弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

文字の大きさ
65 / 160
第一章『黄金の果実編』

065 コレクター、鱗片を見せる

しおりを挟む

 帽子を人質に取られてから、俺は急激に成長した。
 強くなりたい、帽子を取り返したい。その気持ちがどんどん強くなり、カリウスに真っ向勝負で勝つことができたのだ。
 今まで以上に、戦闘中の集中力が上がっているのが分かる。余計なことを考えない、油断をしない。反射的に怯えてしまうこともなくなった。
 あとは、この感覚を帽子がある状態でも保てるようにし、さらにドレイクに勝つだけだ。

「見逃さない。絶対に……!」

 ドレイクとの戦闘中のことだった。
 一瞬、世界が遅く見えたのだ。
 そして、ドレイクが赤く、地面には赤い足跡が見えた。

「……今のは」
「むっ。これ、集中せんか」
「あ、ごめん。よし……やるぞ!」

 気のせいか。いや、それにしてはやけにリアルだった。
 普通、足跡が見えるようになるだろうか。相手の動きが遅く見えるだろうか。
 もしこれが集中した末の技術なのだとしたら……使える。

「もう一度……!」

 再び集中し、目を凝らす。
 魔力を回し、身体能力を向上させる。まだだ、まだ足りない。もっと……!

「いけるっ!」

 溜めこんだ魔力を一気に解放させる。
 魔法の詠唱がないバージョンといったところか。
 魔力の解放と共に、俺の視界は白と黒に切り替わる。
 まさか成功するとは。技の効果だろうか、集中力も格段に上昇し、ほんの少しの動きにも気が付くようになる。
 音も、鮮明に聞こえてきた。布の擦れる音、土を踏む音、そして呼吸。
 これを自由に扱えるようになれば、俺はさらに強くなることができる。

「そこだ!」
「ぬおっ!?」

 ドレイクが動いたと同時に、不意を突いて攻撃を仕掛ける。
 相手が動こうと思ったタイミングを狙って攻撃したのだ。動きを予測されたかのような動きにドレイクは驚きを隠せずにいた。

「やるではないか、ではこちらからもいかせてもらうのじゃ!」
「ふっ!」

 ドレイクの攻撃を避ける。避ける。避ける。
 今までは捌ききれなかった猛攻撃を、何とか対処できるようになっていた。
 爪が襲い掛かり、それを躱す。次は……蹴りだ!

「ふぬぅ、これを避けるとは。やるのぉ」
「まだまだぁ――――あっ……」

 このままいける。そう思い地面を強く蹴った。つもりだった。
 俺の身体は、動くことなく地面に倒れる。顔を思い切り地面にぶつけてしまった。痛い。
 身体の自由が無くなった瞬間、視界に色が戻る。先程まで鮮明に聞こえていた音も聞こえなくなっていた。

「レクト、大丈夫か?」
「な、なんでこんな……」

 俺だけの力、ゲーム内でのレクトに頼らない力をやっと見つけたと思ったのに。
 きっと、まだ使いこなせていないんだ。体力も、集中力も足りていない。
 使う機会があるとすれば、制限時間を考慮しての短期決戦だろうか。

 その後、なんとかポーションを飲んだ俺は復活して休憩を取った。
 話し合いということでドレイクも、カリウスも休憩に入る。
 その中で、俺は先程見つけた力を説明した。

「なるほどな。実はオレも、何か不思議な力が出てきたんだ」
「カリウスも?」

 なんと、俺だけでなくカリウスも不思議な力を使えるようになったらしい。
 この世界はゲーム内での概念などが適用されていたり、適用されていなかったりする。
 おそらく、これは『トワイライト』には存在しない能力だろう。

「ああ。剣がな、光ったんだ」

 おいおい、それは剣からビームが出ちゃうやつじゃないだろうな。
 やっぱりセイバーなら剣からビームくらい出さないとね。

「最初、俺はレクトが言っていた武技って奴かと思ったんだ。だが、この光は木を抉った。刀身は木に当たらなかったのにだ。剣を止めた後も光っていて、慌てて力を抜いて解除したんだ」
「確かにそれは武技に似てるけど、リーチが伸びる武技なんて聞いたことないね」

 武技には必殺技が多く、長く発動させるようなものは少ない。
 〔スラッシュ〕だって、魔力を消費するただの斬撃なんだ。何回も繰り返しているだけで常に剣が光っているわけではない。
 技を発動させた後に剣が光るということは、それは武技ではなくカリウスの生み出した技なのだろう。

「それを発動させた後、とてつもなく疲れた。多分、今レクトが使ってた技と同じように集中力だとか、魔力とか、いろんなものを消費するんだろうな」

 今のところ、体力、魔力、集中力が無くなったのを感じている。気絶しなかったのは、気力だけが先に行ってしまったからだろう。
 このまま使用するとまともに戦闘できないので、集中力などの消費を少なくしていきたい。

「練習すれば、時間も伸びるかな」
「どうだろうな。だが、やる気は出てきたぜ。この技を物にしてみせる」
「俺も。今のがあれば、ドレイクにも勝てるかもしれない」
「言うのぉお主。じゃが、確かにあの動きはやっかいじゃった。楽しみじゃな」

 勝てる可能性が出てきた。それだけで俺のやる気は最高潮だ。
 通常の戦闘の集中力も上がっているし、この技があれば弱点であった剣士としての戦闘経験の無さをカバーすることができる。
 そして何より、帽子を取り返すことができるのだ。数日中には取り返してみせる。もう限界なんだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。  現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!  の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては…… (カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています) (イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由

瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。 神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。

異世界転移物語

月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...