67 / 97
第六章 反撃
第6話 祝杯2
しおりを挟む
「ふぅ~。おなかいっぱい。柊お父様、こんなに素敵なパーティをありがとうございます。」
「娘のお祝いだからね。これくらいは当然だよ。それに、大貫さんの料理は美味しいから、ついつい食べ…「私の料理だっておいしいわよ!」……渉……。頼むから父娘の会話に入って来ないでくれるか?」
お酒の提供に疲れた渉ママが、柊お父様の隣りの席に座ると思いきや、私の隣りにドカッと座ってきて驚いた。
「渉!百合香の隣りに座るな!」
「煩いわね!いいのよ。私のÉtoileの娘なんだから、私にとっても娘なの!!」
と訳の分からない理屈を捏ねる渉ママにちょっとだけ引きそうになるが、
「さぁ、百合香ちゃん。私によく顔を見せて頂戴な。」
と言いながら、つけ爪をした大きな手で両頬を挟まれ愛おしげに見つめられると、どうしたらいいか分からなくなった。
「あぁん、なんて麗羅にそっくりなんでしょう。この瞳、鼻も口も、麗羅に生き写しね。それにしてもあの男!麗羅の事百合香ちゃんの事も虐げていただなんて!!絶対に許せねぇ!」
いきなりの男言葉に驚きつつも、
「あのぉ……渉ママ?」
「なぁに?りりちゃん。あ!りりちゃんって呼んでもいいかしら?」
「え。えぇ、はい。」
「キャー!なんて可愛らしいのかしら~。」
スパンコールいっぱいのドレスを着た広い胸に抱きしめられてしまい、顔が少し痛かった。
でも、ユニセックスの香水の香りも相まってか?何故か不思議と渉ママの腕の中は安心出来た。
「おい、渉!りりから離れろって!」
「娘をハグして何が悪いのよ!柊ってば独占欲強い系だったわけ?」
「りりはお前の娘じゃないだろ!」
頭の上でギャーギャーワーワー言い争っている柊お父様と渉ママ。
面白いから放っておこうと思ったので、暫くされるがままで居ることにした。
すると渉ママが、
「麗羅…麗羅。」
と言いながら、更にきつく抱きしめる。息苦しくなった私は、
「渉ママ…ちょっと、苦しいです。」
とがっしりした渉ママの腕をペシペシと叩いた。
「あらごめんなさいね~。」
と悪びれる様子も無くケラケラと笑っている。
このお店に入った時からずっと感じている、渉ママが私を見る視線や言動が気になり、それ等の疑問を素直に聞いてみる事にした。
白金の家に居た頃は、自分の意見を聞いてくれる人などいなかったからか、あまり人と話そうとしなかった私だったが、一人暮らしを始め、図書館のスタッフ達も仲良くしてくれる事もあって、私は少しずつ人と話が出来る様になっていた。それでも、初対面の人は苦手ではあったけど、渉ママには不思議と苦手意識を感じる事はなかったからだ。
「渉ママ?」
「なぁに?りりちゃん。」
「渉ママと麗羅お母様…ううん。私のママとのお話。聞いてもいいですか?」
「勿論よ。麗羅の事、たっくさんお話しましょ。」
こうして私と渉ママとで、麗羅のお話で盛り上がる事になった。
「娘のお祝いだからね。これくらいは当然だよ。それに、大貫さんの料理は美味しいから、ついつい食べ…「私の料理だっておいしいわよ!」……渉……。頼むから父娘の会話に入って来ないでくれるか?」
お酒の提供に疲れた渉ママが、柊お父様の隣りの席に座ると思いきや、私の隣りにドカッと座ってきて驚いた。
「渉!百合香の隣りに座るな!」
「煩いわね!いいのよ。私のÉtoileの娘なんだから、私にとっても娘なの!!」
と訳の分からない理屈を捏ねる渉ママにちょっとだけ引きそうになるが、
「さぁ、百合香ちゃん。私によく顔を見せて頂戴な。」
と言いながら、つけ爪をした大きな手で両頬を挟まれ愛おしげに見つめられると、どうしたらいいか分からなくなった。
「あぁん、なんて麗羅にそっくりなんでしょう。この瞳、鼻も口も、麗羅に生き写しね。それにしてもあの男!麗羅の事百合香ちゃんの事も虐げていただなんて!!絶対に許せねぇ!」
いきなりの男言葉に驚きつつも、
「あのぉ……渉ママ?」
「なぁに?りりちゃん。あ!りりちゃんって呼んでもいいかしら?」
「え。えぇ、はい。」
「キャー!なんて可愛らしいのかしら~。」
スパンコールいっぱいのドレスを着た広い胸に抱きしめられてしまい、顔が少し痛かった。
でも、ユニセックスの香水の香りも相まってか?何故か不思議と渉ママの腕の中は安心出来た。
「おい、渉!りりから離れろって!」
「娘をハグして何が悪いのよ!柊ってば独占欲強い系だったわけ?」
「りりはお前の娘じゃないだろ!」
頭の上でギャーギャーワーワー言い争っている柊お父様と渉ママ。
面白いから放っておこうと思ったので、暫くされるがままで居ることにした。
すると渉ママが、
「麗羅…麗羅。」
と言いながら、更にきつく抱きしめる。息苦しくなった私は、
「渉ママ…ちょっと、苦しいです。」
とがっしりした渉ママの腕をペシペシと叩いた。
「あらごめんなさいね~。」
と悪びれる様子も無くケラケラと笑っている。
このお店に入った時からずっと感じている、渉ママが私を見る視線や言動が気になり、それ等の疑問を素直に聞いてみる事にした。
白金の家に居た頃は、自分の意見を聞いてくれる人などいなかったからか、あまり人と話そうとしなかった私だったが、一人暮らしを始め、図書館のスタッフ達も仲良くしてくれる事もあって、私は少しずつ人と話が出来る様になっていた。それでも、初対面の人は苦手ではあったけど、渉ママには不思議と苦手意識を感じる事はなかったからだ。
「渉ママ?」
「なぁに?りりちゃん。」
「渉ママと麗羅お母様…ううん。私のママとのお話。聞いてもいいですか?」
「勿論よ。麗羅の事、たっくさんお話しましょ。」
こうして私と渉ママとで、麗羅のお話で盛り上がる事になった。
0
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ある辺境伯の後悔
だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。
父親似だが目元が妻によく似た長女と
目元は自分譲りだが母親似の長男。
愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。
愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。
本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います
こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。
※「小説家になろう」にも投稿しています
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
〖完結〗その愛、お断りします。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚して一年、幸せな毎日を送っていた。それが、一瞬で消え去った……
彼は突然愛人と子供を連れて来て、離れに住まわせると言った。愛する人に裏切られていたことを知り、胸が苦しくなる。
邪魔なのは、私だ。
そう思った私は離婚を決意し、邸を出て行こうとしたところを彼に見つかり部屋に閉じ込められてしまう。
「君を愛してる」と、何度も口にする彼。愛していれば、何をしても許されると思っているのだろうか。
冗談じゃない。私は、彼の思い通りになどならない!
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる