貴方の駒になど真っ平御免です

第三章 学園生活

第4話 学園生活（高等部 3）

部屋に戻りながら思う。
明日の夜は面倒な事になるであろうと。

きっと桃花は明日から始まる例のアレの事で、大ブーイング大会を始めると思うのよね。

と言うのも、学園は明日から中高一斉に、1週間のテスト勉強期間に入るのだ。
中等部は部活が無くなるくらいで授業も変わらずあるから特筆する事はないが、高等部は特殊だと思う。学園のテスト期間、Aクラスの生徒のみ個別学習期間といって、生徒が此処に割り振られたスペースに入り勉強をするのだ。が、この期間はどんな学習方法も許される。例えば、パソコンを持ち込んで動画で勉強したり、学習塾の問題集を解いたりしても良い。が、授業中に生徒同士が教え合う事と私語、それと起立しての教師への質問は禁じられている（勿論休み時間なら可能だ。が、期間中の職員室は閉鎖されてしまう為、休み時間に教師を捕まえるしかない。それが出来なかった場合は、放課後行われる質問時間に、教科毎割り振られている教室に行って聞くことになる。しかもこれはA～Eまでの全生徒が居る為、全質問に教師が答えられるか？は微妙らしい。私は受けた事がないから分からないんだけどね。）。

いつも

「桃花わかんな～い。」

と言っては成績上位の男子に教えて貰っていた桃花も、授業中は誰にも聞けず自分だけでやらなくてはならないこの期間は、きっと苦痛でしか無いだろう。

しかも今回のテストは、来年のクラス決めに大きく影響を及ぼす大事なテストだ。よって、皆他者より1点でも多く点数を取る事に必死になると思う。誰も彼も自分の事しか考え無くなるのだから、桃花が誰からも相手にされなくなる事は火を見るより明らかだ。

桃花にしても、これが3回目の個別学習期間になるのだから、いい加減に慣れたんじゃないかしら。っていうか、桃花って一体どんな成績なんだろう。
まさかお父様。桃花の編入試験の成績がAクラスに満たなかったにも関わらず、理事長に無理を言って入れたとかじゃ無いわよね？それとも、もしかしてだけど……編入試験さえ受けさせて無いとか？

もしそれがほんとうだったら、その事実は私に有利になる案件に違いない。
テストが終わったら、駿斗に言って連城先生と話が出来る日を聞いてみよう。

駿斗と言えば…事ある毎にやたらと駿斗にくっつきに行く桃花だけど、明日からの1週間、駿斗は桃花から離れる事が出来ると思う。何故なら、定期テストの成績上位者1位から10位の中である私 菜々子 駿斗の3人は、それ以下であるクラスメイトとは別室での学習となるから。
良かったね。駿斗。


部屋に戻った私は、部屋に付けてあるバスルームにお湯を張る。そしてパソコンを立ち上げ、昨日までに書き上げた小説を読み返し、続きを書き始めた。

そうだ！テスト期間中の明日からの夕食は、大貫さんにお願いして部屋に持ってきて貰いましょ。
勉強の時間が惜しいと言えば、父は何も言わないはずだから。寧むしろ、私が同じ場所に居ない方がせいせいするって言うんじゃないかしら。

我ながら良い考えが浮かんだと思い嬉しくなった私は、キーボードを打つスピードを上げた。


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「もぉやだ!!…………」

個別学習期間が始まった日の夜
桃花の不平不満がダイニングルームに響いたのは言うまでも無い。