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番外編(第2.5章)
第二遠征『砂漠王国サンドアグリィ』
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砂漠の王国サンドアグリィ、灼熱の太陽照りつける砂の大地。ここに来るまでの間に、仲間全員が暑さでダウンしていた。
この暑さ、火山とはまた違った暑さだ。じりじりと焼けるような痛みは加護をすり抜け、対策をしていても汗だくになってしまう。ああ、フロストソードが冷たくて気持ちいい。こういう使い方をする日が来るなんて。
それにしても、巨大オアシスなのに砂が多い。砂嵐の影響だろうか。だとしても砂の山が多い、何年積み重なったんだこれ。
例のごとくリュートはこの大陸のドラゴンと。俺は、王国への挨拶をすることになる。
みんなを観光に行かせ、一人で王城に乗り込む。当然入り口で兵士に止められるが、ギルドカードとプレクストンの紋章を見せて通してもらった。
ここまではマリンアビスと同じだ。問題はこの後。
マリンアビスとの一件があって以来、プレクストンの王様は俺たちにサンドアグリィに協力申請してこい。などとふざけたお願いをしてきやがったのだ。
いやまあ、味方が増えるのはいいことなのだが。もう少し自分たちで外交をしてくれないだろうか。過去のイメージがあるせいか協力をするのが躊躇われる。いかんいかん、もう少し大人にならなければ。
王座の前まで歩き、跪く。砂漠の王、クソでかい。巨人族か? それにしては小さいか。 でも、確実に亜人の血は引いてる。
「貴様がマスターランクのキールか」
「はい。今日は――――」
俺が説明しようとすると、砂漠の王は手を前に出し俺の発言を制止させた。何か癪に障ることを言っただろうか。
「分かっている。魔王候補との戦闘に向けて協力を申請しに来たのだろう?」
どうやら砂漠の王はプレクストンの意図を理解しているようだ。これは早く帰ることができそうだ。
「その通りです。どうでしょうか」
「そうさな。確かに魔王候補は恐ろしい。民を守るために、協力をするのもいいだろう」
砂漠の王は、長く伸びた顎髭を触りながらそう言った。
それはそうだ。
「では、協力をしていただけると……?」
「ふむ…………我らが協力、というのは癪に障るな。そちらがどうしても、と頭を下げてこちらに協力させてほしいと言うのなら協力させてやってもいいが」
カチン、と何かが頭に当たったかのような衝撃。
気に食わない、ああ気に食わない。そうだ、プレクストンの貴族どもはまだよかった。俺が一番嫌いなタイプはこういうタイプなんだ。
自分が常に上だと思っている王。500年前のプレクストンがこれだった。嫌な記憶を思い出させてくれたな。
「失礼ですが、こちらはそちらの戦力よりも優れていると思うのですが、どうでしょうか」
笑顔を崩さずに言った。言ってしまった。
やっちまったな、と思うが後悔はしない。フォトたちを馬鹿にされた気がしたから、これは言ってよかったんだ。
「なんだと? …………貴様、自分が何を言っているのか分かっているのか?」
「ええ。サンドアグリィの方が戦力的に上だと思い込んでいる様子でしたので」
ここで引いてはいけない。一度押したら押し続けろ、気を抜いたら潰されるぞ。
「…………ふん。確かに、我はプレクストンの戦力は把握していないがな。サンドアグリィが負けるとは思えないのだ」
「なるほど。お互いに知らないんじゃここで言い争っても意味ないですからね」
俺が想像していたよりも、砂漠の王は冷静だった。一瞬怒っていたが、すぐに落ち着きを取り戻しこの場での言い争いに意味がないと判断する。
力だけではどうにもならないことだってあるだろう。それを理解しているのだ。プレクストンの臆病な貴族どもも見習ってほしい。もう少し勇気を見せろってんだ。
「であろう? いくら戦力と一言に言っても、下の戦力は後からいくらでも増強することができる。装備を強化するだとか、兵士を増やすだとかでな」
「まあ、そうっすね。現にこちらも武器を新調していますから」
マリンアビスにも、サンドアグリィにも特別な強さがあるわけではない。もちろんプレクストンだってそうだ。
兵士の強さは多少変わってくるだろうが、その差は埋められないわけではない。
「貴様は代表としてここに来たのだろう? ならば、代表である貴様と、その仲間たちで砂嵐の原因を突き止め、解消してみせよ」
「砂嵐、とは?」
いきなりそんなことを言われても困る。砂嵐は確かに吹いていたが、ごく普通のものだった。
原因はただの強い風だろうか? それとも、魔獣が悪さをしている? 見た限りではそれほど被害はなさそうだが。
「あー、簡単に説明するとだな。ここ数年、強烈な砂嵐が頻繁に起こるようになったのだ。何度も調べたが原因は不明。そこで、貴様らとサンドアグリィの精鋭で協力し、この問題を解決するのだ」
「協力? なぜですか」
「どの道協力はするのだから、共に戦えるかどうか、足を引っ張るようなことがないかををそこで判断する」
なるほど。どうせ協力するんだし実際に協力した時にどっちの方が役に立つか実際にやってみろってことだな。
砂嵐の問題を試練に選んだのにも理由はあるはずだ。魔王候補に限らず、突然敵が攻めてきた場合、基本的には未知の敵だろう。それに対処する術を持っているかどうかも大切なのだ。
そう考えてみれば、ただ戦うよりも有益だ。相手に力の差を見せつけることだってできる。
「しかし、砂嵐かぁ」
この程度の砂嵐を解決して認められるとも思えないし、今ここで砂嵐の原因を想像してみてもキリがない。外を見ても、砂が飛んでいる程度で…………
そう思った次の瞬間、街から大きな声が聞こえてきた。
「来るぞ! 家に入れ! 窓を閉めろ!」
何が来るんだと窓から顔を出す。
遠くから、何かが来ていた。山のような何かが迫ってきている。なんだ、あれは。
「馬鹿者! 窓を閉めろ!」
「うおっとい!」
砂漠王が大声を出してきたので素直に従う。窓を閉め、しゃがみ込む。
ドゴンッ! とおよそ砂が出す音ではない何かが聞こえてきた。その後もゴォォォォっという音と壁に物が衝突する音が響き続けた。
しばらくすると音も止む。騒音がしばらく続いたのでやけに静かに感じた。
窓をゆっくりと開く。家の屋根が、道が、壁が、砂だらけになっていた。
これが何度もあると考えると、なるほど大災害だ。
* * *
砂漠の中心、何もない砂丘がいくつも点在する周辺に、明らかに違和感のある平らな空間があった。
しばらくそこで探索をしていた俺たちは、巨大な砂嵐に巻き込まれてしまう。
しかし『ウィンドシールド』で全身を風で守っていたため、砂嵐の中行動することができた。
その砂嵐の中心で、俺たちが見たものは――――
馬鹿でかい砂のゴーレムだった。
しばらく様子を見ていると、サンドアグリィの兵士や冒険者は倒されてしまい次々と数が減ってしまった。
確かに戦闘は強かったが、残ったのは数人か。こうも巨大な敵だと隊長クラスやプラチナランクでは対処できないんだな。ミスリルランクの条件は、ああいう敵でも戦えることか。帰ったらリンクスに教えてやろう。
「おいそこのお前ら! エイブラスさん達に任せて逃げるぞ!」
名前も知らない冒険者に警告される。
「ん、ああ。俺たちは大丈夫だ。でも、お前は逃げた方がいいぞ。巻き込まれちまう」
「はぁ? よ、よくわからんが分かった。気を付けろよ!」
エイブラスとは、サンドアグリィの有名な冒険者だ。確かミスリルランクだったか? それ以上の奴らもいるので、そいつらにも期待しておこう。
逃げた冒険者を横目で見ながら、ゴーレムを見据える。山よりもでけぇ。一体どれだけの年月をかけて成長したのだろうか。
「おっ、一気にやるつもりなの?」
「まあな、被害も出そうだし」
リュートと会話する。こいつは、サンドアグリィ側ととプレクストン側……俺たちの準備が完了し出発するまでの間にドラゴンから力を貰ってきた。早い。
短期間に成長しすぎだろと思ったが、元々ポテンシャルは持ってるんだよな。覚醒もしたし。
