TowerDungeonOnline(タワーダンジョンオンライン)

小佐古明宏

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1章 始まりの街

11話 合流

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 プレイヤーとして覚醒したリサは、個室のベッドに座りなおす。アヤネもログアウトした事でPTは解散していた。リサは、フレンドリストを開き、アヤネにメールを送信する。

 件名:明日からについて
 差出人:リサ
 宛先:アヤネ
 本文:今日はバイトが休みだからログインしているけど、明日からは夜にしか来れない。もし、日中に狩りをしたいのなら、トウジョウ君を貸す。ログアウト中でも、トウジョウ君は準NPCとして、プレイヤーとPTが組めるから、一緒に行動すれば、レベル上げが出来るぞ。

 万が一、アヤネが昼にログインしたら、一緒に行動できない。本人も話していたが、課金装備を貰っても、プレイヤースキルが低いから、上手に狩りが出来ないらしい。

 ゴブリンも、囲まれると倒すのに苦労して死に戻りすると話していた。リサと一緒なら良いのにと言われたが、生憎、バイトがある。なので、手に入れたステータスとスキルのポイントは、ゴーレムBOTを優先に上げる事にした。

「そういえば…」

 思い出したようにインベントリから依頼書を取り出す。依頼書には、現在の討伐数や、ドロップアイテムの数が記されていた。提出した依頼書には、

 依頼書
 ゴブリンの討伐
 内容
 ゴブリンの討伐部位、左耳を集める
 報酬
 討伐部位10個毎に、ステータスとスキルのポイント1つ
 上限数1000個
 上限数達成報酬
 祝福の指輪…1分間にMPが20ずつ回復する

 討伐数:200 各ポイント:20

 討伐数と、報酬のポイントが書かれていた。クエストで報酬として得た各ポイントは、ステータスの画面に称号として反映されており、振り分ける事が出来る。称号名はゴーレムハンターであり、称号の詳細には、ステータス:20・スキル:20とポイントが記されていた。

 ギルドカードを失うと称号が消えて、取得したポイントが失われる。しかし、レベル上昇時に得られるポイントは失われない。TDOでは、レベルが上がる毎に5ポイントずつ、ステータスとスキルのポイントが貰える。

 このポイントは一定のレベルに達すると増える仕様で、LV:100に達すると10ポイントずつ貰える。現時点でのトッププレイヤーのレベルはLV:300を超えていると言われていた。

 TDOのレベル上限はLV:1000だと言われており、未だに達したプレイヤーはいない。リサは別に上位に入るようなプレイヤーになろうとは思っていないが、少しは、気になっていた。

(どれだけ、景品や賞金を得てるのだろう?)

 強くなればより難易度の高いタワーに挑戦できる。当然、得られる報酬も良くなり、景品や賞金の額も増える。最近、ニュースで話題になっていたのが、ディアナのタワーの攻略プレイヤーが、ソロで10階層に達したという話だ。

 その時、賞金が貰えて1000万円を手に入れた。そのプレイヤー曰く、課金額を考えるとマイナスらしい。どれだけ、注ぎ込んだのか不明だが、消耗品として課金アイテムを使用していると話していた。

 職業はソルジャーであり、武器はロケットランチャーをメイン装備としていた。砲弾が課金弾で、一番高い砲弾が、1つ10万円するらしい。ニュースを見て、馬鹿だとリサは呆れていた。

「無課金が一番だ」

 リサは一切、課金するつもりはなかった。実際は課金する程、余裕がない。貯金を崩せば課金も出来るが、課金プレイヤーは、効率良くプレイする為に課金をする。

 リサの場合、ゴーレムBOTがあるので、ログアウト中でも、経験値とドロップアイテムを得る事は出来る。効率面では課金プレイヤーより有利だと思っている。

「……っと、振り分けるか」

 レベルアップと、クエストの報酬で、リサは95ポイント、所持していた。

(ステータスは…やっぱりMPを増やす方がいいか?)

 ゴーレムクリエイターと言う職業は、ゴーレムに命令して自分は何もしない。凄く楽な職業である。ゴーレムが戦ってくれるので、リサはする事がない。

「でも、本人が狙われたら意味がないしな」

 余ったハンターウルフの毛皮は52枚。これをギルドに出して資金に返る事も考えた。今のリサは、初期装備で何も補正がない。只の服と同じである。なので、クエストの報酬で得た資金で装備を買おうと考えた。

「VITは装備でも上げられるし、INTを高い目にするか。一応、自分でも攻撃できるように、武器も買うとして…」

 待ち合わせまで少し時間はまだある。リサは早速、ステータスとスキルを振り分けると、1階へと降りた。夜になるとプレイヤーの人数が増えていた。カウンターは長蛇の列が並び、時間がかかりそうだった。

