貴方の駒になど真っ平御免です

Saeko

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第六章 反撃

第7話 麗羅

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俺のÉtoile 櫻井麗羅
彼女は俺の親友 櫻井柊の2歳年下の妹だ。
麗羅と俺との出会いは学園の高等部。俺が3年 彼女が1年の時だった。

俺は高等部からの外部入学だったが、柊とは1年の時に同じAクラスになった時から意気投合した間柄だ。
部活もサッカー部(将来医者になる事が決定していた柊は、手を使う部活に入るのを避けていた。サッカー部なら、キーパーでなければラフプレーを避ければ手を負傷する事がないだろうという安易な考えからだそうが、サッカー部だって怪我は付きものだろ?と俺は密かに思っていた。まぁ言わなかったけどな。)で同じだったから、ずっと一緒にいるようになり、なんでも話す程になっていった。

そして高等部2年の冬、当時学園で一番人気だった柊が溺愛している妹が、来年度高等部に入ってくるという噂を耳にした俺は、高等部入学式の実行委員の仕事を積極的に引き受けた。
柊は、父親は日本人医師、母親はフランス人のハーフ。髪色や瞳の色等見た目こそ日本人だが、顔や身体の造作が日本人離れをしている。まるで彫像か?と思えるくらいの躯体を持ち、外国人特有の高い鼻梁と大きな眼をしたグッドルッキングガイなのだ。
そんな柊の妹なのだから、十中八九美人に決まっているだろうが、もしかして、逆にめちゃくちゃ不細工だったら?
俺は、そんな好奇心から仕事を買ってでたのだった。

結果。俺は、恋に落ちた。
箱入り娘で儚げな美少女と思いきや、自分の意見をしっかり持った女性だった。

俺は、そんな彼女のギャップにやられてしまい、柊を通して彼女と話をしたり、柊の家で行われるイベントに保と参加したりして、彼女への想いを募らせていた。初恋だった。

ずっとずっと好きで将来警察官僚になったあかつきには、告白…いや。プロポーズをする予定だった。

だが、そんな俺の計画は、麗羅と白金との結婚で全てぶち壊された。

奪ってやろうと思った事もある。
だが、麗羅が幸せならそれでいい。

そう思っていたのに、麗羅の結婚から11年後……麗羅の死を知らされる。

俺は、俺を詰った。責めた。
何故あの時告白しなかった?
何故あの時麗羅を守れなかった!
何故……

麗羅……すまない……。

俺は、麗羅への想いを一生抱いて生きていく事に決め、結婚はしない事にした。

それでも、柊程ではないが、そこそこ女にモテる見た目をしている俺は、女装をし、男が好きだと吹聴する事にした。

そしてその後、バーテンダーの資格を取り、BAR Étoileを開店させた。


♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*♡o。+..:*

「って事なのよ~。」

渉ママの想いを聞いた私の眼からは、いく筋もの涙が流れ、麗羅ママが好んで着ていたワンピースのスカートに水玉模様を作っていった。

「やぁだ りりちゃんってば~。もう……泣かないのよ~。」

そう言って長い爪で私を傷つけない様に親指でそっと涙を拭いてくれる渉ママ。

「渉ママ。麗羅ママを愛してくれて、ありがとうございます。」

「いやぁね、この子ったら……」

そう言って笑ってみせた渉ママの声は震えていた事は、私の胸の中にしまって置くことにした。

私は渉ママに、

「大切にしてください。」

と言って、幼い私を抱いた麗羅ママの写真が入ったロケットペンダントを首から外し、渉ママの大きな手に握らせた。

渉ママはそれを開くと

「麗羅……」

と一言呟き、そのまま席を立って奥へ入ってしまった。

その肩が震えていた。
男の人も泣くんだな。
私は、いつの間にか隣りに座っていた柊お父様に、子供の様に頭を撫でられていた。

麗羅ママが耳元で「ありがとう」と言った気がした。
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