貴方の駒になど真っ平御免です

Saeko

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第六章 反撃

第6話 祝杯2

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「ふぅ~。おなかいっぱい。柊お父様、こんなに素敵なパーティをありがとうございます。」

「娘のお祝いだからね。これくらいは当然だよ。それに、大貫さんの料理は美味しいから、ついつい食べ…「私の料理だっておいしいわよ!」……渉……。頼むから父娘の会話に入って来ないでくれるか?」

お酒の提供に疲れた渉ママが、柊お父様の隣りの席に座ると思いきや、私の隣りにドカッと座ってきて驚いた。

「渉!百合香りりかの隣りに座るな!」

「煩いわね!いいのよ。私のÉtoileの娘なんだから、私にとっても娘なの!!」

と訳の分からない理屈を捏ねる渉ママにちょっとだけ引きそうになるが、

「さぁ、百合香りりかちゃん。私によく顔を見せて頂戴な。」

と言いながら、つけ爪をした大きな手で両頬を挟まれ愛おしげに見つめられると、どうしたらいいか分からなくなった。

「あぁん、なんて麗羅にそっくりなんでしょう。この瞳、鼻も口も、麗羅に生き写しね。それにしてもあの男!麗羅の事百合香りりかちゃんの事も虐げていただなんて!!絶対に許せねぇ!」

いきなりの男言葉に驚きつつも、

「あのぉ……渉ママ?」

「なぁに?りりちゃん。あ!りりちゃんって呼んでもいいかしら?」

「え。えぇ、はい。」

「キャー!なんて可愛らしいのかしら~。」

スパンコールいっぱいのドレスを着た広い胸に抱きしめられてしまい、顔が少し痛かった。
でも、ユニセックスの香水の香りも相まってか?何故か不思議と渉ママの腕の中は安心出来た。

「おい、渉!りりから離れろって!」

「娘をハグして何が悪いのよ!柊ってば独占欲強い系だったわけ?」

「りりはお前の娘じゃないだろ!」

頭の上でギャーギャーワーワー言い争っている柊お父様と渉ママ。
面白いから放っておこうと思ったので、暫くされるがままで居ることにした。
すると渉ママが、

「麗羅…麗羅。」

と言いながら、更にきつく抱きしめる。息苦しくなった私は、

「渉ママ…ちょっと、苦しいです。」

とがっしりした渉ママの腕をペシペシと叩いた。

「あらごめんなさいね~。」

と悪びれる様子も無くケラケラと笑っている。

このお店に入った時からずっと感じている、渉ママが私を見る視線や言動が気になり、それ等の疑問を素直に聞いてみる事にした。
白金の家に居た頃は、自分の意見を聞いてくれる人などいなかったからか、あまり人と話そうとしなかった私だったが、一人暮らしを始め、図書館のスタッフ達も仲良くしてくれる事もあって、私は少しずつ人と話が出来る様になっていた。それでも、初対面の人は苦手ではあったけど、渉ママには不思議と苦手意識を感じる事はなかったからだ。

「渉ママ?」

「なぁに?りりちゃん。」

「渉ママと麗羅お母様…ううん。私のママとのお話。聞いてもいいですか?」

「勿論よ。麗羅の事、たっくさんお話しましょ。」

こうして私と渉ママとで、麗羅ママのお話で盛り上がる事になった。
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