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1章 始まりの街
10話 帰還
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設定した通りトウジョウ君は、18時に始まりの街へと戻ってきた。そう、戻ってきたのだ。街の中に…。
「すっごい見られてるね」
「そうだな…」
動きが止まり、時刻が18時になっていたので、リサは立ち上がり箱から顔を出した。すると、その場所は、始まりの街に中であり、入り口の門の傍だった。周りには、興味深く見つめるプレイヤーや、武器を構えるプレイヤーがいた。
「取り合えず、下ろして」
トウジョウ君に命令すると、しゃがんでくれたので、アヤネの手を引いて地面に降り立つ。目立つトウジョウ君をさっさと消し去る。石の山が出来たので、邪魔にならない様にインベントリへと仕舞う。
「ねぇ、あの娘、ギルドの…」
「そうだ。ギルドで見たプレイヤーだ!」
「すげぇ…ゴーレムに乗ってる」
野次馬から様々な声が聞かれたが、リサはそれを無視して、アヤネを連れて歩き出す。武器を構えていたプレイヤーも、リサがギルドで騒動を起こした人物だと知ると、慌てて武器を仕舞い込んだ。
「今度は、街の外で待機するように設定しないとな」
「そ、そうだね」
苦笑いを浮かべ、リサはギルドへと向かう。ゴブリンをメインに倒したのは、上限数達成報酬で得られる祝福の指輪を手に入れたいからだ。その指輪さえあれば、もう1体追加で、MPゴーレムが作れる。
1体辺り、1分間に10ずつMPを消費する。本来、仕様では1分間に10ずつMPが回復するが、リサの場合、MPゴーレムの維持費に使用している為、回復しない。
2体目を作るとなると1分間に20ずつMPが減る。今のままだとマイナスになるので、早急に、MPが回復する指輪が欲しかった。
尚、ゴーレムBOTを残してログアウトした場合の維持費は、キャラがいなくても反映される。ログアウト中も減ったMPは回復する仕様で、これはタワーを攻略する時に合わせての設定だった。
どうしてもタワーを攻略している時に、ログアウトしなくてはいけない用事がある。その時に、ログアウトすると、ログインした時、その場からスタートできる。これは、ソロで挑んでいても、PTを組んでいても同じ仕様であり、時には、ログインした時にPTメンバーがいなくて、死ぬプレイヤーもいた。
ログアウト中の回復はMPだけで、HPは回復しない。ポーションを使用するか、回復魔法を受けるか、宿屋に泊まるしか回復しない。そう考えると、リサの職業、ゴーレムクリエイターはチート級だと考えられる。
ゴーレムBOTを使えば、ログアウト中でも経験値やドロップアイテムを得られる。只、このスキルには隠された制限がある。リサはまだ知らないが、課金をすると、このスキルは消えてしまう。
無課金でプレイしているからこそ使えるスキルである。リサは課金をしない設定をしたので、偶然にも、ゴーレムBOTを効率よく使える。本人はまだ自覚は無いが、本当の無課金プレイヤーはごくわずかである。低額でも課金すれば、その時点で無課金プレイヤーではなくなる。
アヤネの様に、課金プレイヤーからガチャの装備を貰ったプレイヤーも、無課金のプレイヤーになる。自分から課金しなければ無課金。なので、本当の強者は、無課金でありながら、課金プレイヤーからアイテムを譲り受けているプレイヤーだ。
アヤネもいずれ、大物になる資質を持っている。見た目と性格のギャップから、ファンが集まり、貢がれる事もあるが、本人は気づいていない。
リサはアヤネと並んでギルドへと入る。昼過ぎの決闘が目立ったのか、リサ達に注目する視線が増えた。そのまま、気にせずにリサは歩き、受付カウンターの列へと並ぶ。
「リサちゃん、本当に貰っていいの?」
「いいよ。今は、ゴブリンの討伐部位が欲しいから、それ以外は必要ない。それに、いつでも狩れるから」
リサはゴブリンの討伐部位、左耳以外のドロップアイテムをアヤネに渡した。
「あ…魔石は、貰うけど」
「うん、それは良いよ。狩ったのはリサちゃんだし」
魔石を残し、アヤネに渡した事で、彼女はクエストの収集数が上がった。Eランクのクエストも受注しており、対象のドロップアイテムも集まった。ホクホク顔で嬉しそうにしている。
アヤネのにやけ顔を見ながら、リサはインベントリを確認する。モンスターは低確率で、倒した時、魔石がドロップする。その魔石は売れば資金源になり、魔道具を作成する素材にも使用されている。
低確率で得られる魔石が、リサの場合トウジョウ君のLUKが反映し、100%ドロップしていた。LUKが高い程、魔石が手に入り、レアなドロップアイテムを得る事が出来る。リサのインベントリには大量の、ゴブリン以外のモンスターの魔石が入っていた。
その魔石は、当然、ゴーレムクリエイターのスキル、ゴーレムクリエイトにも使用できる。問題なのは、最強のゴーレムを作るのに、魔石の数が足らない事だ。リサはゴーレムを作るのなら、最強の物を作りたい。そう思っていた。
(全然足らない)
現時点でゴーレムクリエイトで作成できるゴーレムは2種類で、それは現在いる場所によって異なる。始まりの街周辺で得られる素材で作れるゴーレムが表示されていた。行く先々で、作れるゴーレムが変わるのだと、思いながら、リサは、作成できるゴーレムのリストを見て、待ち時間を潰す。
現在、リサが作れるゴーレムは、ゴブリンを素材にしたゴーレムと、ウルフ系モンスターを素材にしたゴーレムの2種類だった。始まりの街でドロップするアイテムが素材として使われる。
ゴブリンゴーレム
ゴブリンの魔石:100個
鉄鉱石:10個
ゴブリンキングの骨格:1体
最低でも、これだけの素材があれば作る事が出来る。プレイヤーのステータスポイントと同じで、ポイントを振り分けてステータスを決める。そのポイントは魔石の数で決まっており、魔石1=1ポイントと計算されていた。只、モンスターの強さにより、魔石1つから得られるポイントは異なる。
つまり、リサの様な初めて就く職業を選ばないプレイヤーと同じ強さになる。違う事は、ゴーレムは成長しない。作ればその強さに固定されるが、魔改造強化等のスキルを使えば、鍛える事は出来る。
(元が弱かったら意味がないしな)
いくらスキルで底上げしても、元が弱いと意味がない。リサは、作るのなら上限までの魔石や素材を使用して、ゴブリンゴーレムを作成しようと考えた。
ゴブリンゴーレム
ゴブリンの魔石:10000個
鉄鉱石:1000個
ゴブリンキングの骨格×10
作る事が出来るか不明だが、ゴブリンゴーレムの上限の強さに必要な素材の数だ。集めるのに苦労するが、その代わり得られる物も多い。問題があるとすれば、ゴーレムクリエイトの使用時に必要なMPが不足している事だ。
もし、10000個のゴブリンの魔石を使うのなら、魔石と同じ10000のMPを消費する。現時点で上限までの個数を使用してゴーレムを作る事は不可能であり、MPを上げる必要がある。簡単に最強は手に入らないという仕組みだ。運営も考えている。
「次の方どうぞ」
「ん?」
いつの間にか、人がいなくなり誰も並んでいなかった。
「リサちゃん…」
振り返ると、アヤネの後ろにも人は並んでいない。何故か、リサの並んでいる列のカウンターだけ、避けられていた。リサは怪訝そうな顔をすると、受付嬢に話しかける。
「クエストの更新をお願いしたいのだけど」
「畏まりました。依頼書を提出してください」
依頼書をインベントリから取り出す。依頼書は、上限達成報酬を得るまで持つ事が出来、最後は、依頼書の返却で、達成報酬が貰える。そして、依頼書が更新されて、現在の討伐数や、回収したドロップアイテムの数が記載される。
「依頼書の更新、完了しました。達成した各ポイントは称号として、プレイヤーに反映しましたので、ステータス画面にて確認してください」
預けた依頼書を受け取ると、アヤネも受付で依頼書を提出していた。彼女の作業が終わると満面の笑みで、リサに近づいてきた。
「リサちゃん、上限達成報酬、貰えたよ!」
嬉しそうにアヤネはリサに抱き着く。彼女の胸にリサの顔が埋もれる。何とか引きはがすと、アヤネはインベントリから茶色い毛皮のコートを取り出した。
