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第五章 ウィンザード領での生活
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「美味い!なんて美味いんだ!!」
そう仰いながら、ザック様は料理をガツガツ召し上がってる。
あらあら。ザック様ってば、マナーは何方へ置いてこられたの?まぁ前世だったら許せる範囲だけども、今世じゃ無いわ~って部類に入るわね。
めちゃくちゃがっついてるザック様にそっと悪魔の囁きをしてみたの。
「おかわりもありましてよ、ザック様。」
「頼めるかな?」
と、悪魔の囁きにあっさり屈したザック様は、私に向け、空になったハンバーグのお皿を出してそう言ったの。
男の子なのね~
お肉好きな年頃よね~
と思いながら、ザック様のお皿に再びハンバーグを乗せるべく、私はもう一度それを焼き、お皿に入れて差し上げました。
するとザック様は、また「美味い美味い!」と仰って、多分だけど概ね0.7ポンド(約300g)程のハンバーグをペロリとたいらげたのね。
天晴れ天晴れ
その後、食後の紅茶を飲まれたザック様は、
「そろそろお暇するよ。今夜はご馳走様、ジェーン。」
と仰いながら席を立たれたの。
そんなザック様に、
「ザック様は、これからお仕事をなさるのでしょう?もし、お仕事中にお腹が空かれましたらこちらを召し上がって下さいましね。」
と、バスケットをお渡ししたの。
バスケット中には、ハンバーグを薄くして焼いたものをパンで挟んだ食べ物が……。
そう!前世時代よくお世話になっていた、某大手ファストフード会社のバンズでパテと野菜とソースを挟んだアレよ!
そう!『ハンバーガー』なの!!
この世界にはハムサンド等のサンドウィッチはあっても、ハンバーグは勿論のこと、ハンバーガーって食べ物はないのよ。
だからザック様は、バスケットの中身をご覧になった時、きっと驚かれると思うのよね。
その瞬間を見られないのはとっても残念だけど、領地経営の仕事はとても大変な仕事なのは私も公爵令嬢時代にしてたから、よく知ってる。
だから、少しでもザック様のお役に立てられればと思い、バスケットに詰めてあげたの。ハンバーガーなら片手で食べられる……あ!貴族の方はハンバーグの食べ方知らないかも?
一応ペーパーナプキンでハンバーグを包んだから、大丈夫かな?
あ!メモでも書いて入れておこうかしら。
私は、バスケットを持たれたままのザック様に
「少しだけお待ち下さいまし。」
と申し上げ、サロンの出窓に置いてある小物入れから一枚の便箋を取り出すと、
「これはハンバーガーという食べ物で、片手で食べる事が出来ますわ。ペーパーナプキンを捲りながらお召し上がりくださいませね。」
と書いて、マリヴェル公爵領産の私自慢の茶葉も一緒にバスケットの中に入れましたの。
「ジェーン……。その……また来ても良いだろうか?」
と仰るザック様の頭には、また、垂れ下がった耳が見えるよう。
「勿論ですわ。この様な小さく狭い家で宜しければいつでもお越し下さいませ。最も、領主様のご子息であらせられるアイザックス=ウィンザード様のご来訪を、一介の平民であり領民である私がお断りする事など、到底出来るわけございませんけれど。」
とクスりと笑いながらそう答えると、今度は凛々しくて綺麗な形の眉尻まで下がってしまわれたの。
あらあら、少々意地が悪すぎちゃったわね。
見かねたマーサが、
「そんなお顔をなさらないで下さいませ、アイザックス様。お嬢様はかなりの恥ずかしがり屋なのでございます。先程の言葉も、照れ隠しでいらっしゃいます。ですよね?お嬢様。」
え?照れ隠し?全っ然そんな事ないんだけど……?
「マーサ?貴女何言って…「そうか。ジェーンは恥ずかしがり屋なんだね?そうか。」え?ザック様?」
マーサの言葉に1人で納得して1人でウンウンと頷いておられるザック様。
う~ん……どうしてこうなった?
「じゃ、また来るよ、ジェーン。おやすみ。」
そう仰いながら、ザック様は私の額にかかる前髪を上にあげますと、そっと唇を……。
「え?ザック様?な、なっ!何を!?」
「マーサが言った事は本当だね。ジェーンは恥ずかしがり屋で照れ屋なんだ。真っ赤になっている君も可愛いよ、私の愛しいジェーン。」
と、前半はマーサに、後半は私に向かって仰ったザック様。
その後大いに慌てる私を尻目に、バスケットを両手で大事そうに持たれた彼は、外に繋いであった自身の愛馬に乗り、伯爵家へと帰られたの。(見送ったマーサがそう言ってましたので、確かでしょう。)
私はといえば、ザック様をお見送りをする事も出来ず、赤く火照った顔のまま、混乱する頭の中で、自分の身に起こった事をどう対処しようかと必死で考えてたの。
もぉ!だから、男性に対しての免疫が無いんだってばっ!
