TowerDungeonOnline(タワーダンジョンオンライン)

小佐古明宏

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1章 始まりの街

19話 アリサの後輩たち

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「トウジョウ君、街へ入らず、人気の少ない場所へ向かって」

 命令を受けたトウジョウ君が、ゆっくりと街の入口から少し離れた場所へと歩み、停止した。胸が左右に割れると、リサは、飛び降りる。背伸びをして肩をほぐすと、周辺から視線を感じた。

 人気の少ない場所と言っても、トウジョウ君は目立っていたので、好奇心の多いプレイヤーや、興味を持つプレイヤーが集まってきた。リサは、そのプレイヤーの中で、金髪ポニーテールをしたエルフの少女と、隣に並ぶ黒髪ポニーテールの少女と目が合った気がした。

 2人共リサと視線を合わすと、直ぐに慌てた様子で反らし、街の中へと入っていった。リサは、首を傾げると、いつまでも佇むトウジョウ君を、取り消す事にした。

 石の山へと変わったトウジョウ君をインベントリへと仕舞うと、代わりに、ウッドゴーレムに使用した木の枝の山を取り出す。今度のウッドゴーレムはサイズを大きくするので、足らない分を、落ちている枝を集めて追加する。

 MPの消費量によって、カスタマイズされるようになり、トウジョウ君同様、ウッドゴーレムもネーム付きへと生まれ変わった。モックンと名付け、リサと同じ背丈の、ウッドゴーレムを作成した。

 モックン
 種族:ウッドゴーレム
 HP:3290/3290
 MP:3930/3930
 STR:1395
 VIT:1490
 AGI:1470
 DEX:1380
 INT:1710
 LUK:1340

 共有スキル
 全属性耐性:LV2
 AGIアップ:LV2…+20
 STRアップ:LV2…+20

 弱点:炎
 
 オプションスキル:木飛剣…MP100消費する毎に、消費したMP×STR値に匹敵する木で出来た剣を飛ばす。MPが続く限り、いくらでも出せて飛ばせる

 護衛として、舐められない様に、1300MPを消費して、オプションスキルを付けた。モックンは、すらりとした体形をしており、マネキンの様に見える。頭の木目が、眼と口のような模様になっており、モックンはリサの前に跪く。

「護衛よろしくね」

 頭を下げると、立ち上がりリサの隣に立つ。そのまま、門を潜ると街の中へと入り、ギルドを目指す。

 街へ入ると、物珍しそうに見つめてくる視線をいくつも感じた。リサは特に気気にせずに、モックンを連れて歩き出すと、

「あ、あの!」

 緊張した様子で、エルフの少女が話しかけてきた。全身、緑を基調とした衣服を着ており、背中に弓を背負っていた。体格は幼く感じられ、リサより年下に見える。

「うん? なに?」

「ええと…あ、アリサお姉様の知り合いの方ですね?」

 アリサをお姉様呼びするエルフの少女に、リサは困惑する。

「アリサは、知り合いだけど、それが何か?」

 エルフの少女、エレナは尖った耳を赤く染めながら、手を差し伸べてきた。

「わ、私、アリサお姉様の後輩で、友達です。その…リサ…さんも、友達になってほしくて…」

 恥ずかしそうにするが、悪い子ではない。アリサは中学2年生で、後輩と言う事は、1年生だと思う。

「エレナ、緊張し過ぎ」

 くノ一の少女は、裾の短い黒い衣装の下に、黒いスパッツを履いて、首周りにはマフラーを巻いていた。エレナが金髪ポニーテールに対し、くノ一の少女、カエデは黒髪の、ポニーテールをしていた。ポニーテール同士、仲がいい。

「私は、カエデって言います。エレナの同級生です。是非、自分も、フレンドになってほしいです。お願いします」

 頭を下げて礼儀正しい。エレナ、カエデからフレンド申請が届く。リサは一瞬悩みつつ、OKと承認する。フレンドリストには、エレナとカエデの情報が掲載された。2人共、初めて日が浅いのか、エレナはLV:28、カエデは、LV:23だった。

「2人ともよろしく」

 フレンド登録すると相手にもリサのレベルが見える。フレンドリストには、名前とレベル以外の詳細は記されないが、そのプレイヤーがログインしているかは分かる。

「す、すごいです…アリサお姉さまと同じです」

「凄い。初めて2日目? って聞いてたのに…」

 確かに始めたのは昨日で、ゴーレムBOTのおかげでレベルがかなり上がった。

「カエデ? その情報源はアリサからか?」

「はい、アリサ姉さんからLINEで知りました」

 身内からリサの情報が流され、プライバシー侵害だと思うが、

「まぁ、アリサの後輩なら仕方がないか」

 別に、知られて不味い事はしていない。

「じゃ、待ち伏せをしていたのは?」

「ええと…アリサお姉様からメールで…」

「リサさんのフレンドのレベル上げを手伝うから、街に戻れないとメールが来ました。後、リサさんと、フレンド登録すればお得だと」

 メールと言えば、始まりの街へ来た時、1件届いていた。送り主はアリサなので、後で見ようと思って放置していた。

 件名:手伝うから
差出人:アリサ
宛先:リサ
本文:アヤネお姉ちゃんのレベル上げを手伝うから、私のフレンドのレベル上げを手伝ってほしいな~。

2人には、メール送ったから、フレンド登録が来ると思うよ

メールを先に見ていれば驚かなかった。リサはメールを返し、エレナとカエデのレベル上げを手伝う事を伝える。

「アリサからメールが届いていた。クエストの更新が終われば、アリサの元へ戻るから、道中、PTを組んでレベル上げをしよう」

「あ、ありがとうございます!」

「ありがとうございます」

 エレナとカエデは嬉しそうに頭を下げる。リサはクエストの更新の為、2人を連れてギルドへと向かった。モックンが気になるのか、時々、チラチラと見つめては視線を逸らす2人に、ほっこりと笑みを浮かべる。
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