「ハンターウルフの毛皮の収集の上限達成報酬だよ。リサちゃん、毛皮余ってるけど、返そうか?」
フサフサした腰辺りまである茶色い毛皮コートは、見た目に反して、VITが高い。無課金でプレイするなら、最適な装備だと思える。リサは、余った毛皮を受け取った。
「このコート、炎属性に弱いみたい。でも、氷属性の耐性はあるみたいだけど」
アヤネ曰く、弱点の炎に晒されると燃えて消えるらしい。装備破壊と言う現象が起きる設定らしい。課金装備と同じ性能を持つ装備だから、何か裏があると思っていたが、まさか、装備が壊れるとは思っていなかった。
(だからか? コートを身に着けているプレイヤーが少ない)
初心者ですら身に着けていない。否、ハンターウルフに挑む推奨レベルはLV:20からであり、初心者には倒せない。それをリサは軽々と倒していた。おかげれ、リサも、アヤネも経験値を得て、レベルが上がっていた。リサはLV:15、アヤネはLV:25にまで上がっている。
PTを組んだ事で経験値が均等に配布され、少し減ったが、それでも初日にしては上々のスタートだった。
「アヤネ、これからどうする?」
「私は…ログアウトするかな? 早速、リサちゃんを主人公にした漫画のプロットを描きたいし」
照れながら話すアヤネに、リサは苦笑いを浮かべる。
「主人公なのは確定なのか」
「当然だよ! だって、ネタの塊だもの。逃すわけないでしょ」
ネタ扱いされて肩を落とす。
(まぁ、アヤネと楽しく遊べたし、話も聞けたし別にいかな?)
変に描かなければ問題ないと思い、リサとアヤネはギルドの2階へと向かう。ログアウトはどんな場所でも出来るが、ログインの時に、その場所にプレイヤーがいれば、入る事が出来ない。
それを避ける為に、2階の個室を利用する。個室はそれぞれプレイヤー毎に隔離された空間が与えられ、ログイン時の失敗を防ぐ事が出来る。扉の入り口前でアヤネと別れると、リサは中へと入り、備え付けのベッドに横になる。
時刻は18時30分過ぎで、ログアウト後、夕食を取るつもりだった。20時の待ち合わせに間に合うように、支度をし、冷房を入れていても汗を流していたので、シャワーを浴びる。
ログイン前に、亜里沙にLINEを送り、返事を確認した後、20時前に再度、ログインをするのだった。
「すっごい見られてるね」
「そうだな…」
動きが止まり、時刻が18時になっていたので、リサは立ち上がり箱から顔を出した。すると、その場所は、始まりの街に中であり、入り口の門の傍だった。周りには、興味深く見つめるプレイヤーや、武器を構えるプレイヤーがいた。
「取り合えず、下ろして」
トウジョウ君に命令すると、しゃがんでくれたので、アヤネの手を引いて地面に降り立つ。目立つトウジョウ君をさっさと消し去る。石の山が出来たので、邪魔にならない様にインベントリへと仕舞う。
「ねぇ、あの娘、ギルドの…」
「そうだ。ギルドで見たプレイヤーだ!」
「すげぇ…ゴーレムに乗ってる」
野次馬から様々な声が聞かれたが、リサはそれを無視して、アヤネを連れて歩き出す。武器を構えていたプレイヤーも、リサがギルドで騒動を起こした人物だと知ると、慌てて武器を仕舞い込んだ。
「今度は、街の外で待機するように設定しないとな」
「そ、そうだね」
苦笑いを浮かべ、リサはギルドへと向かう。ゴブリンをメインに倒したのは、上限数達成報酬で得られる祝福の指輪を手に入れたいからだ。その指輪さえあれば、もう1体追加で、MPゴーレムが作れる。
1体辺り、1分間に10ずつMPを消費する。本来、仕様では1分間に10ずつMPが回復するが、リサの場合、MPゴーレムの維持費に使用している為、回復しない。
2体目を作るとなると1分間に20ずつMPが減る。今のままだとマイナスになるので、早急に、MPが回復する指輪が欲しかった。
尚、ゴーレムBOTを残してログアウトした場合の維持費は、キャラがいなくても反映される。ログアウト中も減ったMPは回復する仕様で、これはタワーを攻略する時に合わせての設定だった。
