グランドダンジョンマスターは、ダンジョンを作らず、異世界をぶらり旅

小佐古明宏

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1章

4話 案内 後半

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【氏名】早乙女奈々(さおとめ・なな)

【種族】エンシェントスライムクィーン 

 元はスライムクィーンだったが、大和に名付けられたことで進化した。全てのスライムの頂点に立ち、眷属として従える事が出来る。名前を付けられたことで、ユニークスキルを取得した。イレギュラーから命名されたイレギュラーなモンスター。この世界の理を超えた存在になった。

【レベル】1000

【ユニークスキル】
 情報大収集 レベル1
 自分を起点に半径1キロメートル以内にいる眷属のスライムから、情報を集める。視覚、聴覚を共有出来で、情報を眷属のスライムに与える事も出来る。レベルが上昇すると収集範囲が広がる。

 眷属テレポート レベル1
 自分を起点に半径1キロメートル以内にいる眷属のスライムの元へ空間転移が出来る。自身が触れた対象も一緒に連れて行く事が出来る。レベルが上昇すると、空間転移の範囲が広がる。

 眷属強化 レベル1
 全てのスライムを強化する事が出来る。強化対象の能力を改造する事が出来る。レベルの上昇で、眷属のスライム自身のレベルを上げる事が出来る。

【スキル】
 言語理解 鑑定 溶解 吸収 擬態 状態異常無効 物理攻撃無効 魔法攻撃無効 念話 眷属召喚 超魔力回復 超再生 アイテムボックス

【称号】
イレギュラークィーンスライム 大和の配下 マスターを愛する者 管理者代理 不老不死 

 奈々が強いと思っていたが予想を遥かに超えていて驚く。

 マリも……ヤバいな?

 分体のマリもステータスが存在する。その内容は、ダンジョンコアと言う事もあり、ダンジョンに関係するユニークスキルを所持していた。

【氏名】マリ

【種族】エンシェントダンジョンコア(分体)
 
 元は名無しのダンジョンコアだったが、大和に名付けられたことで進化した。ダンジョンコアから離れた、分体であり、本体の能力の一部を持つ。分体の為、死ぬ事があっても、本体が無事なら直ぐに再生する。大和に名前を付けられたことで、ユニークスキルを取得した。イレギュラーから命名されたイレギュラーなダンジョンコア。この世界の理を超えた存在になった。 

【レベル】1

【ユニークスキル】
 ダンジョン干渉 レベル1
 自分を起点とした半径1キロメートルの範囲内にメインダンジョン、サブダンジョンに干渉できる。相手のダンジョンコアを奪い配下にする事が可能。レベルが上昇すると、干渉範囲が増えて、強固なダンジョンも配下にする事が出来る。

 ダンジョンテレポート レベル1 (登録数1)
 大和が作成したダンジョン、又は支配下にしたダンジョン間を空間転移で移動できる。自分を起点に10メートル以内の任意の対象も移動が可能。レベルの上昇で、運べる範囲が広がる。

 オブジェクト召喚 レベル1
 ダンジョン内に設置できる罠、オブジェクトを自在に作成できる。レベルが上昇すると、作成出来る物が増える。

【スキル】
 言語理解 鑑定 自己再生 身体強化 ダンジョン収納庫

【称号】
イレギュラーダンジョンコア 大和の配下 マスターの所有物 

 レベルは奈々と比べて断然低い。俺と同じだ。生まれたばかりだから仕方がないが、俺は疑問を抱き、奈々に聞く。

「奈々のレベルって、凄く高い?」

「ん~モンスターの中でというなら、高いかな?」

「ん? モンスター以外だと低いのか?」

「うん。前のマスターは私より高かったよ。確か…レベル5300? だったと思う」

 絶句する程の高さに俺は溜息を吐く。

「それは、ダンジョンマスターだからか?」

「そうだよ。ダンジョンマスターは、ダンジョン内で死んだモノの経験値を全て吸い取るの。レベルの高い対象程、多くの経験値を得られる。前のマスターは、サブダンジョンを沢山生み出し、多くの冒険者の命を奪っていた」

 ちりも積もればと言う話だ。冒険者のレベルははっきり言って奈々より低い。英雄と呼ばれる冒険者でもレベルは500前後らしい。

「大和君はダンジョンを作るの?」

「いや、作るつもりは今のところないぞ」

「なら、DPはどうやって稼ぐの?」

 心配そうに見つめる奈々を連れて、俺は草原の広がる部屋の向かい側に部屋へと歩いていく。

「倒せば、相手のレベル×10の割合でDPが貰える。モンスターを倒せば、自然と増えていくみたいだな」

「マスター、私にもDPを供給してください」

「ああ、勿論するぞ」
 
 マリにもDPを渡す事が出来る。コアとして、管理区画の設備を増やすのに、DPが必要らしい。

「お? ここは大浴場か?」

 草原の広がる部屋の向かい側は、銭湯を思わす風呂が広がる。何人かが一緒に入る事の出来る大きな浴槽は、壁面に綺麗な山や川などの絵が描かれていた。シャワーも備え、サウナも完備している。温度も壁にモニターがあり、管理が簡単にできる。

