワーへ挑む権利を得られる。
4つの国が重なる中心に天高く聳えるタワーがあり、プレイヤーの最終目的は、このタワーを攻略する事にある。中央のタワーの名前は、ディアナのタワーと呼ばれ、TDOの世界を作った女神が住んで居るという設定がされている。
ディアナのタワーはTDOの運営が投資をしており、得られる景品は豪華な物となる。それに、属している国のプレイヤーが攻略する事で、投資している企業へも、宣伝効果が発生し利益が得られる。
その為、国は優秀なプレイヤーを集め、ディアナのタワーを攻略するように支援をしている。プレイヤーは高額な景品、賞金を手に入れ、投資している企業は、宣伝で利益を得る。
「リサ様、ギルドカードの発行が終わりました。カードをお受け取り下さい」
淵が灰色のギルドカードを受け取る。申請の時に所持金を預けたので、カードにチャージして貰った。
リサ
種族:人間
職業:ゴーレムクリエイター
年齢:14
所属クラン:なし
クエスト達成数:0回
モンスター討伐数:0体
チャージギル:10000ギル
受け取ったカードはアヤネと少し違っていた。
「何か色が違う」
「それは、冒険者のランクを表してるんだよ。クエストをクリアして、冒険者のランクを上げると、より報酬の良いクエストを受ける事が出来るの。そしたら、ステータスとスキルのポイントも多く貰えるの」
リサは頷きながら受け取ったギルドカードを見つめる。リサの持つカードの淵の色は灰色だった。灰色はFランクを表す。
灰色→Fランク
緑色→Eランク
青色→Dランク
黒色→Cランク
銀色→Bランク
金色→Aランク
白銀色→Sランク
アヤネは緑色だったのでEランクの冒険者になる。
「リサちゃん、どうする? クエストを受ける?」
冒険者のランクを上げるには多くのクエストをクリアする必要がある。選べるクエストはランクごとに決まっており、リサが選べるのは、フィールドに生息しているモンスターの討伐と、ドロップアイテムの収集だった。
「タワーに挑む事は出来ないんだね」
「うん、始まりのタワーに挑むには、Dランクにならないといけないみたい」
冒険者のランクによりタワーの入場が制限されている。つまり、課金して強い装備を得ても、クエストをクリアして冒険者のランクを上げないと、タワーへ入れないという仕組みだ。
TDOの運営も、課金プレイヤーが直ぐにタワーを攻略できない様に考えていた。このゲーム、リアルマネーを注ぎ込めば、攻略の難易度は下がる。冒険者のランクというシステムにより、課金プレイヤーによるタワーの独占狩りを抑えている。
過去に、タワー内の狩場を独占する課金プレイヤーがいた。そのプレイヤーはマナー違反として通報され、ギルドカードを没収された。没収されると冒険者のランクも消滅し、タワーに挑む事は出来なくなる。
再発行も出来ないらしく、最悪、キャラのデリートで新規に作成するしか方法がない。その間に注ぎ込んだ課金は戻ってこない。なので、独占狩り等のマナー違反は、課金プレイヤーは行わない。
課金プレイヤーの過去の傍若無人なプレイは、今の課金プレイヤーに影響を与え、善良なプレイヤーを増やす事となった。TDOは廃課金プレイヤーや微課金プレイヤーと提供する企業の投資で運営されている。
リサは、人を分けながらクエストの掲示板の前に立つ。Fランクで受ける事が出来るのは、フィールドに生息するモンスターの討伐とドロップアイテムの収集だった。
依頼書
ゴブリンの討伐
内容
ゴブリンの討伐部位、左耳を集める
報酬
討伐部位10個毎に、ステータスとスキルのポイントずつ取得
上限数1000個
上限数達成報酬
祝福の指輪…1分間にMPが20ずつ回復する
称号
ゴブリンハンター
ゴブリンキングの討伐
内容
ゴブリンキングを倒す。討伐部位、ゴブリンキングの左耳
報酬
討伐部位1個毎に、ステータスとスキルのポイント、100ずつ取得
