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現実 その1

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私はそこそこの田舎に住んでいる。
と言っても近くに一応コンビニはあるし車通りも無いわけではない。
田舎と表現するのは些か申し訳ない気がしないでもないが自宅の目の前は川、少し行けば田んぼだ。なんと言っても近くに精米機があるのだ、これが田舎を特に象徴している気がする。
ただまぁ、近所付き合いというのがある辺りやはり田舎とは違うか、住宅街と言った方が正しいのかもしれない。

そして私はその中の特に目立つ訳でもない家の中でぼーっとしながら思う。
こんなはずではなかった…自分は良い人生を歩むものだと思い込んでいたが現実は違った、と。
自分は身長は高くないものの顔は整っていると思うし(昔は不細工だったが)勉強だってやれば人並み以上には出来る。
学校では先生からは手のかからない、いい子だと太鼓判を押されているし家の手伝いだってそれなりにする。
なのに私は何故か負け犬のような人生を歩み始めている。
ここから軌道修正する事は不可能だろうか?いや、間に合う。自分に素直になり欲望を抑えればきっと…きっと普通の人以上の人生を送れるはずだ。
しかし現実はそう甘くない、非常なのである。
こんなにも強く願ったところで状況が改善する訳でもないし打開策が浮かぶ訳でもない。今となっては相談出来る相手もいないし…
と、ここでふとある人の事を思い出す。
そういえば先生元気かな。
自分によく似たあの先生、親身になって私の話を聞いてくれた唯一の存在。
ただ、あの時は色々話を聞いて貰ったけど正直その意見の中で役に立ったものは特に無かったなと思う。
いや、本当は役に立つ意見は沢山あったのだろうけど、あの時の自分は何を言われても響かないからその意見を捨てていたのかも。
とまぁこんな事を考えていると外から聞き覚えのある車の音が聞こえてきた。
間違いない、親が帰ってきた。


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