グランドダンジョンマスターは、ダンジョンを作らず、異世界をぶらり旅

小佐古明宏

文字の大きさ
10 / 23
1章

9話 カサンディア王国

しおりを挟む
 カサンディア王国では、ダンジョンが消滅したというニュースで混乱が生じていた。ダンジョンは、国に大きな影響力を持っており、ダンジョン産の物資の供給が途絶える事となる。

 今回の事態を重く見て、カサンディアの執務室には、3人の人物が集まっていた。進行を務めるのが、レイゼン卿、小太りで眼鏡を掛けた男だ。

「それでは、我が国と同盟国、ドワーナの現状について話し合います」

 ダンジョンの消滅はドワーナでも影響を受けていた。サブダンジョンから、鉱石を採掘していたからだ。それが無くなり、只の鉱山からしか採掘が出来なくなり、鉄の不足が生じている。

「ドワーナからの武器の供給が低迷し、まとまった量の購入が出来なくなりました。この現状で、ラストリアに動きがありと言う情報を掴んでいます。ドム将軍、国境への軍の配備は可能ですか?」

「可能だが、逆にラストリアを刺激しないか? 攻められる可能性は、低いのだろ?」

 ツルツル禿の鎧を着たマッチョ、ドム将軍の意見にレイゼン卿は難色を示す。

「既に、向こうは我が国のダンジョンの消滅を把握しています。それにいち早く気づいたのが、ラストリアのダンジョンマスターです。国境付近に、ラストリアのサブダンジョンの発生を確認しています。冒険者曰く、内部で龍種の確認が取れました」

 ラストリアのダンジョンマスター、龍王の作るサブダンジョンは、自身の眷属、龍種やドラゴン種を中心としたモンスターを配置している。凶暴で暴れると手が付けられない危険なモンスターだ。

「なるほど…では、ダンジョンの監視と言う名目で、部隊を向かわせます。しかし、…本当に、消滅したんですね」

「王よ、国民への説明はどうしますか?」

「正直に話すしか、無いじゃろな」

 溜息を吐く王、カロライナ・カサンディアにレイゼン卿も頷く。

「ダンジョンの消滅は、ダンジョンマスターの彼女から通達があったわけじゃし…。消滅したときの対処方法も、記されていたしの」

「はい、ダンジョンからの利益について、すべて失ったという訳ではございません。彼女に教えられた場所を調査した結果、ダンジョン産の資源を多く回収しました」

 リーシャは、異世界からの召喚で、自分の魔力、又は生命力を消費する事を考え、カサンディアへの影響を抑える処置をしていた。その1つが、宝物庫の設置だった。

 地中に埋めた宝物庫の中に、ダンジョンで採掘される鉱石を沢山、保管していた。無駄に使わなければ100年は持つと言われる量を用意していた。複数の場所に埋めており、その場所を示した地図を、カサンディアの王へと送っていた。

 リーシャと王は密かに交流を持ち、ダンジョンの設置を容認する代わり、資源を渡す事を条件に、同盟を結んでいた。

「なら、ドワーナに鉄鉱石を供給すれば、物資は途絶える事はないな」

「そうですが、問題なのは、誰にでも手に入れられると言う事なんですよ」

「そうじゃな…地図を見ずとも、偶然、地面を掘ったら宝物庫が出てきたと言う事があり得るしの」

「場所は王都に近いところに埋められているようですが、あまりにも多いので人手が足りませんね」

 レイゼン卿の言葉に王は溜息を吐く。

「冒険者を雇い、掘り返してもらう事も考えたが、盗まれる恐れがある。出来るだけ、我々だけで行いたい。信用できる者に任せる必要があるが、責任者はレイゼン卿、お主でいいかの?」

「畏まりました。私の方で作業員を選び、採掘を行います。それと同時に、ラストリアの情報も、集めておきます」

「ふむ、儂の方からは、国民への発表を行うかの。ダンジョンが何者かに攻略され、コアが破壊されたと」

 本当の理由は、異世界からの召喚だが、カサンディアにはその事を伝えていない。異世界からの召喚は禁忌の行いであり、女神の意志に反抗する。イレギュラーな存在になる。

 実際、大和はイレギュラーの存在なのだが、本人もあまり気にしていない様子だ。

「じゃ、俺の方は暴動が起きないか警備を強化しておくぜ」

「よろしく頼む、ドム将軍」

「ああ、任せておけって、王様」

 3人の密談は終わり、カロライナ王から、国民へ、ダンジョンが攻略されたという情報を流した。

 この情報は、ドワーナにも流れたが、この国にはもう1つ、極秘にある事が伝えられていた。鉄鉱石を含めたダンジョンから採掘できた鉱石が、カサンディアにあると言う事だ。

 ドワーナとカサンディアの同盟関係は、崩れることなく、逆に固く結ばれた。敵国として互いに認識しているラストリアへと向けて、2つの国は動き出す。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者パーティーを追放されたので、張り切ってスローライフをしたら魔王に世界が滅ぼされてました

まりあんぬさま
ファンタジー
かつて、世界を救う希望と称えられた“勇者パーティー”。 その中で地味に、黙々と補助・回復・結界を張り続けていたおっさん――バニッシュ=クラウゼン(38歳)は、ある日、突然追放を言い渡された。 理由は「お荷物」「地味すぎる」「若返くないから」。 ……笑えない。 人付き合いに疲れ果てたバニッシュは、「もう人とは関わらん」と北西の“魔の森”に引きこもり、誰も入って来られない結界を張って一人スローライフを開始……したはずだった。 だがその結界、なぜか“迷える者”だけは入れてしまう仕様だった!? 気づけば―― 記憶喪失の魔王の娘 迫害された獣人一家 古代魔法を使うエルフの美少女 天然ドジな女神 理想を追いすぎて仲間を失った情熱ドワーフ などなど、“迷える者たち”がどんどん集まってくる異種族スローライフ村が爆誕! ところが世界では、バニッシュの支援を失った勇者たちがボロボロに…… 魔王軍の侵攻は止まらず、世界滅亡のカウントダウンが始まっていた。 「もう面倒ごとはごめんだ。でも、目の前の誰かを見捨てるのも――もっとごめんだ」 これは、追放された“地味なおっさん”が、 異種族たちとスローライフしながら、 世界を救ってしまう(予定)のお話である。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

才能に打ち砕かれた日から、僕の最強は始まった

雷覇
ファンタジー
ワノクニ、蒼神流・蒼月道場。 天城蒼真は幼き頃から剣を学び、努力を重ねてきた。 だがある日、異世界から来た「勇者」瀬名隼人との出会いが、すべてを変える。 鍛錬も経験もない隼人は、生まれながらの天才。 一目見ただけで蒼真と幼馴染の朱音の剣筋を見切り、打ち破った。 朱音は琴音の命で、隼人の旅に同行することを決意する。 悔しさを抱えた蒼真は、道場を後にする。 目指すは“修羅の山”――魔族が封印され、誰も生きて戻らぬ死地へと旅立つ。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流@3/19書籍発売!
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

処理中です...