上限数5個
上限数達成報酬
ソニックブーツ…AGI+100アップ
称号
王殺
ハンターウルフの毛皮の収集
内容
ドロップアイテム、ハンターウルフの毛皮
報酬
1枚につき10000ギル
上限数100
上限数達成報酬
ハンターコート…VIT+100アップ
Fランクで受ける事の出来るクエストはこの3つだけだった。チュートリアルで倒したゴブリンには、討伐部位は含まれなかった。フィールドに生息しているモンスターのみからドロップするようだ。
「アヤネはクエストをクリアしたの?」
「上限達成は出来てないし、ゴブリンキングも倒していないよ。でも、ゴブリンの討伐と、ハンターウルフの毛皮の収集は、必要数を持って行ってクリアしたかな?」
だから、クエスト達成数は2だった。
「大量のギルを持っていたけど、ハンターウルフを倒したのか?」
「そうだよ。私のスキルだと直ぐに倒せるの!」
アヤネの倒し方は、肉の絵を具現化して、落とし穴の上に置き、ハンターウルフを落とすという方法だ。落とし穴も絵を具現化した罠で直ぐに消す事が出来る。落とし穴の中は鋭い刃物が伸びており、落ちれば串刺しである。
ハンターウルフは嗅覚が強いので肉の匂いをすぐに嗅ぎ付け、罠にかかるらしい。50万ギルを集めた方法は、ハンターウルフを倒した事にある。
「ん? 討伐数が100体を超えていたけど、ハンターウルフの上限数達成報酬は受け取っていない?」
「うん、50体は倒せたけど、後はゴブリンや他のウルフ系モンスターが引っ掛かったから」
苦笑いを浮かべて答える。他のウルフ系のモンスターはEランクで受けるクエストの討伐対象らしい。アヤネは2つのクエストを達成し、最近Eランクに昇格したと話していた。
Eランクのクエストも受けているが、達成条件が難しいらしい。リサはEランクのクエストの依頼書に目を向ける。
ブラウンウルフの討伐
内容
討伐部位、ブラウンウルフの尻尾
報酬
100本につきステータスとスキルのポイント、10ずつ取得
上限数1000
上限数達成報酬
ブラウンテイル…VIT+50・AGI+50(お尻に着けるアクセサリー)
称号
獣ハンター
男性プレイヤーでお尻のズボンから、ブラウン色のフサフサな尻尾をぶら下げている者がいる。獣人のキャラを選んだプレイヤーは、2本の尻尾が生えていた。性能がいいのでリサも欲しいと思ってしまった。
「リサちゃん、クエスト受ける?」
「ああ、Fランクのクエスト、全て受けるよ」
ゴブリンキングはどこに生息しているか分からないし、倒せるか不明だ。それに、見つけた時に依頼を受けていなくても、討伐部位さえ見せれば、依頼書を持っていくだけで完了する。
でも、クエストを受けると目標が出来るので、狩りにもやる気が起きる。新規受付カウンターとは別のカウンターに並ぶと、依頼書を提出する。
「ようこそ、ギルドへ、依頼書の提出をお願いします」
「はい、この3つを受けたいけどいい?」
「畏まりました。依頼書の承認を行います。……承認完了しました」
掲示板から剥がした依頼書は、直ぐに同じ内容で張り出されるので、受け損ねるというプレイヤーはいない。誰も、リサに文句は言わない。そう思っていたのだが…。
「おいおい、初心者なら無理はするなよ」
「そうだぜ、今なら俺達が手伝ってやるぜ」
リサの依頼書を見て話しかけてきたプレイヤーが現れた。怪訝そうに振り返り、受付嬢に視線を向ける。
「これ、マナー違反じゃないの?」
「いいえ、これはテンプレです。初心者に起こりうるイベントとして運営は把握しています。関与は致しません」
テンプレと受付嬢は話し、運営は関与しない。隣に立つアヤネは、男性プレイヤーを見ると小さく震えていた。リアルでの出来事を思い出したのだろう。リサは肩を落とし、男性プレイヤーに声をかける。
