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大講堂は、サーシェン城の中央広場の一角にある。
この夜、事態を受けた王は配下の貴族全員に触れを出し、この大講堂に集わせた。
ちょうど夕食も終えた頃の時間で、早いものではすでに床に就いているものもいて、老齢のパロウ公などは寝入った頃に妻に叩き起こされ、憮然とした表情で列席していた。
「皆のもの。サーシェン国を支え繁栄せしめる輝かしき武官の名将たちよ。文官の名士たちよ。突然の夜の招集に応じてくれたことに感謝する」
ゲオルグ王の言葉に、立ち並ぶ一同が礼をした。
急な召集とはいえ、貴族たるもの、人に見せるべきではない普段着では恥をかく。いずれも壮麗な衣服に身を包み、歴戦の猛将と名高いガイネ公などは鎧姿で現れた。
その他、ウラーヤフ将軍、先の敗戦では最後の最後に敵の兵站部隊を奇襲して徹底的な壊滅を防いだアーヘンゲルツ将軍、国師のザルイーツクの姿もある。
「こたび、我が弟にして宰相ハランド公が、国家転覆の許されざる企てを起こしたことが発覚した」
一同小さくざわついた。騒ぎが小さいのは、ハランド公捕縛の報は、主だったものの中には既に受けていた者が多かったからだ。
「この者、早々に自白のゆえ、ハイヌ・ベルケン島への流刑を決定した」
この言葉には、一同は先ほどよりも大きくざわつき、互いが互いの顔を見あった。
あまりに早い。
ハランド公捕縛は夕刻に行われたと聞く。その夜の大講堂のこの場で、すでに量刑を決したとゲオルグ王は言うのだ。
( はっ、、エリオ王子、、、 )
( これは、、、エリオ王子か )
アーヘンゲルツ将軍以下、誰もが思った。この疾風迅雷のごとき裁断は、恐れながら、ゲオルグ王の能力にはない。
この即断にしても速すぎるという処置は、戦地に馬を走らせれば神速の猛禽のように敵を切り裂き、内政にあたっては皆が思わず膝を打つ即決事業の推進者。
かの、エリオ・サーベンフェルツ王子の働きかけに違いない。
しかしそういえば。
先ほど来、皆が気にしていたのは、そのエリオ王子の姿がないことだった。
場の雰囲気もあって、余計な質問が憚られたため、皆は黙っていたが、彼の不自然な不在は、彼の存在への意識をかえって際立たせていた。
「エリオ王子」
ちょうど皆の邪推や疑念を制するように、ゲオルグ王が声を発した。
貴族一同の背後にある入り口から入って来たのは、上下ともに白で覆われたエリオ王子だった。彼はこの夜、公平で厳正な処置の宣言として、目にもまばゆい純白で自らを覆ったのだ。
いま一人。
いま一人、エリオ王子と共に大講堂へ入ってきた人物があった。
その巨体は左手に杖を突き、右脚の慣れない義足を引きずるように現れた。
ペルネ公だった。
この夜、事態を受けた王は配下の貴族全員に触れを出し、この大講堂に集わせた。
ちょうど夕食も終えた頃の時間で、早いものではすでに床に就いているものもいて、老齢のパロウ公などは寝入った頃に妻に叩き起こされ、憮然とした表情で列席していた。
「皆のもの。サーシェン国を支え繁栄せしめる輝かしき武官の名将たちよ。文官の名士たちよ。突然の夜の招集に応じてくれたことに感謝する」
ゲオルグ王の言葉に、立ち並ぶ一同が礼をした。
急な召集とはいえ、貴族たるもの、人に見せるべきではない普段着では恥をかく。いずれも壮麗な衣服に身を包み、歴戦の猛将と名高いガイネ公などは鎧姿で現れた。
その他、ウラーヤフ将軍、先の敗戦では最後の最後に敵の兵站部隊を奇襲して徹底的な壊滅を防いだアーヘンゲルツ将軍、国師のザルイーツクの姿もある。
「こたび、我が弟にして宰相ハランド公が、国家転覆の許されざる企てを起こしたことが発覚した」
一同小さくざわついた。騒ぎが小さいのは、ハランド公捕縛の報は、主だったものの中には既に受けていた者が多かったからだ。
「この者、早々に自白のゆえ、ハイヌ・ベルケン島への流刑を決定した」
この言葉には、一同は先ほどよりも大きくざわつき、互いが互いの顔を見あった。
あまりに早い。
ハランド公捕縛は夕刻に行われたと聞く。その夜の大講堂のこの場で、すでに量刑を決したとゲオルグ王は言うのだ。
( はっ、、エリオ王子、、、 )
( これは、、、エリオ王子か )
アーヘンゲルツ将軍以下、誰もが思った。この疾風迅雷のごとき裁断は、恐れながら、ゲオルグ王の能力にはない。
この即断にしても速すぎるという処置は、戦地に馬を走らせれば神速の猛禽のように敵を切り裂き、内政にあたっては皆が思わず膝を打つ即決事業の推進者。
かの、エリオ・サーベンフェルツ王子の働きかけに違いない。
しかしそういえば。
先ほど来、皆が気にしていたのは、そのエリオ王子の姿がないことだった。
場の雰囲気もあって、余計な質問が憚られたため、皆は黙っていたが、彼の不自然な不在は、彼の存在への意識をかえって際立たせていた。
「エリオ王子」
ちょうど皆の邪推や疑念を制するように、ゲオルグ王が声を発した。
貴族一同の背後にある入り口から入って来たのは、上下ともに白で覆われたエリオ王子だった。彼はこの夜、公平で厳正な処置の宣言として、目にもまばゆい純白で自らを覆ったのだ。
いま一人。
いま一人、エリオ王子と共に大講堂へ入ってきた人物があった。
その巨体は左手に杖を突き、右脚の慣れない義足を引きずるように現れた。
ペルネ公だった。
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