「……後でいいか」

 待ち合わせの時間を考えると、間に合わない可能性がある。売却はいつでも出来るし、もし、亜里沙と一緒に狩りをするのなら、ハンターウルフの毛皮も増えるかもしれない。

 リサは、ギルドを後にすると、待ち合わせの噴水の場所まで歩いて行く。道中、何か視線を感じたが、振り返っても、プレイヤーの数が多くて誰が見ていたのか分からない。

 右上のマップも、道路は青い印で埋まっていた。どれだけのプレイヤーがいるのか不明だが、その中から、亜里沙を探すのは苦労する。と、思いきや、簡単に見つける事が出来た。

 LINEに送られていたSSと同じ衣装を着た少女が、噴水の淵に座っていた。プレイヤーの名前もアリサだった。確実に、本人だと認識すると、声を掛けに歩いて行く。

「アリサ、待ったか?」

「……お、お姉ちゃん?」

 戸惑いながらアリサが見つめる。今のリサは、リアルと違い、身長も低くして、胸も小さくしている。年齢も14歳に設定しているので、姉だとは分からない。髪の色も変えているし余計に分からなくなる。

「そうだけど? アリサは…実際に見ると、あまり変わってないな」

 アリサは金髪ツインテールをしているが、顔のパーツや身長、胸の大きさなどは実際と同じだった。黒いゴスロリ衣装に身を包み、頭には黒いカチューシャを嵌めている。

 背中には、先端に赤い宝石の付いた杖を背負っていた。このゴスロリ衣装も、杖もタワーの攻略報酬だと話していた。確か、アリサはLV:40を超えており、冒険者ランクはDランクだと話していた。タワーへ挑む事が出来て、彼女はチュートリアルタワーで、装備を得たと話していた。

「本当に、お姉ちゃんなんだね」

「ああ、そうだけど。この場合、リサと呼んでほしいな」

「う、うん…リサ…お姉ちゃん」

 リアルを意識して、姉と言う言葉は外せないらしい。なので、リサお姉ちゃんと呼んでもらう事にした。

「早速だけど、フレンド登録いいか?」

「うん!」

 申請を出すと直ぐに許可された。嬉しそうにアリサは笑顔を見せると、立ち上がる。隣に並ぶと同じ背丈になる。

「何だか変な感じだね。リサお姉ちゃんと同じなんて」

「そうか? 私はアリサと同じになれて嬉しいけど」

 妹の目線で見る世界は、リアルとは異なる。背が低くなるだけで、こうも違うとは思っても見なかった。

「リサお姉ちゃん、今日が初日だよね? レベル上がった?」

「今、レベル15だな。もう少し、上げようと思うが…」

 何故か、アリサが驚愕な表情で見つめていた。

「そ、その初期装備で良く上げたね? 何も補正が無いのに、死ななかったの?」

「あ…ゴーレムに倒してもらったからな」

「そうなんだ。言ってたね。ゴーレムを作れるって」

 リサとアリサは話しながら街を歩く。リアルではたまに会うが、こうしてゲーム内でアリサと会うと、別な意味で新鮮な感じがする。テンションが上がる。

「ん?」

「どうしたの?」

「いや…さっきから、視線を感じてな」

 また、見られている。どこの誰だか分からないのが実に悔しい。

「凄いね。リアルと同じで視線を察知できるんだ」

 リサは格闘術を取得する際、その過程で気配や視線を感じる技術を身に着けていた。TDOの中でも同じ事が出来ており、ゲームのリアル性に内心驚いていた。

「まぁ、でも、悪意ある視線じゃないし、寧ろ、興味を持って見ているって感じだな」

「へぇ~そうなんだ」

 何故かジト目で見つめてくる。

「それって、昼過ぎのギルドの決闘の事?」

「そうだけど? 何故知ってるんだ?」

「掲示板に晒されてたよ。初心者なのに課金プレイヤーを決闘で倒したって話題に上がってる。それに、木の人形が、プレイヤーの頭を吹き飛ばしたって、書いてたよ」

 リサは思い返す。確か魔法剣士のプレイヤーを、ウッドゴーレムが相手をしていた。格闘家の攻撃を避けるのに夢中で、見る余裕はなかったが、

(そうか、ウッドゴーレムがそんな事を)

 苦笑いを浮かべて、ログアウトしたら掲示板を見ようと考えた。アリサとリサが見ているTDOの情報サイトに、掲示板がある。様々な内容が書かれているので、ハードを購入するまで、情報収集の為に見ていた。

 書かれていたとすれば、その掲示板だと思う。リサとアリサは、雑談をしながら門を出ると、

「ねぇ、早速ゴーレムを見せてよ」

 アリサにせがまれる。リサは、インベントリに入れていた街の中で解除したゴーレムを取り出す。地面に石の塊を置くと、MPゴーレム作成を使用した。昼間の時に作成したタイプに、少し手を加えたトウジョウ君を作成し、アリサを驚かすのだった。
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