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第1章 新しい家族
第5話 仲良し家族
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皐月母むすめと対面した翌朝
学園の制服を着てダイニングルームに入ると、同じ制服を着た桃花が座っていた。
桃花の正面には父。その隣り ずっと母の席だった場所に当たり前の様に座る皐月がいた。
「おはようございます。」
私は一言挨拶をし、皐月の前の席に座った。
「おはよう、百合香さん。」
「おはようございます。」
「お姉様、おはようございます。」
「おはようございます。」
「お前は朝から本当に暗いな。桃花を見習って挨拶くらい元気にしたらどうだ。」
「はい。お父様。」
何を言っても「はい。お父様」としか返さない私を蔑む様に睨むお父様の様子を長く伸ばした前髪の間からちらっと見たが、父は既に興味を失った様で、手元のカトラリーに手を伸ばしていた。
すると桃花が隣から弾むような声で、
「わぁ素敵。こんなに豪華な朝ご飯なんて生まれて初めてだわ。これから毎朝こんなに豪華な食事が出来るのね。」
と言っていた。その言葉を受けた皐月は、
「あら桃花。ごめんなさいね?今まで粗末なご飯ばっかりで。」
「えっ!ち、違うよママ。ママのお料理は美味しいよ。ね?パパ」
「あぁ、皐月の料理はいつも美味しかったよな。」
(ふぅん……いつもねぇ…。この家には帰って来ないで、この女の所に帰ってたわけね。この会話も証拠になるのかしら?)
私は密かにテーブルの下に取り付けてあるレコーダーとワイヤレスで繋がっている左耳のイヤホンを触った。
朝食が済み、私は運転手の羽田さんに挨拶をして車に乗り込んだ。
「おはようございます。百合香お嬢様。今日のお姿も完璧ですね。」
と眦に皺を寄せ、楽しそうに笑う羽田さんに、
「毎朝時子さんのチェックが入るからね。」
とクスクス笑いで答えた。
「そう言えば昨晩からでしたか?例の母娘が来たのは。」
「えぇ。朝から色々話してくれて助かったわよ?」
私達は、声のトーンを落として話し始める。
「それはようございました、お嬢様。さぞかし旦那様もお喜びになる事でございましょう。」
「そうね。お母様を長い間苦しめてきたあの人達への復讐は、きっちりとさせて頂くわ。」
車が静かに発車すると、車内は低いエンジン音とクラッシック音楽に包まれる。
お母様、始まってしまいました。お爺様 お祖母様。百合香はお二人の大事な娘のお母様の無念を晴らしてご覧に入れます。天国で見ていて下さい。
そう思いながら、学園までの道のりの景色を見るともなしに眺めていた。
羽田さんはそんな私の事をそっと見守っていていてくれた。
学園の制服を着てダイニングルームに入ると、同じ制服を着た桃花が座っていた。
桃花の正面には父。その隣り ずっと母の席だった場所に当たり前の様に座る皐月がいた。
「おはようございます。」
私は一言挨拶をし、皐月の前の席に座った。
「おはよう、百合香さん。」
「おはようございます。」
「お姉様、おはようございます。」
「おはようございます。」
「お前は朝から本当に暗いな。桃花を見習って挨拶くらい元気にしたらどうだ。」
「はい。お父様。」
何を言っても「はい。お父様」としか返さない私を蔑む様に睨むお父様の様子を長く伸ばした前髪の間からちらっと見たが、父は既に興味を失った様で、手元のカトラリーに手を伸ばしていた。
すると桃花が隣から弾むような声で、
「わぁ素敵。こんなに豪華な朝ご飯なんて生まれて初めてだわ。これから毎朝こんなに豪華な食事が出来るのね。」
と言っていた。その言葉を受けた皐月は、
「あら桃花。ごめんなさいね?今まで粗末なご飯ばっかりで。」
「えっ!ち、違うよママ。ママのお料理は美味しいよ。ね?パパ」
「あぁ、皐月の料理はいつも美味しかったよな。」
(ふぅん……いつもねぇ…。この家には帰って来ないで、この女の所に帰ってたわけね。この会話も証拠になるのかしら?)
私は密かにテーブルの下に取り付けてあるレコーダーとワイヤレスで繋がっている左耳のイヤホンを触った。
朝食が済み、私は運転手の羽田さんに挨拶をして車に乗り込んだ。
「おはようございます。百合香お嬢様。今日のお姿も完璧ですね。」
と眦に皺を寄せ、楽しそうに笑う羽田さんに、
「毎朝時子さんのチェックが入るからね。」
とクスクス笑いで答えた。
「そう言えば昨晩からでしたか?例の母娘が来たのは。」
「えぇ。朝から色々話してくれて助かったわよ?」
私達は、声のトーンを落として話し始める。
「それはようございました、お嬢様。さぞかし旦那様もお喜びになる事でございましょう。」
「そうね。お母様を長い間苦しめてきたあの人達への復讐は、きっちりとさせて頂くわ。」
車が静かに発車すると、車内は低いエンジン音とクラッシック音楽に包まれる。
お母様、始まってしまいました。お爺様 お祖母様。百合香はお二人の大事な娘のお母様の無念を晴らしてご覧に入れます。天国で見ていて下さい。
そう思いながら、学園までの道のりの景色を見るともなしに眺めていた。
羽田さんはそんな私の事をそっと見守っていていてくれた。
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