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第三章 旅立ち
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そうそう。もう一つお話がございましたわ。
それはでございますが、この学園の卒業生は、毎年婚約者がいる者は互いに、または好意を寄せている方がいる者はそのお相手に対して、学年色のネクタイ(男子生徒)またはリボン(女子生徒)を、卒業式の前日に交換し合うという一大イベントがございますの。
前世で申しますと、「貴方の第二ボタンを下さい!」的なやつですわね。
男子生徒のネクタイは皆さん同型の物ではございますが、貴族令息のネクタイは、それぞれの家の紋章が刺繍されておりますの。
また女子生徒のリボンは、学年色だけ守っておれば、形やデザインは自由ですのよ。
制服は決まっておりますので、リボンで個性を出すのですわ。
因みに、私と親友のミーナとサリーナは同じデザインのレースのリボンを着けてますの。
そそ。『お揃い』なんですのよ。
リボンは、市井にございます学生御用達の衣装店へ3人で訪れ、購入致しましたの。
勿論レースは私が編んだ物ですわ。
だって私、このお店にも商品を卸しておりますもの。
店主には、私がユーリ本人である事は明かさない様に頼んでございますので、他の誰とご一緒にお店に入ったとしても、バレる事はございませんの。
そういえば……、あの時のお買い物は楽しかったですわね。
お店でわちゃわちゃとお話をしながら、あぁでもないこうでもないとあれこれ手に取っては、互いの首元にあててみたり比べてみたり致しましたわ。
結局お二人が選んだデザインが、私が作りましたデザインの物だった時は吃驚致しましたけども。
「まぁ!このリボンをご覧になって?サリーナ。このデザインは、あの『ユーリ』のデザインでは?」
「本当ですわね、リーナ!確かにこの繊細な編み目のデザインは『ユーリ』のですわ。それに致しましても、なんて緻密で美しい編み目なのでしょう。うっとりしてしまいますわね。」
とミーナとサリーナは手に取って興奮していらっしゃいましたわね。
そんなおお二人に女性店主がニコニコしながら近づいて来て、
「流石貴族のご令嬢でいらっしゃいますね。お目が高くていらっしゃいますわ。お嬢様がたが仰るとおりにございます。こちらのリボンはあのユーリブランドでございますよ。」
と言って、チラリと私の方を向いてウィンクなさいましたの。
その瞬間、ミーナとサリーナはリボンに夢中でいらして、店主のウィンクには気付かなくて宜しかったですけども、私の心臓に悪いので今後は止めて頂くようにお話しなくてはと思った程でしたわね。
そういえばでございますが、その頃 ミーナとサリーナにはまだ婚約者はいらっしゃらなくて、リボン購入後に立ち寄ったカフェで、
「折角買ったこのユーリデザインのリボンですけども。卒業イベントの時、誰とも交換出来なかったらどうしましょう。」
等とお二人共仰っておられましたわね。
でも私は、お二人ともとても素敵なご令嬢なのですから、心配なさらなくても大丈夫ですのにと思いましたのよ。
そんなお二人ではございましたが、卒業を控えた今ではそれぞれ婚約者が出来、お二組ともそれはそれはとても仲良くなさっているんですの。
もし時が戻ってあの日のお二人にお会いする事がございましたら、
「そんなご心配は稀有ですわよ。」
とお伝えしたい程ですわね。
それはでございますが、この学園の卒業生は、毎年婚約者がいる者は互いに、または好意を寄せている方がいる者はそのお相手に対して、学年色のネクタイ(男子生徒)またはリボン(女子生徒)を、卒業式の前日に交換し合うという一大イベントがございますの。
前世で申しますと、「貴方の第二ボタンを下さい!」的なやつですわね。
男子生徒のネクタイは皆さん同型の物ではございますが、貴族令息のネクタイは、それぞれの家の紋章が刺繍されておりますの。
また女子生徒のリボンは、学年色だけ守っておれば、形やデザインは自由ですのよ。
制服は決まっておりますので、リボンで個性を出すのですわ。
因みに、私と親友のミーナとサリーナは同じデザインのレースのリボンを着けてますの。
そそ。『お揃い』なんですのよ。
リボンは、市井にございます学生御用達の衣装店へ3人で訪れ、購入致しましたの。
勿論レースは私が編んだ物ですわ。
だって私、このお店にも商品を卸しておりますもの。
店主には、私がユーリ本人である事は明かさない様に頼んでございますので、他の誰とご一緒にお店に入ったとしても、バレる事はございませんの。
そういえば……、あの時のお買い物は楽しかったですわね。
お店でわちゃわちゃとお話をしながら、あぁでもないこうでもないとあれこれ手に取っては、互いの首元にあててみたり比べてみたり致しましたわ。
結局お二人が選んだデザインが、私が作りましたデザインの物だった時は吃驚致しましたけども。
「まぁ!このリボンをご覧になって?サリーナ。このデザインは、あの『ユーリ』のデザインでは?」
「本当ですわね、リーナ!確かにこの繊細な編み目のデザインは『ユーリ』のですわ。それに致しましても、なんて緻密で美しい編み目なのでしょう。うっとりしてしまいますわね。」
とミーナとサリーナは手に取って興奮していらっしゃいましたわね。
そんなおお二人に女性店主がニコニコしながら近づいて来て、
「流石貴族のご令嬢でいらっしゃいますね。お目が高くていらっしゃいますわ。お嬢様がたが仰るとおりにございます。こちらのリボンはあのユーリブランドでございますよ。」
と言って、チラリと私の方を向いてウィンクなさいましたの。
その瞬間、ミーナとサリーナはリボンに夢中でいらして、店主のウィンクには気付かなくて宜しかったですけども、私の心臓に悪いので今後は止めて頂くようにお話しなくてはと思った程でしたわね。
そういえばでございますが、その頃 ミーナとサリーナにはまだ婚約者はいらっしゃらなくて、リボン購入後に立ち寄ったカフェで、
「折角買ったこのユーリデザインのリボンですけども。卒業イベントの時、誰とも交換出来なかったらどうしましょう。」
等とお二人共仰っておられましたわね。
でも私は、お二人ともとても素敵なご令嬢なのですから、心配なさらなくても大丈夫ですのにと思いましたのよ。
そんなお二人ではございましたが、卒業を控えた今ではそれぞれ婚約者が出来、お二組ともそれはそれはとても仲良くなさっているんですの。
もし時が戻ってあの日のお二人にお会いする事がございましたら、
「そんなご心配は稀有ですわよ。」
とお伝えしたい程ですわね。
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