18 / 111
18話 クロエの願望
しおりを挟む
ふざけているとしか思えない。
だけど、ふざけているにしては表情が真面目過ぎる。クロエは混乱しながらも、もう一度カイに聞いた。
「殺される運命って……私が、カルツに?」
「そうだよ、あの勇者に」
……冗談だよね?クロエは思わずそう言い返しそうになったけど、言葉をぐっと飲み込む。
そもそも、目の前の男は色々とおかしすぎるのだ。悪魔の魔力が身に宿っているにも関わらず平気な顔しているし、会ったこともない自分の名前も知っていた。
聞き流すには、言葉が若干重すぎる。運ばれたビールで喉を潤いながら、クロエはふうと深い息をつく。
「ふうん、なら私はどうやって殺されるわけ?あのさ、カルツはちょっとバカで考えなしのところはあるけど、仲間を大切にするやつなんだよ?」
「うん、そうだね」
「……カルツに会ったこともないのに、なんで頷くわけ?とにかく、どうやって私がカルツに殺されるのかの道筋が見えないんだけど。本当に、私がカルツに殺されるって?」
「君はスラムである組織を調べている。そうだよね?」
急に変わってしまった話題に、クロエは眉根をひそめる。
本当に、どこまで知ってるの。この男。
「……私のことはもう調査済みってわけ?」
「いや、俺は昨日君と会うことなんて全く想像してなかったし、こうやって3人で集まったのもあくまで偶然に過ぎない。俺が知っているのは、君の未来と君の性格だけだよ、クロエ」
「……………未来を知ってる、か」
なるほど、口ぶりからしてそうじゃないかなとは思ってたけど、こうやって断言されると逆に面白くなる。
クロエは挑戦的な笑みを浮かんで、ビールをもう一度煽った後に聞いた。
「じゃ、私はどんな組織を調べているのでしょうか~?未来を知っているあなたなら、分かるはずだよね?」
「スラムではよく子供が拉致されることが多い。どうしてだと思う?」
「……紛らわしいこと言わずに、早く組織の名前を口にして」
やや低い声で催促するように言うと、カイはふうとため息をつきながら身をかがめる。
「帝国の暗部」
「…………!!」
「その暗部が……いや、この国が子供たちを拉致している巨大な組織だよ。どう?これくらいなら合格点かな?」
クロエは、あえて組織という言葉を使ってカイを試そうとしていた。
だって、彼の言うことは本当だったのだ。自分が見つけ出した真実―――その裏には、帝国の諜報部である暗部がどっしりと構えていたから。
「……本当に何もかも知っているんだ?」
「そうだぞ?今の君が知らない情報も、ある程度はね」
「…………」
シュビッツ収容所は氷山の一角に過ぎない。この帝国は、貴族たちの安寧と皇族たちの永生のために民を搾取し、ずっと裏で何らかの実験をしている。
なにはともあれ、ただの子供が手に入れられるような情報じゃないのは確かだった。
クロエは間をおいてから、口を開く。
「なら、本当に私はカルツの手で殺されるんだ?」
「ああ。だから、君は一秒でも早くパーティーを抜け出した方がいいよ。命より大事なものはないからさ」
「……で、パーティーをやめた後は?私一人で調査をしろと?」
クロエは頬杖を突きながら、苦痛に滲んだ顔で語り始める。
「カルツはああ見えても勇者なの。帝国からの信頼も厚いし、そのパーティーメンバーには色々なメリットが与えられる。私は、そういったメリットを使って調査をして、ここまでたどり着いたんだよ。このとち狂った国の正体を知ったの」
「………」
「あなたたちもシュビッツ収容所出身なんでしょ?まあ、あの収容所は破壊されたけど……でも、あそこは文字通り地獄じゃん。私もあそこ出身だから分かるんだよ。この国が腐っていることも、皇族たちが人間を実験用のハリネズミ扱いしてることも」
