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1章
18話 サブダンジョン
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食事を終え、転移ルームから転移魔方陣を使い、作ったばかりの拠点へと飛ぶ。テラスでの食事は、リーシャを満足させていた。
「甘い物の食べ過ぎで太りそうだわ」
「ぽっちゃりも可愛いと思うけどな」
頭に手を乗せ撫でると、顔を真っ赤にして払いのけられた。プクッと頬を膨らませて怒っている姿が愛らしい。
「あ…エルフ」
「あ…忘れてたわ」
拘束の魔法を解くと、俺たちは拠点を出る。出入り口を開き、空洞の岩の中に出る。その岩をダンジョンメニューで、開くと外へと出て元通りに閉める。
「戻るか」
「そうね」
俺たちは整備された道へと出ると、ルイズ町へと向けて歩き出す。
「整備されているのは途中までなんだな」
「そうね。完全に町の前まで道を整備しても良かったけど、村の開発を悟られたくなかったから、細工をしたわ」
もし、奈々に気づかれずに、奴隷商人や、冒険者たちがやってきたら? その時の対処として、途中から道幅は同じで、砂利道の山道に作り替えたらしい。トラップで落とし穴を設置して、手動で落とす。
リーシャは村が町へと発展する様子を見守っていたらしい。邪魔する奴は容赦なく葬る。砂利道はダンジョンの一部として、機能しており、町が発展するまで監視していた。
「ダンジョンか…そういえば、サブダンジョンは、どうやって作んだ?」
「入り口にカウント機能の石板を設置して、その場所を入り口にするわ。後は、下へと階層を作るだけね。サブだから多くて10階層。それ以上は、増やせないわ」
「カウント?」
「そうよ。攻略回数をカウントするの。例えば10回攻略すれば、サブダンジョンは消滅するわ。サブダンジョンって、使い捨てのダンジョンなのよ」
元ダンジョンマスターのリーシャは、帰りながら、いろいろ教えてくれた。
サブダンジョンは、使い捨てダンジョンで階層が低い方がDPの回収率が高い。リーシャは5階層までしか作らなかったらしい。
サブダンジョンには、作れる個数があるらしい。ダンジョンメニューのレベルに応じて、数が決まる。今の俺はダンジョンメニューがレベル3に上がっている。
更地購入、樹木購入、シェルターの設置、土砂の購入、転移魔方陣の購入など、DPショップで買い物をした事でレベルが上がったようだ。ダンジョンメニューのレベルに対してサブダンジョンは攻略カウント数が決められている。
レベル3での攻略カウント数は、300回。そのカウント数の間でサブダンジョンを作らなければいけない。例えば攻略カウントを10回と決めると、10回×30個までのサブダンジョンしか作れない。
つまり、攻略カウント数を少なくすれば、多くのサブダンジョンが作れる。難易度を難しくすれば、簡単に攻略されない。冒険者とダンジョンのバランスが大切で、難しすぎると、攻略する者が来なくなり、サブダンジョンは残り続ける。
作ったサブダンジョンを壊すにも、DPを消費するので、リーシャは攻略の難しいダンジョンは作らなかった。
「サブダンジョンって、攻略のバランスが面倒なのよ。難しいと、冒険者が来なくなるし、簡単だと直ぐに攻略されて、また作らなくちゃいけない。DPを集めるコツは、どれだけ長時間、ダンジョンに潜ってもらえるかで決まるの」
攻略カウント数を満たすとサブダンジョンは消滅する。再度、作るのにDPが必要になるので、なぞ解きを加えるなど、リーシャは長時間、冒険者の足止めをしたと話す。
「でも、速攻で攻略する冒険者がいたのよ。ラストリアの冒険者で、私のサブダンジョンを素早く攻略して、DPの回収を妨げたりして、本当に、イライラしたわ。カサンディアの冒険者が入らない様に独占して…」
「なら、関与しなかったのか? ダンジョンマスターなら、サブダンジョンの罠とか、増やせたり出来るだろ?」
「サブダンジョンは設置すると、手は出せなくなるの。だから、失敗は許されないの。慎重に作らないといけないけど、直ぐに攻略されるのは…本当に、むかつくわ」
イライラした表情で話す。その横顔を見ながら、俺はリーシャに尋ねる。
「俺も、サブダンジョンを作った方がいいか?」
「ん~DPの回収なら、モンスターを倒せば済むし、サブダンジョンを作らなくてもいいと思うわよ?」
「そうか?」
「ええ、私みたいに潰し合いをするのなら、作ってもいいけど」
作っては攻略されるの繰り返しだと、サブダンジョン作成の消費DPを回収する事が出来ない。なら、最初から作らない方がいい。
「私も、カサンディアの冒険者に依頼して、ラストリアのサブダンジョンを攻略して消滅させてもらったわ。でも、向こうは何かカラクリがあるみたいで、階層は多くて、攻略回数も多いの。ダンジョンも凶暴なモンスターがいるし、攻略が難しいの。まるで、使い捨てじゃない? そんな感じのサブダンジョンが多いらしいわ」
「使い捨てじゃないダンジョンか…何か、ありそうだな」
「そうなのよ。攻略が難しすぎて、冒険者たちは諦めたわ。出来れば、ラストリアのサブダンジョンを減らしてほしいけど、私は関与できないし…」
大きくため息を吐く。
ダンジョンマスターが直接、他のダンジョンに関与する事は禁じられている。どんなに、むかつく相手でも、このルールは守られる。そもそも、ダンジョンマスターが他人のダンジョンに干渉することなど本来は出来ないからだ。
マリは出来るけど。
俺の命名登録で、イレギュラーなダンジョンコアになり、相手のダンジョンに干渉するユニークスキルを得た。マリなら、ラストリアのサブダンジョンにも干渉できると思う。
敵対しているけど、今は、争う時期ではない。
俺は、いずれ、リーシャの敵討ちをしたいと考えている。スパイを送り込む、弱体化した父親を死なせたラストリアのダンジョンマスター。龍王と呼ばれている奴に復讐をしたい。
その為には、情報と力がいるしな。
俺は、リーシャの超範囲攻撃で大量の経験値とDPを得た。レベル1からLV620にまで上がっている。装備のレベル修正、830分を足して、レベル1450に上がっているが、まだまだ弱い。
「強くならないとな」
「ん? 何か言った?」
「いや、何も」
歩き進めて、もうすぐ、ルイズ町が見えてくる。
「そういえば、今、ラストリアのサブダンジョンがカサンディアに広まってるのか?」
「ん~どうかしら? 調べないと分からないわね」
カサンディアはリーシャの管轄していたダンジョンがあった国。リーシャ自身も国との関係は良好で、ダンジョンは冒険者に富を与えた。しかし、今はダンジョンがない。
「ここの用事が終われば、カサンディアに行ってみるか?」
「気になるから、そうするわ」
門へと近づくと、門番が2人、ジョーと名の知らない獣人が待ち構えていた。
「おかえり、奈々の嬢ちゃんたちは先に帰ってるぜ」
「わかりました」
「ありがとう」
俺とリーシャは門番に挨拶をすると中へと入る。感知に2人がどこにいるか調べると、
「ギルドの近くに食堂があるな」
「その中みたいね」
ギルドの手前、道路を挟んで右側に、食堂があった。中を覗くと、奈々とマリが食後のドリンク、果実ジュースを飲んでいた。
「やっと来た~」
「おかえりなさいませ」
ソワソワしている様子の2人に俺は首を傾げる。
「大和君」
奈々が手招きをするので近づく。
「お金、ある?」
何とお金を持っていないらしい。俺は首を振ると、リーシャを見る。彼女は呆れる様にして、アイテムボックスから通貨の入った袋を取り出した。
「お金ぐらい用意しなさいよ」
文句を言われながら、2人の食事代を払い俺たちは食堂を出る。そのまま、ギルドへと足を運ぶと、カウンターでミユが立っていた。
「いらっしゃいませ。あ…ごちそうさまです」
「いいよ。気にしないで」
ミユと食事をしていたとコア本体から聞いていたが、彼女はいなかった。先に帰って仕事をしていたようだ。しかも、食事を奢ったらしい。お金を持っていないのに、無茶をする。
「それで、ミユさん、ギルドマスターに会いたいのだけど」
「ええと…多分、起きていると思います。3階へ上がってください」
了解を得たので、俺たちは3階へと向かう。奈々がガーラを寝かせた部屋、寝室へと向かうので付いていくと、部屋の扉をノックする。
「……どうぞ」
返事があったので中へと入ると、ワンピースから着替え、半袖シャツに、ショートパンツというラフな姿でベッドに座っていた。
「いや~悪い事をしたね」
申し訳なく頭を下げる。白い耳も心なしか元気がない。
「気にしてませんよ」
「そうそう、久しぶりで私も楽しかったし」
「はぁ…今度は程ほどにしてほしいわ」
「怪我も無く安心いたしました」
それぞれ声を掛けると、奴隷商人と冒険者の処遇についての話し合いをした。遺体は回収して奈々が保管している。この遺体を、ラストリアへ返すかどうか? 意見を話していた。
「返しても、ダンジョンの餌になるか」
「そうね。ラストリアだとやりかねないわね」
「聞いた話だと、獣人を実験動物のように扱い、遺体はダンジョンに食わせている。そんな話を逃げてきた仲間から聞いたな」
ガーラから殺気が沸き上がる。仲間を殺すラストリア。奴隷商人たちを殺した事で憎しみが和らいだと思ったが、あまり効果はないようだ。
「なら、有効に使うか?」
「使うって、何するの?」
「奈々、遺体の中で、奴隷商人と関係のない遺体はあるか?」
アイテムボックスの中を確かめているのか、難しい顔をしている。
「遺体の情報から、1人、関係者じゃない遺体があるね。すごく、面白い冒険者だよ。大和君も気に入るかも?」
「気に入るって…どんな冒険者だ?」
「それは、見てからのお楽しみだね」
教えてくれない。俺は、その冒険者が気になり、奈々に遺体を出してもらう事にした。
「この部屋じゃなく、別の部屋で頼むぜ」
御もっともです。
俺たちは寝室から出ると、倉庫として使われている部屋へと案内され、関係者じゃない遺体を奈々に出してもらう。年齢的にも俺と奈々と同じ18歳ぐらいの美少年? 否、男装をしている金髪の美少女だった。
「甘い物の食べ過ぎで太りそうだわ」
「ぽっちゃりも可愛いと思うけどな」
頭に手を乗せ撫でると、顔を真っ赤にして払いのけられた。プクッと頬を膨らませて怒っている姿が愛らしい。
「あ…エルフ」
「あ…忘れてたわ」
拘束の魔法を解くと、俺たちは拠点を出る。出入り口を開き、空洞の岩の中に出る。その岩をダンジョンメニューで、開くと外へと出て元通りに閉める。
「戻るか」
「そうね」
俺たちは整備された道へと出ると、ルイズ町へと向けて歩き出す。
「整備されているのは途中までなんだな」
「そうね。完全に町の前まで道を整備しても良かったけど、村の開発を悟られたくなかったから、細工をしたわ」
もし、奈々に気づかれずに、奴隷商人や、冒険者たちがやってきたら? その時の対処として、途中から道幅は同じで、砂利道の山道に作り替えたらしい。トラップで落とし穴を設置して、手動で落とす。
リーシャは村が町へと発展する様子を見守っていたらしい。邪魔する奴は容赦なく葬る。砂利道はダンジョンの一部として、機能しており、町が発展するまで監視していた。
「ダンジョンか…そういえば、サブダンジョンは、どうやって作んだ?」
「入り口にカウント機能の石板を設置して、その場所を入り口にするわ。後は、下へと階層を作るだけね。サブだから多くて10階層。それ以上は、増やせないわ」
「カウント?」
「そうよ。攻略回数をカウントするの。例えば10回攻略すれば、サブダンジョンは消滅するわ。サブダンジョンって、使い捨てのダンジョンなのよ」
元ダンジョンマスターのリーシャは、帰りながら、いろいろ教えてくれた。
サブダンジョンは、使い捨てダンジョンで階層が低い方がDPの回収率が高い。リーシャは5階層までしか作らなかったらしい。
サブダンジョンには、作れる個数があるらしい。ダンジョンメニューのレベルに応じて、数が決まる。今の俺はダンジョンメニューがレベル3に上がっている。
更地購入、樹木購入、シェルターの設置、土砂の購入、転移魔方陣の購入など、DPショップで買い物をした事でレベルが上がったようだ。ダンジョンメニューのレベルに対してサブダンジョンは攻略カウント数が決められている。
レベル3での攻略カウント数は、300回。そのカウント数の間でサブダンジョンを作らなければいけない。例えば攻略カウントを10回と決めると、10回×30個までのサブダンジョンしか作れない。
つまり、攻略カウント数を少なくすれば、多くのサブダンジョンが作れる。難易度を難しくすれば、簡単に攻略されない。冒険者とダンジョンのバランスが大切で、難しすぎると、攻略する者が来なくなり、サブダンジョンは残り続ける。
作ったサブダンジョンを壊すにも、DPを消費するので、リーシャは攻略の難しいダンジョンは作らなかった。
「サブダンジョンって、攻略のバランスが面倒なのよ。難しいと、冒険者が来なくなるし、簡単だと直ぐに攻略されて、また作らなくちゃいけない。DPを集めるコツは、どれだけ長時間、ダンジョンに潜ってもらえるかで決まるの」
攻略カウント数を満たすとサブダンジョンは消滅する。再度、作るのにDPが必要になるので、なぞ解きを加えるなど、リーシャは長時間、冒険者の足止めをしたと話す。
「でも、速攻で攻略する冒険者がいたのよ。ラストリアの冒険者で、私のサブダンジョンを素早く攻略して、DPの回収を妨げたりして、本当に、イライラしたわ。カサンディアの冒険者が入らない様に独占して…」
「なら、関与しなかったのか? ダンジョンマスターなら、サブダンジョンの罠とか、増やせたり出来るだろ?」
「サブダンジョンは設置すると、手は出せなくなるの。だから、失敗は許されないの。慎重に作らないといけないけど、直ぐに攻略されるのは…本当に、むかつくわ」
イライラした表情で話す。その横顔を見ながら、俺はリーシャに尋ねる。
「俺も、サブダンジョンを作った方がいいか?」
「ん~DPの回収なら、モンスターを倒せば済むし、サブダンジョンを作らなくてもいいと思うわよ?」
「そうか?」
「ええ、私みたいに潰し合いをするのなら、作ってもいいけど」
作っては攻略されるの繰り返しだと、サブダンジョン作成の消費DPを回収する事が出来ない。なら、最初から作らない方がいい。
「私も、カサンディアの冒険者に依頼して、ラストリアのサブダンジョンを攻略して消滅させてもらったわ。でも、向こうは何かカラクリがあるみたいで、階層は多くて、攻略回数も多いの。ダンジョンも凶暴なモンスターがいるし、攻略が難しいの。まるで、使い捨てじゃない? そんな感じのサブダンジョンが多いらしいわ」
「使い捨てじゃないダンジョンか…何か、ありそうだな」
「そうなのよ。攻略が難しすぎて、冒険者たちは諦めたわ。出来れば、ラストリアのサブダンジョンを減らしてほしいけど、私は関与できないし…」
大きくため息を吐く。
ダンジョンマスターが直接、他のダンジョンに関与する事は禁じられている。どんなに、むかつく相手でも、このルールは守られる。そもそも、ダンジョンマスターが他人のダンジョンに干渉することなど本来は出来ないからだ。
マリは出来るけど。
俺の命名登録で、イレギュラーなダンジョンコアになり、相手のダンジョンに干渉するユニークスキルを得た。マリなら、ラストリアのサブダンジョンにも干渉できると思う。
敵対しているけど、今は、争う時期ではない。
俺は、いずれ、リーシャの敵討ちをしたいと考えている。スパイを送り込む、弱体化した父親を死なせたラストリアのダンジョンマスター。龍王と呼ばれている奴に復讐をしたい。
その為には、情報と力がいるしな。
俺は、リーシャの超範囲攻撃で大量の経験値とDPを得た。レベル1からLV620にまで上がっている。装備のレベル修正、830分を足して、レベル1450に上がっているが、まだまだ弱い。
「強くならないとな」
「ん? 何か言った?」
「いや、何も」
歩き進めて、もうすぐ、ルイズ町が見えてくる。
「そういえば、今、ラストリアのサブダンジョンがカサンディアに広まってるのか?」
「ん~どうかしら? 調べないと分からないわね」
カサンディアはリーシャの管轄していたダンジョンがあった国。リーシャ自身も国との関係は良好で、ダンジョンは冒険者に富を与えた。しかし、今はダンジョンがない。
「ここの用事が終われば、カサンディアに行ってみるか?」
「気になるから、そうするわ」
門へと近づくと、門番が2人、ジョーと名の知らない獣人が待ち構えていた。
「おかえり、奈々の嬢ちゃんたちは先に帰ってるぜ」
「わかりました」
「ありがとう」
俺とリーシャは門番に挨拶をすると中へと入る。感知に2人がどこにいるか調べると、
「ギルドの近くに食堂があるな」
「その中みたいね」
ギルドの手前、道路を挟んで右側に、食堂があった。中を覗くと、奈々とマリが食後のドリンク、果実ジュースを飲んでいた。
「やっと来た~」
「おかえりなさいませ」
ソワソワしている様子の2人に俺は首を傾げる。
「大和君」
奈々が手招きをするので近づく。
「お金、ある?」
何とお金を持っていないらしい。俺は首を振ると、リーシャを見る。彼女は呆れる様にして、アイテムボックスから通貨の入った袋を取り出した。
「お金ぐらい用意しなさいよ」
文句を言われながら、2人の食事代を払い俺たちは食堂を出る。そのまま、ギルドへと足を運ぶと、カウンターでミユが立っていた。
「いらっしゃいませ。あ…ごちそうさまです」
「いいよ。気にしないで」
ミユと食事をしていたとコア本体から聞いていたが、彼女はいなかった。先に帰って仕事をしていたようだ。しかも、食事を奢ったらしい。お金を持っていないのに、無茶をする。
「それで、ミユさん、ギルドマスターに会いたいのだけど」
「ええと…多分、起きていると思います。3階へ上がってください」
了解を得たので、俺たちは3階へと向かう。奈々がガーラを寝かせた部屋、寝室へと向かうので付いていくと、部屋の扉をノックする。
「……どうぞ」
返事があったので中へと入ると、ワンピースから着替え、半袖シャツに、ショートパンツというラフな姿でベッドに座っていた。
「いや~悪い事をしたね」
申し訳なく頭を下げる。白い耳も心なしか元気がない。
「気にしてませんよ」
「そうそう、久しぶりで私も楽しかったし」
「はぁ…今度は程ほどにしてほしいわ」
「怪我も無く安心いたしました」
それぞれ声を掛けると、奴隷商人と冒険者の処遇についての話し合いをした。遺体は回収して奈々が保管している。この遺体を、ラストリアへ返すかどうか? 意見を話していた。
「返しても、ダンジョンの餌になるか」
「そうね。ラストリアだとやりかねないわね」
「聞いた話だと、獣人を実験動物のように扱い、遺体はダンジョンに食わせている。そんな話を逃げてきた仲間から聞いたな」
ガーラから殺気が沸き上がる。仲間を殺すラストリア。奴隷商人たちを殺した事で憎しみが和らいだと思ったが、あまり効果はないようだ。
「なら、有効に使うか?」
「使うって、何するの?」
「奈々、遺体の中で、奴隷商人と関係のない遺体はあるか?」
アイテムボックスの中を確かめているのか、難しい顔をしている。
「遺体の情報から、1人、関係者じゃない遺体があるね。すごく、面白い冒険者だよ。大和君も気に入るかも?」
「気に入るって…どんな冒険者だ?」
「それは、見てからのお楽しみだね」
教えてくれない。俺は、その冒険者が気になり、奈々に遺体を出してもらう事にした。
「この部屋じゃなく、別の部屋で頼むぜ」
御もっともです。
俺たちは寝室から出ると、倉庫として使われている部屋へと案内され、関係者じゃない遺体を奈々に出してもらう。年齢的にも俺と奈々と同じ18歳ぐらいの美少年? 否、男装をしている金髪の美少女だった。
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