【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する

雨香

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第1章

バラ園で2

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ガゼボの入り口からではなく、私たちのテーブル横の開け放たれたアーチの柵からひょいと顔を出したのはシェイド様で————。

「まぁ♡♡シェイド兄様ごきげんよう♡♡♡」

「おい、俺はこっちだ。
リリ様、お久しぶりにございます。ご健勝なご様子、安心致しました」
懐かしい優しい、低い声。

シェイド様の後ろにクリストフさんもいる!

「シェイド兄様、珍しいですわねこんな所で♡♡♡♡」

「だから俺はこっちだ」

エルの目が完全にハートになっている。
顔も視線も全力でクリストフさんを見ている、もうガン見レベル。

私は私で突然のシェイド様にいっぱいいっぱいになって言葉が出てこない。

「リリ様」
優しい声、琥珀色の瞳 

「っ……はい、シェイドさま……」
声が掠れる。

「メイルとスランに手紙をありがとうございました。泣いて喜んでおりましたよ」

「こちらこそ、ケイトさんを、ありがとうございました」
つっかえつっかえしか言葉が出てこない、かっこよすぎて無理。

シェイド様はにこっと笑った後(笑顔やばい!!)退出の挨拶をしてクリストフさんと去っていった。

エルの目はまだハートのままだし、私もドキドキしすぎて破裂しそう。隊服の背中をずっと目で追ってしまう。

「エル……分かりやすすぎない?」

「そんな事ないわよ!!!リリこそなんでシェイド兄様!?目ついてんの!!?」

「まぁ、クリストフさん、かっこいいもんねぇ(エルフ顔で)」
エルが可愛くていじめたくなる。

「今日も、何も、しゃべれなかったわ!!」

「伝わってると思うけど……」

「!!そんなはずないわよ!!」

「王城にいれば、シェイド様をお見かけできる確率高い!?公爵邸では全然お会い出来なかったもの!!王城万歳!!」

「ケイト、やっぱり医者をすぐに手配するわ」

「必要ございません、これがお嬢様の平常でございます」

「リリ、なぜクリフ様がシェイド兄様付きの副官になったかわかる?」

「え?何故って、クリストフさん、私と同じで絶対シェイド様ファンだと思う!」

「違うに決まってんでしょ!!なんなのそれは!!リリってば、見た目妖精なのに中身ぶっとんでるわね」

「そうかな?私、わりと普通だよ?」

「こんな普通があってたまるもんですか!」

エルがはぁはぁ言っている。
ツッコミ属性だったんだねぇ。可愛い。

今世こんせいにあんなかっこいい人はいないのよ」

「シェイド様のこと?」

「あんたシェイド兄様から少し離れなさいよ!クリフ様のことよ!!!」

「あぁクリストフさん」

「なんでちょっと残念そうなの!?とにかく、クリフ様は美しすぎたの。令嬢達も未亡人も、既婚者だって、みーんなクリフ様に夢中だわ」

「セフィロス様とか、カイウス殿下は?」

「その二人も人気よ、ご令嬢の誰もがこの三人に一度は憧れるわ。
……けどクリフ様はその中でも別格なのよ。
以前はクリフ様、第一騎士団に所属していたの。白い制服がお似合いで、そりゃあもう聖典から抜け出た様で……」

そういえば、クリストフさんの長い金髪と薄いブルーの瞳は男神のエルフとおんなじだもんねぇ。

「うんそれで?」
あ、マカロン美味しい。苺味だ!

「ちょっとあんた!もうちょっとクリフ様に興味もちなさいよ!!…………いや、最悪レベルのライバル増やしてどうすんの私…………」

「ふんふん。エルの好きな人としては興味あるよ?」

「も、もういいわ。令嬢達からキャーキャー言われているだけなら良かったのよ。でもクリフ様はあらゆる女性を虜にしてしまう。
クリフ様はアルディス子爵家の三男で、上のお兄様達は皆ご結婚されているんだけれど……その奥方達も例外じゃなかった訳」

「えぇ!?兄嫁さんって事!?」

「そう。クリフ様にその気が無くとも周りがほおっておかないの。次男は離婚、嫡男はなんとか踏みとどまったけれど、今別居中だそうよ。……クリフ様は何も悪くないのに」

「それでどうしてシェイド様の副官の話がでるの?」

「クリフ様はお兄様達の事に責任を感じて……第一騎士団を辞めて出奔なさろうとしていたのよ。それを知ったシェイド兄様が自分の副官にしたって訳」

「??だからどうして??」

「シェイドお兄様の近くにいれば、女性は近寄れないからよ!」

「シェイド様、かっこ良すぎない!?」

「今の話のどこにそんな要素があったのよ!?」

「でも…………そんな事があったんだねぇ」

「シェイド兄様の副官になってから、楽しそうにしていらっしゃる事が増えたわ。だから、お兄様には感謝しているのよ」

「頼れる上司…………素敵すぎない…………?」

「…………結局全力でそこに戻るのね……リリあんた、私以外の前で言わない方がいいわよ、それ」

「自分の好きな人宣伝して歩いたりしないよ?」

「そうじゃなくて…………はぁ、カイウス兄様負け戦じゃなくって?なんだか可哀想になってきたわ」

「?なんか言った? 私……ケイトさんがいてくれて、本当に良かった…………ドレスも髪もおめかしした姿……見てもらえた!!」

「恐縮でございます」 
ケイトさんはにっこにこだ。クールビューティーどこいった?

「とにかく、私の前だけになさい!そのぶっ飛んだ思想を見せるのは!!」

みんなわかってないなぁ、あの神懸かったイケメンの価値が。

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