クロエは未だに覚えていた。自分のすぐ隣のベッドを使っていた、笑顔がとても優しかった同年代の女の子を。
そして、その女の子が実験室に連れ込まれ、なんらかの魔法を施された後に―――体が膨れ上がって、体が弾けるように爆発四散したことも。
すべてを、すべてを覚えている。忘れるはずがなかった。忘れてはいけなかった。
だから、クロエはあえてカルツに接近して、勇者パーティーのメンバーになったのだ。
一人でも多くの子供たちを救うため。そして、亡くなった親友の復讐を果たすため。
「危険を冒さなければ、成果は得られない」
「……クロエ」
「ごめん。心配してくれているのは、なんとなくわかるけど……でも、私は止まれないの。この帝国に、ある男に復讐する前には……私は死んでも死にきれないから」
……そういえば、こんな子だったよなと、カイは懐かしい気持ちになる。
ゲーム内でのクロエは、クールで冷静なのと同時に芯があって、周りの人を気にする優しい性格の持ち主だった。
こんなギャップがあるから、カイもあんなにクロエのことが好きだったのだ。まあ、ゲーム内の話だけど。
「………カイ、浮気?」
「ニアさん?俺の太ももから手を離してくれませんか?」
カイが他の女を考えているのを一瞬で察したニアは、すぐに赤い瞳を光らせる。
カイは背筋に冷や汗を掻きながらも、苦笑を浮かべて見せた。
「俺は警告したんだぞ~~?このままだと本当に死ぬんだからな!?」
「……ふふっ、ウソのようには聞こえないね。もちろん、今すぐパーティーを抜けるつもりはないけど……でも、アドバイスはありがたくいただくよ。ありがとう、カイ」
「………………はぁ」
カイは深いため息をついて、目の前のクロエをジッと見つめる。なんて意固地なやつなんだ、本当に。
……もちろん、だからといってカイは彼女を諦めるつもりがなかった。愛着のあるキャラだからこそ、なるべく生かしておきたいから。
「分かった。君がそこまで強く思うなら、俺も仕方ないっか。でも、なるべく俺の言ったことを常に気にかけて欲しいかな。あ、あと黒魔術師のやつらも気を付けるように」
「黒魔術師……か。ふうん」
「……本当に気をつけろよ?下手したら死ぬからね、君?」
その瞬間。
なにがツボにはまったのか、クロエはぷふっと噴き出しながら首を傾げた。
そして、昨日から抱いてきた疑問をカイにぶつける。
「あのさ、カイ。一つ聞きたいことがあるんだけど……なんでそこまで私を気にするの?」
「え?」
「あなた、あの噂の影なんでしょ?それに未来も知っているとなると、もっとスケールの大きい色々なことができちゃうわけじゃん?なのに、なんで私みたいな小娘を気にしているのかなって。まさか、本当に浮気?」
「ちょっ!?ニアの前でその単語は――――!!!」
「……カイ?」
「ち、ち、違う!!違うから!!ニア、ニア!?正気に戻って、ニアぁ!!」
目から光線でも出るんじゃないかと思うくらいの勢いで、ニアはカイを睨む。
カイは手を握りしめたり抱きしめたりしてどうにかニアの機嫌を取った後に、深い息をこぼしながら言った。
「もう二度とニアの前でそんなこと言うなよ!?はあ……とにかく、確かに今の俺には色々できるとは思うけど、もうちょっと様子を見てみたいんだ」
「ふうん、敵情視察って感じ?」
「そんなところ。あと、君に関しては……そうだね」
……ヤバい。どんな風に話せばいいんだ、これ。
カイは思わず両手で頭を抱えそうになった。隣には頬をパンパンに膨らませたニアがいて、前には自分の返事をほんのり期待しているクロエがいる。
適切な表現を使わなければ、今度はダンジョンじゃなくて街中で地震が起きちゃう……!なんとか、なんとか誤魔化さないと!