どこから攻めようか考えていると、兵士を助けていたフォトとヴァリサさんと同流する。
「さて、やりますか」
「やりましょう!」
「おう」
二人共やる気満々だ。もう逃げ遅れた兵士はいない。今いるのは、俺たち四人とサンドアグリィの精鋭数人だ。
これだけならば、全力を出したって被害は出ないだろう。巻き込まれそうになっても、対処できるくらいの強さは持っているはずだ。まあ、気を付けはするが。
「『魔力開放Ⅰ』『魔力開放Ⅱ』」
ズン、ズンと魔力が開放される。身体の周りにオーラ状になった魔力が現れ、漂う。
全力を出すのなら、これだけでは終わらない。
「ドロップ、ヴール、ソイル、シエル。行くぞ、『四精霊の鎧』!!!」
ペンダントから四色の光が現れ、オーラに溶けていく。そして、オーラは形を変え鎧となった。
ソイルとシエルの二人に再会したおかげで、再び完全な『四精霊の鎧』を使うことができた。これが、四属性を無効化する鎧の完成だ。
「エクストラスキル、解放!」
「『ドラゴンアームズ』、武装ッ!!!」
「『顕現修羅』!」
俺のエクストラスキルに続くように、三人も力を解放させていく。
フォトはエクストラスキルで光を放ち、リュートはフォボスのスキルを参考にした『ドラゴンアームズ』で竜騎士となり、ヴァリサさんは『顕現修羅』で武器の破壊力を限界突破させる。
それぞれ、これまでの修行で強化したり、身に着けたりした力だ。俺も、これから手に入れた力を使ってゴーレムと戦おう。手加減は無しだ。
* * *
戦闘はものの数分で終了した。
サンドアグリィの精鋭たちも、予想に反してしっかりと戦い貢献していた。これだけ力があれば自信があるのも頷ける。
しかし、基本的にゴーレムにダメージを与え、コアを破壊し討伐したのは俺たちだった。
そのため、砂漠の王は俺たちを認めプレクストンとサンドアグリィは協力関係となる。
サンドアグリィとも協力関係になった俺たちは、更なる力を求め砂漠大陸を制覇する旅を始めた。
砂漠の集落や、熱帯雨林にある村などを旅しながら俺たちはまだまだ強くなる。
いつか魔王候補の二人が攻めてくるその日まで。
この暑さ、火山とはまた違った暑さだ。じりじりと焼けるような痛みは加護をすり抜け、対策をしていても汗だくになってしまう。ああ、フロストソードが冷たくて気持ちいい。こういう使い方をする日が来るなんて。
それにしても、巨大オアシスなのに砂が多い。砂嵐の影響だろうか。だとしても砂の山が多い、何年積み重なったんだこれ。
例のごとくリュートはこの大陸のドラゴンと。俺は、王国への挨拶をすることになる。
みんなを観光に行かせ、一人で王城に乗り込む。当然入り口で兵士に止められるが、ギルドカードとプレクストンの紋章を見せて通してもらった。
ここまではマリンアビスと同じだ。問題はこの後。
マリンアビスとの一件があって以来、プレクストンの王様は俺たちにサンドアグリィに協力申請してこい。などとふざけたお願いをしてきやがったのだ。
いやまあ、味方が増えるのはいいことなのだが。もう少し自分たちで外交をしてくれないだろうか。過去のイメージがあるせいか協力をするのが躊躇われる。いかんいかん、もう少し大人にならなければ。
王座の前まで歩き、跪く。砂漠の王、クソでかい。巨人族か? それにしては小さいか。 でも、確実に亜人の血は引いてる。
「貴様がマスターランクのキールか」
「はい。今日は――――」
俺が説明しようとすると、砂漠の王は手を前に出し俺の発言を制止させた。何か癪に障ることを言っただろうか。
「分かっている。魔王候補との戦闘に向けて協力を申請しに来たのだろう?」
どうやら砂漠の王はプレクストンの意図を理解しているようだ。これは早く帰ることができそうだ。
「その通りです。どうでしょうか」
「そうさな。確かに魔王候補は恐ろしい。民を守るために、協力をするのもいいだろう」
砂漠の王は、長く伸びた顎髭を触りながらそう言った。
それはそうだ。
「では、協力をしていただけると……?」
