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2.ようこそ。ここは可笑しなお菓子の博物館
1.話さない、歩かない、でも聞ける。
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「最近は本当に口うるさい時代になったモンだ。エイセイカンネンがなんだの、世界の恵まれない子供達になんとか……だの」
髭を指で摘み、センセイはいつものように愚痴を溢していた。
「食い物を粗末にするなだの。食い物で遊ぶなだの。ワシの芸術は粗末でも遊びでも無いわい。のぅ、お前もそう思うだろう?」
ボクの身体に欠けが無いか、汚れが無いか、溶け始めていないか。ハタキで優しくホコリを落としながら点検している。
あぁ。ゴメンね。ボクの名前はチョコ王子。普通なら王子って王様の子供って意味らしいけどボクはただのチョコの塊。けど王子様の形で作られてるからその他に呼び方はきっと無い。
そしてボクの目の前で文句を言っているお爺さんがウォルター先生。クタクタのヨレヨレのシワシワのスーツを着た背の低いお爺さんだ。
センセイと言っても勉強を教えたり風邪を治してくれたりするセンセイとは違う。
センセイは芸術家。
「山と、森と、川と、畑と、ジジババしかおらん寂れたド田舎の町にも、とうとう厄介な連中が入って来おったわ」
センセイは……口が悪い。
「今まではワシの博物館を町の観光名所だの新時代のヘンゼルとグレーテルだのとヨイショしておったくせに。そんなに世間体が大事か。心を無くした寂しい者たちだ」
ボクが飾られているのは可笑しなお菓子の博物館。田舎の町にある、小さな建物。
どれくらい経つんだろう。センセイの背中が曲がってない、髭も白くない頃からだ。
20年か30年か前かな。
そんな長く続いたこの博物館ももう、終わりを告げようとしていた。
センセイが言うにはとってもキレイ好きな人達と世界平和の為にお金を沢山集めたい人達が一斉にセンセイの元へ来てボク達は芸術じゃないからやめなさい。って大騒ぎしだしたんだ。
そんで、ボクを含めて幾つかのセンセイの子供たちは処分される事が決まった。
今日は最後の営業日。
「おいトム! ドーナツバイクはそっちじゃない! 何度言ったら分かるんだすかぽんたん! くれぐれも丁重に扱えよ! 私の芸術はお前と違ってずっと繊細なのだ!」
「分かりました分かりましたよ。ったく、うるさいなぁ。なんだよ、すかぽんたんって……」
重ねてもう一度言うけれど、センセイはとっても口が悪い。特にバイトのトムや鼻水のついた手でボク達をベタベタと触る子供には容赦がない。
時々、ちょっと可哀想だなって思う時もあるけれどバイトのトムに関してはあまり同情できない。
アイツが冬に近くでストーブを焚いたせいでボクの隣に座っていたチョコ猫が首から下がデロンデロンの水たまりならぬチョコ溜まりという見るも無惨な姿にされちゃったからだ。
こんな騒がしい日々ももう時期、聞こえなくなる。そう思うと寂しい……いや、寂しくもないかもしれない。トムの事に関してはとりあえず寂しくは無いや。
閉館の作業が続く。
センセイがお客さんがいてもお構いなしにトムを怒鳴りつける声が小さな建物に響いていた。
髭を指で摘み、センセイはいつものように愚痴を溢していた。
「食い物を粗末にするなだの。食い物で遊ぶなだの。ワシの芸術は粗末でも遊びでも無いわい。のぅ、お前もそう思うだろう?」
ボクの身体に欠けが無いか、汚れが無いか、溶け始めていないか。ハタキで優しくホコリを落としながら点検している。
あぁ。ゴメンね。ボクの名前はチョコ王子。普通なら王子って王様の子供って意味らしいけどボクはただのチョコの塊。けど王子様の形で作られてるからその他に呼び方はきっと無い。
そしてボクの目の前で文句を言っているお爺さんがウォルター先生。クタクタのヨレヨレのシワシワのスーツを着た背の低いお爺さんだ。
センセイと言っても勉強を教えたり風邪を治してくれたりするセンセイとは違う。
センセイは芸術家。
「山と、森と、川と、畑と、ジジババしかおらん寂れたド田舎の町にも、とうとう厄介な連中が入って来おったわ」
センセイは……口が悪い。
「今まではワシの博物館を町の観光名所だの新時代のヘンゼルとグレーテルだのとヨイショしておったくせに。そんなに世間体が大事か。心を無くした寂しい者たちだ」
ボクが飾られているのは可笑しなお菓子の博物館。田舎の町にある、小さな建物。
どれくらい経つんだろう。センセイの背中が曲がってない、髭も白くない頃からだ。
20年か30年か前かな。
そんな長く続いたこの博物館ももう、終わりを告げようとしていた。
センセイが言うにはとってもキレイ好きな人達と世界平和の為にお金を沢山集めたい人達が一斉にセンセイの元へ来てボク達は芸術じゃないからやめなさい。って大騒ぎしだしたんだ。
そんで、ボクを含めて幾つかのセンセイの子供たちは処分される事が決まった。
今日は最後の営業日。
「おいトム! ドーナツバイクはそっちじゃない! 何度言ったら分かるんだすかぽんたん! くれぐれも丁重に扱えよ! 私の芸術はお前と違ってずっと繊細なのだ!」
「分かりました分かりましたよ。ったく、うるさいなぁ。なんだよ、すかぽんたんって……」
重ねてもう一度言うけれど、センセイはとっても口が悪い。特にバイトのトムや鼻水のついた手でボク達をベタベタと触る子供には容赦がない。
時々、ちょっと可哀想だなって思う時もあるけれどバイトのトムに関してはあまり同情できない。
アイツが冬に近くでストーブを焚いたせいでボクの隣に座っていたチョコ猫が首から下がデロンデロンの水たまりならぬチョコ溜まりという見るも無惨な姿にされちゃったからだ。
こんな騒がしい日々ももう時期、聞こえなくなる。そう思うと寂しい……いや、寂しくもないかもしれない。トムの事に関してはとりあえず寂しくは無いや。
閉館の作業が続く。
センセイがお客さんがいてもお構いなしにトムを怒鳴りつける声が小さな建物に響いていた。
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