そう仰いながら、ザック様は料理をガツガツ召し上がってる。
あらあら。ザック様ってば、マナーは何方へ置いてこられたの?まぁ前世だったら許せる範囲だけども、今世じゃ無いわ~って部類に入るわね。
めちゃくちゃがっついてるザック様にそっと悪魔の囁きをしてみたの。
「おかわりもありましてよ、ザック様。」
「頼めるかな?」
と、悪魔の囁きにあっさり屈したザック様は、私に向け、空になったハンバーグのお皿を出してそう言ったの。
男の子なのね~
お肉好きな年頃よね~
と思いながら、ザック様のお皿に再びハンバーグを乗せるべく、私はもう一度それを焼き、お皿に入れて差し上げました。
するとザック様は、また「美味い美味い!」と仰って、多分だけど概ね0.7ポンド(約300g)程のハンバーグをペロリとたいらげたのね。
天晴れ天晴れ
その後、食後の紅茶を飲まれたザック様は、
「そろそろお暇するよ。今夜はご馳走様、ジェーン。」
と仰いながら席を立たれたの。
そんなザック様に、
「ザック様は、これからお仕事をなさるのでしょう?もし、お仕事中にお腹が空かれましたらこちらを召し上がって下さいましね。」
と、バスケットをお渡ししたの。
バスケット中には、ハンバーグを薄くして焼いたものをパンで挟んだ食べ物が……。
そう!前世時代よくお世話になっていた、某大手ファストフード会社のバンズでパテと野菜とソースを挟んだアレよ!
そう!『ハンバーガー』なの!!
この世界にはハムサンド等のサンドウィッチはあっても、ハンバーグは勿論のこと、ハンバーガーって食べ物はないのよ。
だからザック様は、バスケットの中身をご覧になった時、きっと驚かれると思うのよね。
その瞬間を見られないのはとっても残念だけど、領地経営の仕事はとても大変な仕事なのは私も公爵令嬢時代にしてたから、よく知ってる。
だから、少しでもザック様のお役に立てられればと思い、バスケットに詰めてあげたの。ハンバーガーなら片手で食べられる……あ!貴族の方はハンバーグの食べ方知らないかも?
一応ペーパーナプキンでハンバーグを包んだから、大丈夫かな?
あ!メモでも書いて入れておこうかしら。
私は、バスケットを持たれたままのザック様に
「少しだけお待ち下さいまし。」
と申し上げ、サロンの出窓に置いてある小物入れから一枚の便箋を取り出すと、
「これはハンバーガーという食べ物で、片手で食べる事が出来ますわ。ペーパーナプキンを捲りながらお召し上がりくださいませね。」
と書いて、マリヴェル公爵領産の私自慢の茶葉も一緒にバスケットの中に入れましたの。
「ジェーン……。その……また来ても良いだろうか?」
と仰るザック様の頭には、また、垂れ下がった耳が見えるよう。
「勿論ですわ。この様な小さく狭い家で宜しければいつでもお越し下さいませ。最も、領主様のご子息であらせられるアイザックス=ウィンザード様のご来訪を、一介の平民であり領民である私がお断りする事など、到底出来るわけございませんけれど。」
とクスりと笑いながらそう答えると、今度は凛々しくて綺麗な形の眉尻まで下がってしまわれたの。
あらあら、少々意地が悪すぎちゃったわね。
見かねたマーサが、
「そんなお顔をなさらないで下さいませ、アイザックス様。お嬢様はかなりの恥ずかしがり屋なのでございます。先程の言葉も、照れ隠しでいらっしゃいます。ですよね?お嬢様。」
え?照れ隠し?全っ然そんな事ないんだけど……?
「マーサ?貴女何言って…「そうか。ジェーンは恥ずかしがり屋なんだね?そうか。」え?ザック様?」
マーサの言葉に1人で納得して1人でウンウンと頷いておられるザック様。
う~ん……どうしてこうなった?
「じゃ、また来るよ、ジェーン。おやすみ。」
そう仰いながら、ザック様は私の額にかかる前髪を上にあげますと、そっと唇を……。
「え?ザック様?な、なっ!何を!?」
「マーサが言った事は本当だね。ジェーンは恥ずかしがり屋で照れ屋なんだ。真っ赤になっている君も可愛いよ、私の愛しいジェーン。」
と、前半はマーサに、後半は私に向かって仰ったザック様。
その後大いに慌てる私を尻目に、バスケットを両手で大事そうに持たれた彼は、外に繋いであった自身の愛馬に乗り、伯爵家へと帰られたの。(見送ったマーサがそう言ってましたので、確かでしょう。)
私はといえば、ザック様をお見送りをする事も出来ず、赤く火照った顔のまま、混乱する頭の中で、自分の身に起こった事をどう対処しようかと必死で考えてたの。
もぉ!だから、男性に対しての免疫が無いんだってばっ!
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