剣、杖を持つプレイヤーがいれば、ライフル、バズーカ等のリアルに存在する武器を装備しているプレイヤーもいる。そのプレイヤー達はカウンターの前で順番待ちをしていたり、クエストの依頼を見ていたりしていた。
「リサちゃん、あそこが新規でカードを発行する場所だよ」
アヤネに連れられ、誰も並んでいないカウンターへと向かう。歩きながらリサは時折視線を感じていた。
(若い女性と少女が来たからか)
時間帯によるのか、今の男女比は8:2で圧倒的に男性プレイヤーが多かった。珍しい者を見るような視線、イヤらしい視線を受けながら、新規受付と書かれたカウンターの前に立つ。20歳ぐらいの綺麗な受付嬢のNPCが対応してくれた。
「すいません、冒険者の登録? をお願いしたいのだけど」
「はい、畏まりました。こちらに必要事項を記入してください」
言われるまま差し出された用紙に、氏名、種族、職業、年齢、所属クランを書いていく。年齢の欄でリサはペンを止めた。
「アヤネ、私は何歳に見える?」
「え? ええと…10代前半かな?」
妹の亜里沙を思い出し、彼女と同じ14歳と書いた。所属クランのところは、クランに入っていないの空白だ。別に所属してなければ書かなくていい。
「これでいい?」
「はい、少々お待ちください」
受付嬢は用紙を受け取る。発行に時間がかかるらしい。ギルドカードのシステムは複雑で、クエストで得たステータスやスキルのポイントをキャラに反映させないといけない。そのリンクを行う作業に時間がかかる。
「あれ? 何か聞かれるんじゃなかったの?」
アヤネに振り替えると不思議そうに首を傾げる。
「そうだね。私の時は、プレイヤーとして相応しいのか面接を受けたけど?」
「受付嬢さん、その辺はどうなんだ?」
リサが作業をしている受付嬢へと話しかける。
「はい、リサ様の場合、リアルで問題を起こしていません。又は問題に巻き込まれていませんので、特に面接の必要性はありません。プレイマナーに関しても、正義感の強い方と言う情報がありますので、ゲーム内で悪行を行わないと判断を致しました」
リアルでのリサの情報が知られているような話し方だった。一応、教師を殴ったという前科はあるが、それは正義の鉄槌だと判断されていた。
「うぅ…確かに私は問題に巻き巻き込まれてるけど…」
アヤネはリアルではストーカー被害を受けている。面接の時に何を言われたのか知らないが、人間関係に関する話をされたのだと思う。
「ギルドカードは始まりの街以外でも使えるし、街や国に入る為の身分証明書になるみたいだよ」
「はい、アヤネ様の言う通り、始まりの街で力を付けると、より難易度の高いタワーがある国へ挑戦する事が出来ます。この街は、スタート地点であり、スキルや、プレイヤー自信を鍛える場所でもあります」
TDOには始まりの街以外に4つの国がある。国それぞれに投資している企業が関わっており、その国に属する事で、リアルで得な事がある。例えば、セイブン工業国は、大手家電量販店が投資しており、属すると、電化製品がお得に買える。ゲーム面でも、属する事で、ステータスの上昇を得られる。
それぞれ特徴があり、始まりの街を卒業すれば、どこかの国に属する方が良いと言われていた。しかし、デメリットもある。属すれば、1年間の間、国を離れる事が出来なくなる。
顧客を離したくないという企業の思惑がゲーム内に反映されていた。それが嫌で、国に属さないプレイヤーもいる。そのプレイヤーは国を自由に行き来できる代わり、ステータス等のボーナスを得られない。
強くなろうと思うのなら、どこかの国に属す方がいいが、プレイスタイルは人それぞれである。
もう1つのデメリットがある。国の所有するメインタワーの攻略権が得られない事だ。メインタワーを攻略したプレイヤーは、更なる難易度のタワーへ挑む権利を得られる。