「いきなり大浴場は…」

「普通、脱衣場があると思うけど、前のマスターは作らなかったの」

「はい、私たちだけだと言う事で、裸でうろついていましたね」

 その言葉に俺は疑問を抱いた。

「もしかして、女だったのか?」

「はい、少女でした」

「うん、可愛かったよ」

 ご遺体が収納されているが、性別も名前も無いので分からなかった。

 しかし、ダンジョンマスターが少女だったとは…。

 意外な事に俺は驚く。

「そうか…マリ、DPを渡した時は、脱衣場の増築を頼む。後、男女で分けてくれ」

「畏まりました」

 大浴場を後にすると隣の部屋へと入る。俺は、自炊をしていたので少しは料理が出来る。そんな俺から見て、ここのキッチンは素晴らしいと思う。

 大浴場の隣はキッチンと食堂だった。

 設備の整ったキッチンは、地球を思わすように、レンジ、オーブン、冷蔵庫が並んでいる。燻製器まで置いているが、使い方が良く分からない。食器棚には、大人数を想定して食器が多くが収められている。

 食堂はキッチンの向かいにあり、長テーブルと椅子が並んでいる。冷蔵庫の中を開けると、空っぽだ。何も入っていない。

「料理が趣味だったね。前のマスター…」

「だから、設備が良いのか」

「はい、良く配下のモンスターに食事を作っていました」

 家庭的なマスターだなと思いながら、俺たちは部屋を出る。最後の部屋へと向かう。

「ここは…何もない?」

 只広い空間が広がるだけの場所だった。

「ここは昔、転移魔方陣が設置されていたよ」

「はい、この部屋で、世界中のサブダンジョンと行き来してました」

 マスター自身は、メインダンジョンから出られない。ここにあった転移魔方陣は奈々や、配下のモンスターが使っていたらしい。

「ん? 奈々以外のモンスターは…?」

「前のマスターの死と同時にサブダンジョン、メインダンジョンが崩壊しました。中にいたモンスター及び、配下は全員…消滅しました」

「そうなんだ…仲が良かった子もいたのに」

 悲しそうにする奈々の頭を撫でる。

「俺が増やしてやるよ。同じ配下が出るか分からないけどな」

「うん! 期待してるよ」

 とは言うが、配下ってどうして出すんだ?

「マスター、配下とは普通のモンスターではございません。奈々と同じく、DPガチャから出た、レアなモンスターの事です」

「私以外にSレアっていうモンスターがいたの。それが配下で、仲が良かった子がいたの」

「なるほど…なら、無料で1回引けるから、DPガチャを回すか?」

 レベルが上がる度に、1回だけ無料で引く事が出来る。しかも、Sレア~SSSレアまでの品が出る限定ガチャだ。もし、Sレアのモンスターが出たら、奈々にプレゼントする。

「あまり、運は良くないけどな…っと、ポチっとな」

 ダンジョンメニューからDPガチャを選択しタッチする。すると、目の前に魔方陣が浮かんだ。

「これは…?」

「すごい…輝いてる」

「綺麗です。これは期待できます」

 魔方陣から虹色の光が発せられ、激しい閃光が俺たちの視力を奪う。思わず目を閉じてしまった。

「うん? 何が出た…」

 目の前の床に、虹色の液体の入った瓶がぽつんと落ちていた。俺はそれを拾い、鑑定の出来る奈々に見せる。

「奈々、この薬? なんだと…」

 俺からひったくる様に瓶を手にすると、眼が飛び出る程、凝視する。

「嘘、こんな物も出るの?」

「そんなに凄い物なのか?」

 困惑する奈々は静かに口を開いた。

「蘇生薬。しかも、1滴で、どんな状態からでも生き返らせる凄い薬。例えば、髪の毛1本から出も、生き返らせる」

「マジか? それはヤバいのが出たな」

「うん、それに、蘇生された対象は、全盛期に近い状態で、健康のまま蘇るみたい。おまけに、あらゆる状態異常を無効化する肉体になって甦る」

 うわぁ…。マジ?

 呆れるほどの性能を持つ蘇生薬に、俺はふとある事を思い出した。

「奈々」

「うん?」

 首を傾げて、俺に蘇生薬を返した。

「もし、前のマスターの遺体があったら、蘇生薬で生き返らせていいか?」

「………あるの?」

「はい、マスターの判断を仰ごうと、保管しています」

 マリに感謝しなくてはいけない。

「うん?」

 ポスッと俺に胸に何かが当たる。奈々が抱き着き、俺に話してきた。

「大和君、お願い…彼女を生き返らせて」

「わかった。寝室へ行こうか。彼女を寝かせて、生き返らせよう」

「うん!」

 俺たちは、転移魔方陣が設置されていた部屋を出ると、向かい側の寝室へと向かう。大きなベッドに、ダンジョンメニューから、前ダンジョンマスターのご遺体を取り出した。
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