どうしてもタワーを攻略している時に、ログアウトしなくてはいけない用事がある。その時に、ログアウトすると、ログインした時、その場からスタートできる。これは、ソロで挑んでいても、PTを組んでいても同じ仕様であり、時には、ログインした時にPTメンバーがいなくて、死ぬプレイヤーもいた。
ログアウト中の回復はMPだけで、HPは回復しない。ポーションを使用するか、回復魔法を受けるか、宿屋に泊まるしか回復しない。そう考えると、リサの職業、ゴーレムクリエイターはチート級だと考えられる。
ゴーレムBOTを使えば、ログアウト中でも経験値やドロップアイテムを得られる。只、このスキルには隠された制限がある。リサはまだ知らないが、課金をすると、このスキルは消えてしまう。
無課金でプレイしているからこそ使えるスキルである。リサは課金をしない設定をしたので、偶然にも、ゴーレムBOTを効率よく使える。本人はまだ自覚は無いが、本当の無課金プレイヤーはごくわずかである。低額でも課金すれば、その時点で無課金プレイヤーではなくなる。
アヤネの様に、課金プレイヤーからガチャの装備を貰ったプレイヤーも、無課金のプレイヤーになる。自分から課金しなければ無課金。なので、本当の強者は、無課金でありながら、課金プレイヤーからアイテムを譲り受けているプレイヤーだ。
アヤネもいずれ、大物になる資質を持っている。見た目と性格のギャップから、ファンが集まり、貢がれる事もあるが、本人は気づいていない。
リサはアヤネと並んでギルドへと入る。昼過ぎの決闘が目立ったのか、リサ達に注目する視線が増えた。そのまま、気にせずにリサは歩き、受付カウンターの列へと並ぶ。
「リサちゃん、本当に貰っていいの?」
「いいよ。今は、ゴブリンの討伐部位が欲しいから、それ以外は必要ない。それに、いつでも狩れるから」
リサはゴブリンの討伐部位、左耳以外のドロップアイテムをアヤネに渡した。
「あ…魔石は、貰うけど」
「うん、それは良いよ。狩ったのはリサちゃんだし」
魔石を残し、アヤネに渡した事で、彼女はクエストの収集数が上がった。Eランクのクエストも受注しており、対象のドロップアイテムも集まった。ホクホク顔で嬉しそうにしている。
アヤネのにやけ顔を見ながら、リサはインベントリを確認する。モンスターは低確率で、倒した時、魔石がドロップする。その魔石は売れば資金源になり、魔道具を作成する素材にも使用されている。
低確率で得られる魔石が、リサの場合トウジョウ君のLUKが反映し、100%ドロップしていた。LUKが高い程、魔石が手に入り、レアなドロップアイテムを得る事が出来る。リサのインベントリには大量の、ゴブリン以外のモンスターの魔石が入っていた。
その魔石は、当然、ゴーレムクリエイターのスキル、ゴーレムクリエイトにも使用できる。問題なのは、最強のゴーレムを作るのに、魔石の数が足らない事だ。リサはゴーレムを作るのなら、最強の物を作りたい。そう思っていた。
(全然足らない)
現時点でゴーレムクリエイトで作成できるゴーレムは2種類で、それは現在いる場所によって異なる。始まりの街周辺で得られる素材で作れるゴーレムが表示されていた。行く先々で、作れるゴーレムが変わるのだと、思いながら、リサは、作成できるゴーレムのリストを見て、待ち時間を潰す。
現在、リサが作れるゴーレムは、ゴブリンを素材にしたゴーレムと、ウルフ系モンスターを素材にしたゴーレムの2種類だった。始まりの街でドロップするアイテムが素材として使われる。
ゴブリンゴーレム
ゴブリンの魔石:100個
鉄鉱石:10個
ゴブリンキングの骨格:1体
最低でも、これだけの素材があれば作る事が出来る。プレイヤーのステータスポイントと同じで、ポイントを振り分けてステータスを決める。そのポイントは魔石の数で決まっており、魔石1=1ポイントと計算されていた。只、モンスターの強さにより、魔石1つから得られるポイントは異なる。
つまり、リサの様な初めて就く職業を選ばないプレイヤーと同じ強さになる。違う事は、ゴーレムは成長しない。作ればその強さに固定されるが、魔改造強化等のスキルを使えば、鍛える事は出来る。
(元が弱かったら意味がないしな)
いくらスキルで底上げしても、元が弱いと意味がない。リサは、作るのなら上限までの魔石や素材を使用して、ゴブリンゴーレムを作成しようと考えた。