「ふむ…………我らが協力、というのは癪に障るな。そちらがどうしても、と頭を下げてこちらに協力させてほしいと言うのなら協力させてやってもいいが」
カチン、と何かが頭に当たったかのような衝撃。
気に食わない、ああ気に食わない。そうだ、プレクストンの貴族どもはまだよかった。俺が一番嫌いなタイプはこういうタイプなんだ。
自分が常に上だと思っている王。500年前のプレクストンがこれだった。嫌な記憶を思い出させてくれたな。
「失礼ですが、こちらはそちらの戦力よりも優れていると思うのですが、どうでしょうか」
笑顔を崩さずに言った。言ってしまった。
やっちまったな、と思うが後悔はしない。フォトたちを馬鹿にされた気がしたから、これは言ってよかったんだ。
「なんだと? …………貴様、自分が何を言っているのか分かっているのか?」
「ええ。サンドアグリィの方が戦力的に上だと思い込んでいる様子でしたので」
ここで引いてはいけない。一度押したら押し続けろ、気を抜いたら潰されるぞ。
「…………ふん。確かに、我はプレクストンの戦力は把握していないがな。サンドアグリィが負けるとは思えないのだ」
「なるほど。お互いに知らないんじゃここで言い争っても意味ないですからね」
俺が想像していたよりも、砂漠の王は冷静だった。一瞬怒っていたが、すぐに落ち着きを取り戻しこの場での言い争いに意味がないと判断する。
力だけではどうにもならないことだってあるだろう。それを理解しているのだ。プレクストンの臆病な貴族どもも見習ってほしい。もう少し勇気を見せろってんだ。
「であろう? いくら戦力と一言に言っても、下の戦力は後からいくらでも増強することができる。装備を強化するだとか、兵士を増やすだとかでな」
「まあ、そうっすね。現にこちらも武器を新調していますから」
マリンアビスにも、サンドアグリィにも特別な強さがあるわけではない。もちろんプレクストンだってそうだ。
兵士の強さは多少変わってくるだろうが、その差は埋められないわけではない。
「貴様は代表としてここに来たのだろう? ならば、代表である貴様と、その仲間たちで砂嵐の原因を突き止め、解消してみせよ」
「砂嵐、とは?」
いきなりそんなことを言われても困る。砂嵐は確かに吹いていたが、ごく普通のものだった。
原因はただの強い風だろうか? それとも、魔獣が悪さをしている? 見た限りではそれほど被害はなさそうだが。
「あー、簡単に説明するとだな。ここ数年、強烈な砂嵐が頻繁に起こるようになったのだ。何度も調べたが原因は不明。そこで、貴様らとサンドアグリィの精鋭で協力し、この問題を解決するのだ」
「協力? なぜですか」
「どの道協力はするのだから、共に戦えるかどうか、足を引っ張るようなことがないかををそこで判断する」
なるほど。どうせ協力するんだし実際に協力した時にどっちの方が役に立つか実際にやってみろってことだな。
砂嵐の問題を試練に選んだのにも理由はあるはずだ。魔王候補に限らず、突然敵が攻めてきた場合、基本的には未知の敵だろう。それに対処する術を持っているかどうかも大切なのだ。
そう考えてみれば、ただ戦うよりも有益だ。相手に力の差を見せつけることだってできる。
「しかし、砂嵐かぁ」
この程度の砂嵐を解決して認められるとも思えないし、今ここで砂嵐の原因を想像してみてもキリがない。外を見ても、砂が飛んでいる程度で…………
そう思った次の瞬間、街から大きな声が聞こえてきた。
「来るぞ! 家に入れ! 窓を閉めろ!」
何が来るんだと窓から顔を出す。
遠くから、何かが来ていた。山のような何かが迫ってきている。なんだ、あれは。
「馬鹿者! 窓を閉めろ!」
「うおっとい!」
砂漠王が大声を出してきたので素直に従う。窓を閉め、しゃがみ込む。
ドゴンッ! とおよそ砂が出す音ではない何かが聞こえてきた。その後もゴォォォォっという音と壁に物が衝突する音が響き続けた。
しばらくすると音も止む。騒音がしばらく続いたのでやけに静かに感じた。
