TowerDungeonOnline(タワーダンジョンオンライン)

小佐古明宏

文字の大きさ
28 / 32
1章 始まりの街

20話 ランクアップ

しおりを挟む
 ギルドの中は、プレイヤーが多く集まっており、時刻は22時を過ぎていた。今は、夏休みなので徹夜でログイン出来るとアリサは言っていたが、昨日はログアウトさせた。

 若いうちから徹夜をするのは健康によくない。リサも若いが、エレナとカエデはもっと若い。時間をかけ過ぎれば、寝不足になる。

「直ぐに済ませるから」

「はい!」

「待ってます」

 2人が絡まれないように、モックンを護衛に置く。興味津々にエレナがモックンの体を触り、カエデも肌触りが気に入ったのか、手を握っていた。モックンには抵抗せずに受け入れるように命じている。何故か、モックンから悲しそうな視線を感じたが…気にしない事にした。

「はぁ…またか」

 リサが列に並ぶと、前にいたプレイヤーが離れていき、カウンターまでの道を開ける。

「おい、例の少女が来たぞ」

「森で石の巨人に乗っていた娘だぞ」

「可愛いのに…恐ろしい」

「見たよ…5mの巨人が、ゴブリンを踏み潰すの…」

「踏まれないか、ドキドキしたぜ」

 いろいろ聞こえてきた。トウジョウ君で街へ戻ってきたのがよっぽど目立ったらしい。

「クエストの更新をお願いしたいのだけど」

「依頼書の提出をお願いします」

 依頼書を提出すると、リサは討伐部位を取り出そうとして、手を止めた。

「大量にあるけど、問題ないか?」

 受付嬢の女性が一瞬、困ったような顔をする。NPCなのに表情が豊かだ。

「どれ程、お持ちですか?」

 リサはインベントリを開くと、ドロップアイテムの数を調べる。TDO内でのアイテムの所持数は1種類に付き99999個となっている。

「ゴブリンの左耳、52000個程あるが…」

 ざわついていたギルド内が一斉に沈黙する。

「マジか…どんだけ狩ったんだ」

「すげぇえ…」

「あの、魔砲少女より多いぞ」

 リサは苦笑いを浮かべ、振り返ると、エレナとカエデが顔を引きつかせ笑っていた。その2人見ながら、リサは、受付嬢へ訪ねる。

「代理として、アイテムを渡せば、依頼を受けている人物はクエストをクリアした事になるのか? 報酬は貰えるか?」

「はい、依頼書を持参くだされば可能です」

 リサは固まる2人を呼び寄せる。不思議そうに首を傾げ、モックンと共にやってきた。

「2人共、ギルドカードは持っているか?」

「はい、登録だけしました」

「持ってます」

「なら、ゴブリンの討伐、ハンターウルフの毛皮の収集、後、Eランクのブラウンウルフの討伐、ホブゴブリンの討伐の依頼書をそれぞれ、1枚ずつ持ってきてほしい」

 困惑しながらも2人は、掲示板から依頼書を剥がして持ってきた。それを受付に提出するように話す。

「2人の依頼もまとめて頼む。依頼品は私がすべて出す」

「畏まりました。では、依頼品の提出をお願いします。数が多いので、インベントリから直接取引を行います」

 受付嬢は水晶をカウンターに置く。

「これに触れて、インベントリを開いてください。依頼品を選択し、回収を押してください」

「わかった」

 インベントリを開きながら、水晶に触れる。各ドロップアイテムを選択すると、いくつ渡すのか選択が表示される。

「リサさん、いいの?」

「いいのですか?」

 戸惑う2人にリサは笑みを浮かべる。

「レベル上げのついでだから、それにたくさんあるし」

 先にゴブリンの討伐部位を渡す。2人分の左耳を選ぶと回収ボタンを押す。これで、エレナとカエデの、ゴブリンの討伐クエストは完了した。続けて、ハンターウルフの毛皮を選び、同じように2人分を回収してもらう。

 これで、称号のゴブリンハンターを取得し、ステータス、スキルのポイントが100ずつ貰える。上限数達成報酬で、祝福の指輪も手に入れた。ハンターウルフの毛皮を回収して、2人は100万ギルという大金を得た。上限数達成報酬で、ハンターコートも貰えた。

「Fランクのクエスト、2つ完了させたから、2人の冒険者のランクはEランクに上がったな?」

「はい、上がりましたの、ギルドカードの提出をお願いします」

 一連のやり取りを見守っていたエレナとカエデは、言われた通り、受付にギルドカードを提出した。リサが代わりにドロップアイテムを渡した事で、2人は報酬を得た。

「あ、ありがとうございます!」

「ありがとうございます」

「あ~まだ、あるから」

 そう言いながら、リサも自分の分を消化させる。Fランクのクエストは、キングゴブリンの討伐も受けていたので、討伐部位を差し出し、王殺の称号を得た。まだ1体しか討伐部位を集めていないので、アリサの元へ帰ったら、ゴブリンキングを呼び出し、残りの討伐部位を取得する。

 ゴブリンの左耳は2000個をエレナとカエデに使用したが、残りの5万個を全て自分用の報酬へと変えた。ダンジョンマスターになり、召喚した分以外に、集落への道中、集落での討伐で増えてしまった左耳を消化させる。