ゴブリンゴーレム
ゴブリンの魔石:10000個
鉄鉱石:1000個
ゴブリンキングの骨格×10
作る事が出来るか不明だが、ゴブリンゴーレムの上限の強さに必要な素材の数だ。集めるのに苦労するが、その代わり得られる物も多い。問題があるとすれば、ゴーレムクリエイトの使用時に必要なMPが不足している事だ。
もし、10000個のゴブリンの魔石を使うのなら、魔石と同じ10000のMPを消費する。現時点で上限までの個数を使用してゴーレムを作る事は不可能であり、MPを上げる必要がある。簡単に最強は手に入らないという仕組みだ。運営も考えている。
「次の方どうぞ」
「ん?」
いつの間にか、人がいなくなり誰も並んでいなかった。
「リサちゃん…」
振り返ると、アヤネの後ろにも人は並んでいない。何故か、リサの並んでいる列のカウンターだけ、避けられていた。リサは怪訝そうな顔をすると、受付嬢に話しかける。
「クエストの更新をお願いしたいのだけど」
「畏まりました。依頼書を提出してください」
依頼書をインベントリから取り出す。依頼書は、上限達成報酬を得るまで持つ事が出来、最後は、依頼書の返却で、達成報酬が貰える。そして、依頼書が更新されて、現在の討伐数や、回収したドロップアイテムの数が記載される。
「依頼書の更新、完了しました。達成した各ポイントは称号として、プレイヤーに反映しましたので、ステータス画面にて確認してください」
預けた依頼書を受け取ると、アヤネも受付で依頼書を提出していた。彼女の作業が終わると満面の笑みで、リサに近づいてきた。
「リサちゃん、上限達成報酬、貰えたよ!」
嬉しそうにアヤネはリサに抱き着く。彼女の胸にリサの顔が埋もれる。何とか引きはがすと、アヤネはインベントリから茶色い毛皮のコートを取り出した。
「ハンターウルフの毛皮の収集の上限達成報酬だよ。リサちゃん、毛皮余ってるけど、返そうか?」
フサフサした腰辺りまである茶色い毛皮コートは、見た目に反して、VITが高い。無課金でプレイするなら、最適な装備だと思える。リサは、余った毛皮を受け取った。
「このコート、炎属性に弱いみたい。でも、氷属性の耐性はあるみたいだけど」
アヤネ曰く、弱点の炎に晒されると燃えて消えるらしい。装備破壊と言う現象が起きる設定らしい。課金装備と同じ性能を持つ装備だから、何か裏があると思っていたが、まさか、装備が壊れるとは思っていなかった。
(だからか? コートを身に着けているプレイヤーが少ない)
初心者ですら身に着けていない。否、ハンターウルフに挑む推奨レベルはLV:20からであり、初心者には倒せない。それをリサは軽々と倒していた。おかげれ、リサも、アヤネも経験値を得て、レベルが上がっていた。リサはLV:15、アヤネはLV:25にまで上がっている。
PTを組んだ事で経験値が均等に配布され、少し減ったが、それでも初日にしては上々のスタートだった。
「アヤネ、これからどうする?」
「私は…ログアウトするかな? 早速、リサちゃんを主人公にした漫画のプロットを描きたいし」
照れながら話すアヤネに、リサは苦笑いを浮かべる。
「主人公なのは確定なのか」
「当然だよ! だって、ネタの塊だもの。逃すわけないでしょ」
ネタ扱いされて肩を落とす。
(まぁ、アヤネと楽しく遊べたし、話も聞けたし別にいかな?)
変に描かなければ問題ないと思い、リサとアヤネはギルドの2階へと向かう。ログアウトはどんな場所でも出来るが、ログインの時に、その場所にプレイヤーがいれば、入る事が出来ない。
それを避ける為に、2階の個室を利用する。個室はそれぞれプレイヤー毎に隔離された空間が与えられ、ログイン時の失敗を防ぐ事が出来る。扉の入り口前でアヤネと別れると、リサは中へと入り、備え付けのベッドに横になる。
時刻は18時30分過ぎで、ログアウト後、夕食を取るつもりだった。20時の待ち合わせに間に合うように、支度をし、冷房を入れていても汗を流していたので、シャワーを浴びる。
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