窓をゆっくりと開く。家の屋根が、道が、壁が、砂だらけになっていた。
これが何度もあると考えると、なるほど大災害だ。
* * *
砂漠の中心、何もない砂丘がいくつも点在する周辺に、明らかに違和感のある平らな空間があった。
しばらくそこで探索をしていた俺たちは、巨大な砂嵐に巻き込まれてしまう。
しかし『ウィンドシールド』で全身を風で守っていたため、砂嵐の中行動することができた。
その砂嵐の中心で、俺たちが見たものは――――
馬鹿でかい砂のゴーレムだった。
しばらく様子を見ていると、サンドアグリィの兵士や冒険者は倒されてしまい次々と数が減ってしまった。
確かに戦闘は強かったが、残ったのは数人か。こうも巨大な敵だと隊長クラスやプラチナランクでは対処できないんだな。ミスリルランクの条件は、ああいう敵でも戦えることか。帰ったらリンクスに教えてやろう。
「おいそこのお前ら! エイブラスさん達に任せて逃げるぞ!」
名前も知らない冒険者に警告される。
「ん、ああ。俺たちは大丈夫だ。でも、お前は逃げた方がいいぞ。巻き込まれちまう」
「はぁ? よ、よくわからんが分かった。気を付けろよ!」
エイブラスとは、サンドアグリィの有名な冒険者だ。確かミスリルランクだったか? それ以上の奴らもいるので、そいつらにも期待しておこう。
逃げた冒険者を横目で見ながら、ゴーレムを見据える。山よりもでけぇ。一体どれだけの年月をかけて成長したのだろうか。
「おっ、一気にやるつもりなの?」
「まあな、被害も出そうだし」
リュートと会話する。こいつは、サンドアグリィ側ととプレクストン側……俺たちの準備が完了し出発するまでの間にドラゴンから力を貰ってきた。早い。
短期間に成長しすぎだろと思ったが、元々ポテンシャルは持ってるんだよな。覚醒もしたし。
どこから攻めようか考えていると、兵士を助けていたフォトとヴァリサさんと同流する。
「さて、やりますか」
「やりましょう!」
「おう」
二人共やる気満々だ。もう逃げ遅れた兵士はいない。今いるのは、俺たち四人とサンドアグリィの精鋭数人だ。
これだけならば、全力を出したって被害は出ないだろう。巻き込まれそうになっても、対処できるくらいの強さは持っているはずだ。まあ、気を付けはするが。
「『魔力開放Ⅰ』『魔力開放Ⅱ』」
ズン、ズンと魔力が開放される。身体の周りにオーラ状になった魔力が現れ、漂う。
全力を出すのなら、これだけでは終わらない。
「ドロップ、ヴール、ソイル、シエル。行くぞ、『四精霊の鎧』!!!」
ペンダントから四色の光が現れ、オーラに溶けていく。そして、オーラは形を変え鎧となった。
ソイルとシエルの二人に再会したおかげで、再び完全な『四精霊の鎧』を使うことができた。これが、四属性を無効化する鎧の完成だ。
「エクストラスキル、解放!」
「『ドラゴンアームズ』、武装ッ!!!」
「『顕現修羅』!」
俺のエクストラスキルに続くように、三人も力を解放させていく。
フォトはエクストラスキルで光を放ち、リュートはフォボスのスキルを参考にした『ドラゴンアームズ』で竜騎士となり、ヴァリサさんは『顕現修羅』で武器の破壊力を限界突破させる。
それぞれ、これまでの修行で強化したり、身に着けたりした力だ。俺も、これから手に入れた力を使ってゴーレムと戦おう。手加減は無しだ。
* * *
戦闘はものの数分で終了した。
サンドアグリィの精鋭たちも、予想に反してしっかりと戦い貢献していた。これだけ力があれば自信があるのも頷ける。
しかし、基本的にゴーレムにダメージを与え、コアを破壊し討伐したのは俺たちだった。
そのため、砂漠の王は俺たちを認めプレクストンとサンドアグリィは協力関係となる。
サンドアグリィとも協力関係になった俺たちは、更なる力を求め砂漠大陸を制覇する旅を始めた。
砂漠の集落や、熱帯雨林にある村などを旅しながら俺たちはまだまだ強くなる。
いつか魔王候補の二人が攻めてくるその日まで。
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