「そう……だね。えっと……君を助けたい理由は………」
「うん。私を助けたい理由は?ふふっ」
「……えっ、と」
しかし、カイは約4年間部屋に閉じこもってゲームしかしなかった童貞男。
当然、この場で粋な言葉など浮かぶはずもなく、結局は心にもない言葉を言うしかなかった。
「そ、そうだ!!君は、この先色々と役に立つから!」
「……役に立つ?私が?」
「そう。暗殺者はけっこう希少な職業だし、おまけに君は勇者パーティーでもカルツの次くらい強いじゃん?だから、なんとなく俺たちにも役に立つんじゃないかと思って!」
「………ふうん、そっか」
なんでだろう。当たり前な話だというのに、クロエはその答えが少し気に食わなかった。
……ただ利用価値があるから、生かしておくだけだろうか。もちろん、理性的に考えると自分を助ける理由なんてそれしかないけど、なんか釈然としない。
「分かった。まあ、当たり前だよね」
「……えっと、クロエ?」
「なに?」
「一つ頼みたいことがあるんだけど、その前に―――なんでちょっと拗ねてるんですか?」
「うん?拗ねてないけど?なに言ってるの?」
「拗ねてるよね!?さっき明らかにぷいっとしたよね!?」
「拗ねてないってば。で、頼みってなんなの、結局?私はどうせ利用価値のある捨て駒なんでしょ?あなたらの道具なんでしょ?」
「誰もそこまでは言ってないじゃんか!!ああ、全く………」
乙女心って本当複雑だな……!!と感じつつ、カイはちらっとニアを見つめた。
うん、今はそこまで不機嫌には見えないし、大丈夫だよね?そう思って、カイはしれっと言い出す。
「あの、やむを得ない事情があってのことなんだけどさ……1分だけ、手を繋いでくれないかな?」
「……………………え、ぇ?」
「一分だけ、本当に一分だけだから!き、気持ち悪いと言われても仕方ないと思うけど、今回だけ!!」
「………………あなた、本当悪魔だよね」
「なんでそこで悪魔って言葉が出るんだよ!俺は、あくまでも君のスキルを学びた―――ニア!?ニア!?落ち着いて!あ、後でいくらでも手つないであげるから!これ、別にいかがわしいことじゃないから!!」
「ぷふっ、ぷははははっ!!」
ああ、こんな風に愉快に笑うのっていつの日以来だろう。
久しぶりの純粋な楽しさに浸りながら、クロエは大きく笑い声をあげた。
だけど、ふざけているにしては表情が真面目過ぎる。クロエは混乱しながらも、もう一度カイに聞いた。
「殺される運命って……私が、カルツに?」
「そうだよ、あの勇者に」
……冗談だよね?クロエは思わずそう言い返しそうになったけど、言葉をぐっと飲み込む。
そもそも、目の前の男は色々とおかしすぎるのだ。悪魔の魔力が身に宿っているにも関わらず平気な顔しているし、会ったこともない自分の名前も知っていた。
聞き流すには、言葉が若干重すぎる。運ばれたビールで喉を潤いながら、クロエはふうと深い息をつく。
「ふうん、なら私はどうやって殺されるわけ?あのさ、カルツはちょっとバカで考えなしのところはあるけど、仲間を大切にするやつなんだよ?」
「うん、そうだね」
「……カルツに会ったこともないのに、なんで頷くわけ?とにかく、どうやって私がカルツに殺されるのかの道筋が見えないんだけど。本当に、私がカルツに殺されるって?」
「君はスラムである組織を調べている。そうだよね?」
急に変わってしまった話題に、クロエは眉根をひそめる。
本当に、どこまで知ってるの。この男。
「……私のことはもう調査済みってわけ?」
「いや、俺は昨日君と会うことなんて全く想像してなかったし、こうやって3人で集まったのもあくまで偶然に過ぎない。俺が知っているのは、君の未来と君の性格だけだよ、クロエ」
「……………未来を知ってる、か」
なるほど、口ぶりからしてそうじゃないかなとは思ってたけど、こうやって断言されると逆に面白くなる。
クロエは挑戦的な笑みを浮かんで、ビールをもう一度煽った後に聞いた。
「じゃ、私はどんな組織を調べているのでしょうか~?未来を知っているあなたなら、分かるはずだよね?」
「スラムではよく子供が拉致されることが多い。どうしてだと思う?」
「……紛らわしいこと言わずに、早く組織の名前を口にして」
やや低い声で催促するように言うと、カイはふうとため息をつきながら身をかがめる。
「帝国の暗部」
「…………!!」
「その暗部が……いや、この国が子供たちを拉致している巨大な組織だよ。どう?これくらいなら合格点かな?」
クロエは、あえて組織という言葉を使ってカイを試そうとしていた。
だって、彼の言うことは本当だったのだ。自分が見つけ出した真実―――その裏には、帝国の諜報部である暗部がどっしりと構えていたから。
「……本当に何もかも知っているんだ?」
「そうだぞ?今の君が知らない情報も、ある程度はね」
「…………」
シュビッツ収容所は氷山の一角に過ぎない。この帝国は、貴族たちの安寧と皇族たちの永生のために民を搾取し、ずっと裏で何らかの実験をしている。
なにはともあれ、ただの子供が手に入れられるような情報じゃないのは確かだった。
クロエは間をおいてから、口を開く。
「なら、本当に私はカルツの手で殺されるんだ?」
「ああ。だから、君は一秒でも早くパーティーを抜け出した方がいいよ。命より大事なものはないからさ」
「……で、パーティーをやめた後は?私一人で調査をしろと?」
クロエは頬杖を突きながら、苦痛に滲んだ顔で語り始める。
「カルツはああ見えても勇者なの。帝国からの信頼も厚いし、そのパーティーメンバーには色々なメリットが与えられる。私は、そういったメリットを使って調査をして、ここまでたどり着いたんだよ。このとち狂った国の正体を知ったの」
「………」
「あなたたちもシュビッツ収容所出身なんでしょ?まあ、あの収容所は破壊されたけど……でも、あそこは文字通り地獄じゃん。私もあそこ出身だから分かるんだよ。この国が腐っていることも、皇族たちが人間を実験用のハリネズミ扱いしてることも」
クロエは未だに覚えていた。自分のすぐ隣のベッドを使っていた、笑顔がとても優しかった同年代の女の子を。
そして、その女の子が実験室に連れ込まれ、なんらかの魔法を施された後に―――体が膨れ上がって、体が弾けるように爆発四散したことも。
すべてを、すべてを覚えている。忘れるはずがなかった。忘れてはいけなかった。
だから、クロエはあえてカルツに接近して、勇者パーティーのメンバーになったのだ。
一人でも多くの子供たちを救うため。そして、亡くなった親友の復讐を果たすため。
「危険を冒さなければ、成果は得られない」
「……クロエ」
「ごめん。心配してくれているのは、なんとなくわかるけど……でも、私は止まれないの。この帝国に、ある男に復讐する前には……私は死んでも死にきれないから」
……そういえば、こんな子だったよなと、カイは懐かしい気持ちになる。
ゲーム内でのクロエは、クールで冷静なのと同時に芯があって、周りの人を気にする優しい性格の持ち主だった。
こんなギャップがあるから、カイもあんなにクロエのことが好きだったのだ。まあ、ゲーム内の話だけど。
「………カイ、浮気?」
「ニアさん?俺の太ももから手を離してくれませんか?」
カイが他の女を考えているのを一瞬で察したニアは、すぐに赤い瞳を光らせる。
カイは背筋に冷や汗を掻きながらも、苦笑を浮かべて見せた。
「俺は警告したんだぞ~~?このままだと本当に死ぬんだからな!?」
「……ふふっ、ウソのようには聞こえないね。もちろん、今すぐパーティーを抜けるつもりはないけど……でも、アドバイスはありがたくいただくよ。ありがとう、カイ」
「………………はぁ」
カイは深いため息をついて、目の前のクロエをジッと見つめる。なんて意固地なやつなんだ、本当に。
……もちろん、だからといってカイは彼女を諦めるつもりがなかった。愛着のあるキャラだからこそ、なるべく生かしておきたいから。
「分かった。君がそこまで強く思うなら、俺も仕方ないっか。でも、なるべく俺の言ったことを常に気にかけて欲しいかな。あ、あと黒魔術師のやつらも気を付けるように」