4つの国が重なる中心に天高く聳えるタワーがあり、プレイヤーの最終目的は、このタワーを攻略する事にある。中央のタワーの名前は、ディアナのタワーと呼ばれ、TDOの世界を作った女神が住んで居るという設定がされている。
ディアナのタワーはTDOの運営が投資をしており、得られる景品は豪華な物となる。それに、属している国のプレイヤーが攻略する事で、投資している企業へも、宣伝効果が発生し利益が得られる。
その為、国は優秀なプレイヤーを集め、ディアナのタワーを攻略するように支援をしている。プレイヤーは高額な景品、賞金を手に入れ、投資している企業は、宣伝で利益を得る。
「リサ様、ギルドカードの発行が終わりました。カードをお受け取り下さい」
淵が灰色のギルドカードを受け取る。申請の時に所持金を預けたので、カードにチャージして貰った。
リサ
種族:人間
職業:ゴーレムクリエイター
年齢:14
所属クラン:なし
クエスト達成数:0回
モンスター討伐数:0体
チャージギル:10000ギル
受け取ったカードはアヤネと少し違っていた。
「何か色が違う」
「それは、冒険者のランクを表してるんだよ。クエストをクリアして、冒険者のランクを上げると、より報酬の良いクエストを受ける事が出来るの。そしたら、ステータスとスキルのポイントも多く貰えるの」
リサは頷きながら受け取ったギルドカードを見つめる。リサの持つカードの淵の色は灰色だった。灰色はFランクを表す。
灰色→Fランク
緑色→Eランク
青色→Dランク
黒色→Cランク
銀色→Bランク
金色→Aランク
白銀色→Sランク
アヤネは緑色だったのでEランクの冒険者になる。
「リサちゃん、どうする? クエストを受ける?」
冒険者のランクを上げるには多くのクエストをクリアする必要がある。選べるクエストはランクごとに決まっており、リサが選べるのは、フィールドに生息しているモンスターの討伐と、ドロップアイテムの収集だった。
「タワーに挑む事は出来ないんだね」
「うん、始まりのタワーに挑むには、Dランクにならないといけないみたい」
冒険者のランクによりタワーの入場が制限されている。つまり、課金して強い装備を得ても、クエストをクリアして冒険者のランクを上げないと、タワーへ入れないという仕組みだ。
TDOの運営も、課金プレイヤーが直ぐにタワーを攻略できない様に考えていた。このゲーム、リアルマネーを注ぎ込めば、攻略の難易度は下がる。冒険者のランクというシステムにより、課金プレイヤーによるタワーの独占狩りを抑えている。
過去に、タワー内の狩場を独占する課金プレイヤーがいた。そのプレイヤーはマナー違反として通報され、ギルドカードを没収された。没収されると冒険者のランクも消滅し、タワーに挑む事は出来なくなる。
再発行も出来ないらしく、最悪、キャラのデリートで新規に作成するしか方法がない。その間に注ぎ込んだ課金は戻ってこない。なので、独占狩り等のマナー違反は、課金プレイヤーは行わない。
課金プレイヤーの過去の傍若無人なプレイは、今の課金プレイヤーに影響を与え、善良なプレイヤーを増やす事となった。TDOは廃課金プレイヤーや微課金プレイヤーと提供する企業の投資で運営されている。
リサは、人を分けながらクエストの掲示板の前に立つ。Fランクで受ける事が出来るのは、フィールドに生息するモンスターの討伐とドロップアイテムの収集だった。
依頼書
ゴブリンの討伐
内容
ゴブリンの討伐部位、左耳を集める
報酬
討伐部位10個毎に、ステータスとスキルのポイントずつ取得
上限数1000個
上限数達成報酬
祝福の指輪…1分間にMPが20ずつ回復する
称号
ゴブリンハンター
ゴブリンキングの討伐
内容
ゴブリンキングを倒す。討伐部位、ゴブリンキングの左耳
報酬
討伐部位1個毎に、ステータスとスキルのポイント、100ずつ取得
上限数5個
上限数達成報酬
ソニックブーツ…AGI+100アップ
称号
王殺
ハンターウルフの毛皮の収集
内容
ドロップアイテム、ハンターウルフの毛皮
報酬
1枚につき10000ギル
上限数100
上限数達成報酬
ハンターコート…VIT+100アップ
Fランクで受ける事の出来るクエストはこの3つだけだった。チュートリアルで倒したゴブリンには、討伐部位は含まれなかった。フィールドに生息しているモンスターのみからドロップするようだ。
「アヤネはクエストをクリアしたの?」
「上限達成は出来てないし、ゴブリンキングも倒していないよ。でも、ゴブリンの討伐と、ハンターウルフの毛皮の収集は、必要数を持って行ってクリアしたかな?」
だから、クエスト達成数は2だった。
「大量のギルを持っていたけど、ハンターウルフを倒したのか?」
「そうだよ。私のスキルだと直ぐに倒せるの!」
アヤネの倒し方は、肉の絵を具現化して、落とし穴の上に置き、ハンターウルフを落とすという方法だ。落とし穴も絵を具現化した罠で直ぐに消す事が出来る。落とし穴の中は鋭い刃物が伸びており、落ちれば串刺しである。
ハンターウルフは嗅覚が強いので肉の匂いをすぐに嗅ぎ付け、罠にかかるらしい。50万ギルを集めた方法は、ハンターウルフを倒した事にある。
「ん? 討伐数が100体を超えていたけど、ハンターウルフの上限数達成報酬は受け取っていない?」
「うん、50体は倒せたけど、後はゴブリンや他のウルフ系モンスターが引っ掛かったから」
苦笑いを浮かべて答える。他のウルフ系のモンスターはEランクで受けるクエストの討伐対象らしい。アヤネは2つのクエストを達成し、最近Eランクに昇格したと話していた。
Eランクのクエストも受けているが、達成条件が難しいらしい。リサはEランクのクエストの依頼書に目を向ける。
ブラウンウルフの討伐
内容
討伐部位、ブラウンウルフの尻尾
報酬
100本につきステータスとスキルのポイント、10ずつ取得
上限数1000
上限数達成報酬
ブラウンテイル…VIT+50・AGI+50(お尻に着けるアクセサリー)
称号
獣ハンター
男性プレイヤーでお尻のズボンから、ブラウン色のフサフサな尻尾をぶら下げている者がいる。獣人のキャラを選んだプレイヤーは、2本の尻尾が生えていた。性能がいいのでリサも欲しいと思ってしまった。
「リサちゃん、クエスト受ける?」
「ああ、Fランクのクエスト、全て受けるよ」
ゴブリンキングはどこに生息しているか分からないし、倒せるか不明だ。それに、見つけた時に依頼を受けていなくても、討伐部位さえ見せれば、依頼書を持っていくだけで完了する。
でも、クエストを受けると目標が出来るので、狩りにもやる気が起きる。新規受付カウンターとは別のカウンターに並ぶと、依頼書を提出する。
「ようこそ、ギルドへ、依頼書の提出をお願いします」
「はい、この3つを受けたいけどいい?」
「畏まりました。依頼書の承認を行います。……承認完了しました」
掲示板から剥がした依頼書は、直ぐに同じ内容で張り出されるので、受け損ねるというプレイヤーはいない。誰も、リサに文句は言わない。そう思っていたのだが…。
「おいおい、初心者なら無理はするなよ」
「そうだぜ、今なら俺達が手伝ってやるぜ」
リサの依頼書を見て話しかけてきたプレイヤーが現れた。怪訝そうに振り返り、受付嬢に視線を向ける。
「これ、マナー違反じゃないの?」
「いいえ、これはテンプレです。初心者に起こりうるイベントとして運営は把握しています。関与は致しません」
テンプレと受付嬢は話し、運営は関与しない。隣に立つアヤネは、男性プレイヤーを見ると小さく震えていた。リアルでの出来事を思い出したのだろう。リサは肩を落とし、男性プレイヤーに声をかける。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる