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1章-1
ビビオは初仕事の説明を聞く
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ビビオはガランに連れられて歩き出した。
「やあ、来て早々外回りなんて君も大変だなぁ。普通なら内勤の仕事をちょっとずつ覚えてそれから徐々に外へ出るという段階を踏むんだが、うちの部署はあの通りちょっと特殊でなぁ」
申し訳なさそうに頭をかくガランにビビオは首を振った。
「いえ、外勤から戻ってまたすぐに次の現場へ向かわないといけない先輩のほうが大変かと」
「本当は持ち回りが理想なんだがね。まあ俺は外で動き回ってるほうが性に合うから文句はないんだが、外勤は複数人で出ることが基本なのに一緒に出られる奴がいないんだよ。なんせうちのメンツはあんな感じなもんだからトラブルが多くてね。まったくよくもあんな人たちを一か所に集めたものだよ」
「今度はわたしのような者まで受け入れることになってしまいましたが」
「君については人となりは一応調べているから。あいつらよりよっぽどまともに会話できると判断してるよ」
さらりと告げられたが、つまりはビビオの知らぬうちにここ2年間の様子や、もしかしたら学校時代なども調べられているかもしれない。恐ろしいと言えるかもしれないが、それを告げてくれるのは誠実、とも言えるのだろうか。
「これからどちらに向かうのでしょう?」
「3階にある国家歴史調査部だ。そこが新しく誕生したと思われる種族を発見してね」
「わたしの記憶によると、そちらの部署は他国の歴史調査に踏み込むことができる荒事が得意な職員たちの集まりでしたか」
「おお、うちの図書館に嘘の報告を行った疑いをもたれたら他国の上層部に食い込んで強制調査するようなことが専門だ。まあ司書とはいうが武力部隊だわな」
司書は養成学校時代に武術の訓練も行われる。司書として上層部に昇進するなら国家歴史調査部への配属は必定で、つまりは強くなければ上にあがれないということだ。
この「強さ」についてはコネも何も通用しない純然たる能力主義だ。なぜならば、この図書館国家を立ち上げた最初の王子たちの「他国に介入できる立場になる」という執念を形作る上で根幹をなす部署でもあるからだ。
「どうも自分たちが介入した国に見知らぬ部族がいて、新種ではないかって話になってこっちに仕事が回ってきた」
「彼らはそういった調査はしないのですか?発見したならばご自分たちで調べてもいいかと思いますが」
「忙しいからそんな調査に人員も時間も割いていられないんだと」
「ははぁ、熱心なことですねぇ」
ビビオが2階へ上がってきた正面まで戻り、さらに3階へ行く階段を上る。3階部は半分が国家歴史調査部の部署となっており、かなりの人数の司書が仕事をしていた。当たり前なのかもしれないがかなり豪華な部屋で、入口付近は大きな樹木が真ん中から生えており、周りを机でかこって休憩スペースとなっている。
柔らかい布でできたベンチとぶら下げられたつる草が癒しの空間をつくりだしている。そこを通りすぎて奥へ向かうと仕事スペースがあるのだが、なんとひとりひとりが半分個室のように仕切られた空間で仕事をしている。
「同じ職場なのに、酷い格差です」
「まぁ仕事の危険度が違うから、こればっかりはなぁ」
ガランは目的地がわかっているようでどんどんと進んでいき、個別の仕事スペースではなく会議用の大きな机に、みるからに屈強な司書たちが集まって談笑しているほうへ向かった。その中には、ビビオが地下通路ですれ違った鬼族もいた。
ビビオは大変気分を害した。
「ラパリオン、きたぞ」
ガランが彼らに向かって声をかけると、全員の目がこちらを向いた。こちらを視認すると、彼らの目には嘲りの色が浮かんだ。
「やあ、来て早々外回りなんて君も大変だなぁ。普通なら内勤の仕事をちょっとずつ覚えてそれから徐々に外へ出るという段階を踏むんだが、うちの部署はあの通りちょっと特殊でなぁ」
申し訳なさそうに頭をかくガランにビビオは首を振った。
「いえ、外勤から戻ってまたすぐに次の現場へ向かわないといけない先輩のほうが大変かと」
「本当は持ち回りが理想なんだがね。まあ俺は外で動き回ってるほうが性に合うから文句はないんだが、外勤は複数人で出ることが基本なのに一緒に出られる奴がいないんだよ。なんせうちのメンツはあんな感じなもんだからトラブルが多くてね。まったくよくもあんな人たちを一か所に集めたものだよ」
「今度はわたしのような者まで受け入れることになってしまいましたが」
「君については人となりは一応調べているから。あいつらよりよっぽどまともに会話できると判断してるよ」
さらりと告げられたが、つまりはビビオの知らぬうちにここ2年間の様子や、もしかしたら学校時代なども調べられているかもしれない。恐ろしいと言えるかもしれないが、それを告げてくれるのは誠実、とも言えるのだろうか。
「これからどちらに向かうのでしょう?」
「3階にある国家歴史調査部だ。そこが新しく誕生したと思われる種族を発見してね」
「わたしの記憶によると、そちらの部署は他国の歴史調査に踏み込むことができる荒事が得意な職員たちの集まりでしたか」
「おお、うちの図書館に嘘の報告を行った疑いをもたれたら他国の上層部に食い込んで強制調査するようなことが専門だ。まあ司書とはいうが武力部隊だわな」
司書は養成学校時代に武術の訓練も行われる。司書として上層部に昇進するなら国家歴史調査部への配属は必定で、つまりは強くなければ上にあがれないということだ。
この「強さ」についてはコネも何も通用しない純然たる能力主義だ。なぜならば、この図書館国家を立ち上げた最初の王子たちの「他国に介入できる立場になる」という執念を形作る上で根幹をなす部署でもあるからだ。
「どうも自分たちが介入した国に見知らぬ部族がいて、新種ではないかって話になってこっちに仕事が回ってきた」
「彼らはそういった調査はしないのですか?発見したならばご自分たちで調べてもいいかと思いますが」
「忙しいからそんな調査に人員も時間も割いていられないんだと」
「ははぁ、熱心なことですねぇ」
ビビオが2階へ上がってきた正面まで戻り、さらに3階へ行く階段を上る。3階部は半分が国家歴史調査部の部署となっており、かなりの人数の司書が仕事をしていた。当たり前なのかもしれないがかなり豪華な部屋で、入口付近は大きな樹木が真ん中から生えており、周りを机でかこって休憩スペースとなっている。
柔らかい布でできたベンチとぶら下げられたつる草が癒しの空間をつくりだしている。そこを通りすぎて奥へ向かうと仕事スペースがあるのだが、なんとひとりひとりが半分個室のように仕切られた空間で仕事をしている。
「同じ職場なのに、酷い格差です」
「まぁ仕事の危険度が違うから、こればっかりはなぁ」
ガランは目的地がわかっているようでどんどんと進んでいき、個別の仕事スペースではなく会議用の大きな机に、みるからに屈強な司書たちが集まって談笑しているほうへ向かった。その中には、ビビオが地下通路ですれ違った鬼族もいた。
ビビオは大変気分を害した。
「ラパリオン、きたぞ」
ガランが彼らに向かって声をかけると、全員の目がこちらを向いた。こちらを視認すると、彼らの目には嘲りの色が浮かんだ。
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