 50個の祝福の指輪を手に入れた。ハンターウルフの毛皮は、2人分を渡しても、2000枚程あった。全てを回収してもらい、2千万ギルを報酬と得て、ハンターコートも20着貰った。

「リサ様も2つのクエストをクリアしましたので、Eランクへ昇格いたします。報酬も渡しますので、ギルドカードの提出をお願いします」

 受付嬢にギルドカードを渡す。裏面のチャージギルに2千万ギル分が追加された。

「じゃ、次は2人分のEランクのクエストの回収品を渡す」

「畏まりました」

 同じように、リサは2人分のホブゴブリンの討伐部位を渡し、ブラウンウルフの討伐部位も渡した。これで、称号と、上限達成報酬を得る事が出来る。

「リサさん…本当にいいの? 私達何もしてないよ?」

「申し訳なく思います。いいのですか?」

「いいよ。アリサの後輩だし、それに……」

 水晶を操作しながら、リサはある計画を打ち明ける。

「配下というか、仲間になってほしいから。クランの作成も考えてるし、メンバーに入ってもらえると助かるかな?」

 ダンジョンマスターの称号のポイント取得に配下が必要である。その配下に、2人を誘う事を考えていた。

「はい! ぜひ、お願いします」

「私も、アリサ姉さんと一緒なら、クランに入りたいです」

「アリサも誘うぞ」

 勿論、アヤネもリコも誘うつもりだ。配下という扱いになるが、リサは仲間として認識している。リサは水晶を操作し、自分のクエストを完了させる。

 Eランクの依頼書も全て持参していたので、直ぐに完了できた。オークの肉【大】は1つしか渡せなかったが、ホブゴブリンの左耳は1万個、ブラウンウルフの尻尾は5千個、渡した。加護の指輪を10個、ブラウンテイルを5個得た。

「おめでとうございます。3人共、Eランクのクエストを完了させたので、Dランクへ昇格します」

 まさか、ランクが上がるとは思っていなかった。でも、Dランクになった事で、タワーへ挑む事が出来る。

「そういえば、ここはEランクまでのクエストしかないんだな」

「はい、Dランク以上は、各国のギルドで受ける事になります」

 説明を受けながら、リサはギルドカードを提出する。ランクが上がり、報酬も得たエレナとカエデは放心状態だった。

「……大丈夫か?」

「す、すいません…」

「驚いてました」

 2人ともギルドカードを更新してもらう。3人共、淵が青色のギルドカードを手に入れる。これで、ギルドでやる事は一応終わった。リサは、2人とモックンを連れてギルドを後にすると、NPCが営む、魔法商店へ向かう。

 これからやるのは、アイテムの合成だ。トウジョウ君に合成をしてもらおうと考えたが、モックンでも可能だと考えた。寧ろ、モックンの方が小柄でアイテムを扱いやすい。

「リサさん、何処へ行くのですか?」

「魔法商店。合成の巻物を買いに行くの」

 2人に同じアイテム同士、合成できる事を教えると、興味深く聞いていた。LUKが関係すると話すと、面白いように落ち込む。どうやら、2人は合成したアイテムが欲しいようだった。リサは、インベントリのアイテムを確認する。

(祝福の指輪なら、分けてもいいかな?)

 流石に50個もあると扱いに困る。合成をしなければ、壊れるのでストックとして残してもいい。しかし、合成すると耐久時間が延長され、更に最後まで合成すると、壊れないアイテムになる。

 魔法商店に立ち寄り、リサは合成の巻物を購入する。1つ10万ギルする巻物を100個購入した事にエレナとカエデは驚いていた。

「そういえば、2人はステータスとスキルの振り分けは終わったの?」

「ええと…まだです」

「私もです」

「なら、どこかで休憩でもする? 確か、門の近くにカフェがあったはず」

 右上のマップには始まりの街にある店の名前が表示されている。【憩いのカフェ マーブル】と記されたカフェが門の近くにある。ギルドでクエストの報告に時間が掛かり既に23時半を回っている。

(アリサとアヤネには悪いけど)

 そろそろ、ログアウトしないと明日のバイトに支障をきたす。カフェに行き、ステータスとスキルを振り分けた後、エレナとカエデの都合を聞きつつ、対応をしようと考えた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ブラック企業で心身ボロボロの社畜だった俺が少年の姿で異世界に転生!? ~鑑定スキルと無限収納を駆使して錬金術師として第二の人生を謳歌します~

楠富 つかさ
ファンタジー
 ブラック企業で働いていた小坂直人は、ある日、仕事中の過労で意識を失い、気がつくと異世界の森の中で少年の姿になっていた。しかも、【錬金術】という強力なスキルを持っており、物質を分解・合成・強化できる能力を手にしていた。  そんなナオが出会ったのは、森で冒険者として活動する巨乳の美少女・エルフィーナ(エル)。彼女は魔物討伐の依頼をこなしていたが、強敵との戦闘で深手を負ってしまう。 「やばい……これ、動けない……」  怪我人のエルを目の当たりにしたナオは、錬金術で作成していたポーションを与え彼女を助ける。 「す、すごい……ナオのおかげで助かった……!」  異世界で自由気ままに錬金術を駆使するナオと、彼に惚れた美少女冒険者エルとのスローライフ&冒険ファンタジーが今、始まる!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...