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家を明け渡す準備をするか
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彼女からの提案に、ミシェイルはさほど考えずに「よろしくお願いします」と返した。
すぐに返事をしたことにジュダスとシェーナは意外そうな顔をしていた。
恐らく、私がもっとここにいたいと言うのではないかと考えていたのだろう。
こちとら人生3周目で通算150年ぐらいは生きているのだ。
この話を断ることは得策ではないことぐらいすぐにわかる。
自分が恐らく王族にかかわる子供であることも、このままでは危ういことも承知の上だ。
それで、こちらをよく理解していそうな、しかもいかにも前世日本の知識あります
という風体の身分高い子供がきたら、そりゃあもうごちになるしかない。
「なぜこんな子供を!」という周囲をいなしながら、「また後日お迎えにあがります」
と挨拶してレナリアは帰っていった。
ちなみにハラ料理長は、「すまん、すまん」と口では言いながらほくほく顔で
野菜を馬車に運び込んで帰っていった。
その日の夜、食卓をかこみながら3人は話し合った。
「この家と畑をトマの家族にお願いしなきゃ」
ミシェイルはジュダスとシェーナに言った。
トマはこの家の近くに住んでいる農家で、こちらの農場も手伝ってもらっている。
こんなこともあるだろうと、この農場で行われている作り方は余さず伝えている。
彼らに任せておけばミシェイルの畑がダメになることもないだろう。
ジュダスが「ちょっと話して参りますね」と家から出ると、
次はシェーナと二人で家の整理だ。
「何を持っていこう?お母さん」
「公爵家ですからなんでも揃えて頂けるかと。大事な物だけ持っていきましょう」
ジュダスが帰ってくると、「トマの一家にこちらの家へ越してきてもらう」
ということで話がついたようだ。トマの家はだいぶ古くなっているし、
こちらはミシェイルのために建てられた新築だ、それはこちらに来たいだろう。
「寂しい……」
ミシェイルはポツンとつぶやいた。
生まれてから三年間だけだが、家族で楽しい時間を過ごせた。
きっと城にいたらこんな泥だらけで農業をすることもなかっただろう。
親となってくれた二人が付き合ってくれて本当に良かった。
「姫、まだ三歳のあなたには早いと考えていたのですが、実は……」
「お父さん、いいの」
ジュダスが、おそらくミシェイルの境遇を話そうとしたが途中で止めた。
「お父さん、お母さん。子供らしくない私みたいなのを、
大事に育ててくれてありがとう」
ミシェイルはにっこりとお礼を言った。ミシェイルのような子供、
どう考えても気味が悪いに決まってるのだ。
「わたし、今のままがいい。このままでいさせて」
ジュダスとシェーナは困ったように顔を見合わせたが、しょうがないと
頷いた。
正直なところ、面倒だ。本当の身分なんて、どう考えてもかかわれば
ろくなことにならない。
これがいつまで続けられるかわからないが、ギリギリまで引き延ばして
できるだけやりたいことをやる人生を謳歌したいものだ。
すぐに返事をしたことにジュダスとシェーナは意外そうな顔をしていた。
恐らく、私がもっとここにいたいと言うのではないかと考えていたのだろう。
こちとら人生3周目で通算150年ぐらいは生きているのだ。
この話を断ることは得策ではないことぐらいすぐにわかる。
自分が恐らく王族にかかわる子供であることも、このままでは危ういことも承知の上だ。
それで、こちらをよく理解していそうな、しかもいかにも前世日本の知識あります
という風体の身分高い子供がきたら、そりゃあもうごちになるしかない。
「なぜこんな子供を!」という周囲をいなしながら、「また後日お迎えにあがります」
と挨拶してレナリアは帰っていった。
ちなみにハラ料理長は、「すまん、すまん」と口では言いながらほくほく顔で
野菜を馬車に運び込んで帰っていった。
その日の夜、食卓をかこみながら3人は話し合った。
「この家と畑をトマの家族にお願いしなきゃ」
ミシェイルはジュダスとシェーナに言った。
トマはこの家の近くに住んでいる農家で、こちらの農場も手伝ってもらっている。
こんなこともあるだろうと、この農場で行われている作り方は余さず伝えている。
彼らに任せておけばミシェイルの畑がダメになることもないだろう。
ジュダスが「ちょっと話して参りますね」と家から出ると、
次はシェーナと二人で家の整理だ。
「何を持っていこう?お母さん」
「公爵家ですからなんでも揃えて頂けるかと。大事な物だけ持っていきましょう」
ジュダスが帰ってくると、「トマの一家にこちらの家へ越してきてもらう」
ということで話がついたようだ。トマの家はだいぶ古くなっているし、
こちらはミシェイルのために建てられた新築だ、それはこちらに来たいだろう。
「寂しい……」
ミシェイルはポツンとつぶやいた。
生まれてから三年間だけだが、家族で楽しい時間を過ごせた。
きっと城にいたらこんな泥だらけで農業をすることもなかっただろう。
親となってくれた二人が付き合ってくれて本当に良かった。
「姫、まだ三歳のあなたには早いと考えていたのですが、実は……」
「お父さん、いいの」
ジュダスが、おそらくミシェイルの境遇を話そうとしたが途中で止めた。
「お父さん、お母さん。子供らしくない私みたいなのを、
大事に育ててくれてありがとう」
ミシェイルはにっこりとお礼を言った。ミシェイルのような子供、
どう考えても気味が悪いに決まってるのだ。
「わたし、今のままがいい。このままでいさせて」
ジュダスとシェーナは困ったように顔を見合わせたが、しょうがないと
頷いた。
正直なところ、面倒だ。本当の身分なんて、どう考えてもかかわれば
ろくなことにならない。
これがいつまで続けられるかわからないが、ギリギリまで引き延ばして
できるだけやりたいことをやる人生を謳歌したいものだ。
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