「黒魔術師……か。ふうん」
「……本当に気をつけろよ?下手したら死ぬからね、君?」
その瞬間。
なにがツボにはまったのか、クロエはぷふっと噴き出しながら首を傾げた。
そして、昨日から抱いてきた疑問をカイにぶつける。
「あのさ、カイ。一つ聞きたいことがあるんだけど……なんでそこまで私を気にするの?」
「え?」
「あなた、あの噂の影なんでしょ?それに未来も知っているとなると、もっとスケールの大きい色々なことができちゃうわけじゃん?なのに、なんで私みたいな小娘を気にしているのかなって。まさか、本当に浮気?」
「ちょっ!?ニアの前でその単語は――――!!!」
「……カイ?」
「ち、ち、違う!!違うから!!ニア、ニア!?正気に戻って、ニアぁ!!」
目から光線でも出るんじゃないかと思うくらいの勢いで、ニアはカイを睨む。
カイは手を握りしめたり抱きしめたりしてどうにかニアの機嫌を取った後に、深い息をこぼしながら言った。
「もう二度とニアの前でそんなこと言うなよ!?はあ……とにかく、確かに今の俺には色々できるとは思うけど、もうちょっと様子を見てみたいんだ」
「ふうん、敵情視察って感じ?」
「そんなところ。あと、君に関しては……そうだね」
……ヤバい。どんな風に話せばいいんだ、これ。
カイは思わず両手で頭を抱えそうになった。隣には頬をパンパンに膨らませたニアがいて、前には自分の返事をほんのり期待しているクロエがいる。
適切な表現を使わなければ、今度はダンジョンじゃなくて街中で地震が起きちゃう……!なんとか、なんとか誤魔化さないと!
「そう……だね。えっと……君を助けたい理由は………」
「うん。私を助けたい理由は?ふふっ」
「……えっ、と」
しかし、カイは約4年間部屋に閉じこもってゲームしかしなかった童貞男。
当然、この場で粋な言葉など浮かぶはずもなく、結局は心にもない言葉を言うしかなかった。
「そ、そうだ!!君は、この先色々と役に立つから!」
「……役に立つ?私が?」
「そう。暗殺者はけっこう希少な職業だし、おまけに君は勇者パーティーでもカルツの次くらい強いじゃん?だから、なんとなく俺たちにも役に立つんじゃないかと思って!」
「………ふうん、そっか」
なんでだろう。当たり前な話だというのに、クロエはその答えが少し気に食わなかった。
……ただ利用価値があるから、生かしておくだけだろうか。もちろん、理性的に考えると自分を助ける理由なんてそれしかないけど、なんか釈然としない。
「分かった。まあ、当たり前だよね」
「……えっと、クロエ?」
「なに?」
「一つ頼みたいことがあるんだけど、その前に―――なんでちょっと拗ねてるんですか?」
「うん?拗ねてないけど?なに言ってるの?」
「拗ねてるよね!?さっき明らかにぷいっとしたよね!?」
「拗ねてないってば。で、頼みってなんなの、結局?私はどうせ利用価値のある捨て駒なんでしょ?あなたらの道具なんでしょ?」
「誰もそこまでは言ってないじゃんか!!ああ、全く………」
乙女心って本当複雑だな……!!と感じつつ、カイはちらっとニアを見つめた。
うん、今はそこまで不機嫌には見えないし、大丈夫だよね?そう思って、カイはしれっと言い出す。
「あの、やむを得ない事情があってのことなんだけどさ……1分だけ、手を繋いでくれないかな?」
「……………………え、ぇ?」
「一分だけ、本当に一分だけだから!き、気持ち悪いと言われても仕方ないと思うけど、今回だけ!!」
「………………あなた、本当悪魔だよね」
「なんでそこで悪魔って言葉が出るんだよ!俺は、あくまでも君のスキルを学びた―――ニア!?ニア!?落ち着いて!あ、後でいくらでも手つないであげるから!これ、別にいかがわしいことじゃないから!!」
「ぷふっ、ぷははははっ!!」
ああ、こんな風に愉快に笑うのっていつの日以来だろう。
久しぶりの純粋な楽しさに浸りながら、クロエは大きく笑い声をあげた。
61
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる